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昼過ぎの目覚め
しおりを挟む目が覚めると、体はすっきりしていたが、口枷の中はベタベタしていた
鎖は外されていて、ベッドに寝かせてくれていたようだ
なんだか心なしか乳首がじんじんしている気がする
テーブルには食事が並べられており、置き手紙には食事を摂るようにと夕刻には口枷をしていて欲しい。まだ直視できる自信がなく申し訳ないと書かれていた
丸見えだが、簡易のシャワーを浴びて、髪と顔と口枷を洗い備え付けられていたタオルで拭いてドライヤーで乾かす
「……げっ」
さらに備え付けられていたシャツとスラックス、靴下の他に紐のようなパンツを広げて思わず感想が出てしまった。
ないよりは、ましか…
テーブルに置いてあったサンドイッチと果物を摘みながら、ふと横を見ると、クルクルが跪く形で拘束されており、目隠しされた状態で唸っていた
もぐもぐとシャインマスカットを摘みながら、クルクルに準備された硬そうなパンと水の桶を横目に、ぺろりと親指を舐めて、昨日の醜態をクルクルに見られていなかった事に安堵する
声は聞こえてたのかもしれないけど
喉を水差しから水を飲んで潤してから歯磨きし、口枷を被る
誰が見ているかわからないし、ヴァイスがウールの体に残しているフェロモンだけでも発情期を迎えてしまいそうで怖かった
口枷がいい感じにフェロモンを防いでくれているようだ
「クルクル、クルクル!聞こえる?ウールだよ、どうしちゃったの?変だよ、クルクル…」
猛犬のように牙を剥き出しにし、唸り声を上げるクルクルに眉根を寄せる
「……クルクル」
硝子越しにへばりついてクルクルに呼びかけていると、ガシャンと遠くで扉が開いていく音がする
カツカツカツと誰かが歩いてくる足音がして、慌ててベッドに寝転んで寝たふりをする
ヴァイスが、戻ってきたのだろうか?
「ゴルディ!ゴルディ…ああ、可哀想に…僕が助けてあげるからね…」
心配そうに硝子の壁に縋りつきながら、クルクルに話しかけているのは、ピンク頭のミルディコだった
「お前さえいなければ、ゴルディもこんな目に遭う事もなかったのに!」
ガンと、ミルディコはぼくの方の硝子壁を蹴って、ブツブツと何か呟きながら、去っていった
ヴァイスじゃなくて良かったけど、こえ~
それよりも、頭の中が混乱してる。確かにヴァイスとぼくは側室といえど夫婦だ
あんなことやそんなことをしていても、おかしいわけではない
でも、あんなに恥ずかしい事を毎日されるのだろうか?
それを考えて顔にカーッと血が集まってきて、熱くなる
あれは本当に恥ずかしかった。心臓もバクバクしたし、ヴァイスの綺麗な目が、ぼくの目の奥を覗いて、美しい形の唇が、首に、肩に触れて、そして…
枕をバンバンと叩きつけながら抱き込んで寝転ぶ
「アスモ…アスモ…助けてよ…」
アスモに贈られた腕輪に、何となく話しかける
ヴァイスのもとにいたら、いつか魔人にされていない事がバレてしまう
そうなった時、人の身のまま魔王であるアスモに加担していたとバレるのは非常に不味い
ナード家、お取り壊し
ウールを含む一族郎党、斬首だろう
「せめてクルクルが正気に戻ってくれたらなあ」
クルクルに手を伸ばすと、アスモに貰った腕輪が紫に光り、クルクルに光が集まっていく
「えっ、えっ、何これ…」
戸惑っていると、クルクルの唸り声が止んだ
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