へっぽこ勇者と色情狂いの王様

66

文字の大きさ
48 / 53

昼過ぎの目覚め

しおりを挟む

目が覚めると、体はすっきりしていたが、口枷の中はベタベタしていた

鎖は外されていて、ベッドに寝かせてくれていたようだ

なんだか心なしか乳首がじんじんしている気がする

テーブルには食事が並べられており、置き手紙には食事を摂るようにと夕刻には口枷をしていて欲しい。まだ直視できる自信がなく申し訳ないと書かれていた

丸見えだが、簡易のシャワーを浴びて、髪と顔と口枷を洗い備え付けられていたタオルで拭いてドライヤーで乾かす

「……げっ」

さらに備え付けられていたシャツとスラックス、靴下の他に紐のようなパンツを広げて思わず感想が出てしまった。

ないよりは、ましか…

テーブルに置いてあったサンドイッチと果物を摘みながら、ふと横を見ると、クルクルが跪く形で拘束されており、目隠しされた状態で唸っていた

もぐもぐとシャインマスカットを摘みながら、クルクルに準備された硬そうなパンと水の桶を横目に、ぺろりと親指を舐めて、昨日の醜態をクルクルに見られていなかった事に安堵する

声は聞こえてたのかもしれないけど

喉を水差しから水を飲んで潤してから歯磨きし、口枷を被る

誰が見ているかわからないし、ヴァイスがウールの体に残しているフェロモンだけでも発情期を迎えてしまいそうで怖かった

口枷がいい感じにフェロモンを防いでくれているようだ

「クルクル、クルクル!聞こえる?ウールだよ、どうしちゃったの?変だよ、クルクル…」

猛犬のように牙を剥き出しにし、唸り声を上げるクルクルに眉根を寄せる

「……クルクル」

硝子越しにへばりついてクルクルに呼びかけていると、ガシャンと遠くで扉が開いていく音がする

カツカツカツと誰かが歩いてくる足音がして、慌ててベッドに寝転んで寝たふりをする

ヴァイスが、戻ってきたのだろうか?

「ゴルディ!ゴルディ…ああ、可哀想に…僕が助けてあげるからね…」

心配そうに硝子の壁に縋りつきながら、クルクルに話しかけているのは、ピンク頭のミルディコだった

「お前さえいなければ、ゴルディもこんな目に遭う事もなかったのに!」

ガンと、ミルディコはぼくの方の硝子壁を蹴って、ブツブツと何か呟きながら、去っていった

ヴァイスじゃなくて良かったけど、こえ~

それよりも、頭の中が混乱してる。確かにヴァイスとぼくは側室といえど夫婦だ

あんなことやそんなことをしていても、おかしいわけではない

でも、あんなに恥ずかしい事を毎日されるのだろうか?

それを考えて顔にカーッと血が集まってきて、熱くなる

あれは本当に恥ずかしかった。心臓もバクバクしたし、ヴァイスの綺麗な目が、ぼくの目の奥を覗いて、美しい形の唇が、首に、肩に触れて、そして…

枕をバンバンと叩きつけながら抱き込んで寝転ぶ

「アスモ…アスモ…助けてよ…」

アスモに贈られた腕輪に、何となく話しかける

ヴァイスのもとにいたら、いつか魔人にされていない事がバレてしまう

そうなった時、人の身のまま魔王であるアスモに加担していたとバレるのは非常に不味い

ナード家、お取り壊し

ウールを含む一族郎党、斬首だろう

「せめてクルクルが正気に戻ってくれたらなあ」

クルクルに手を伸ばすと、アスモに貰った腕輪が紫に光り、クルクルに光が集まっていく

「えっ、えっ、何これ…」

戸惑っていると、クルクルの唸り声が止んだ

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。

誉コウ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。 その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。 胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。 それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。 運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。

処理中です...