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最悪な目覚め
しおりを挟む朝陽を感じて目を開けると、見知らぬ部屋にいた。青いダマスク柄のカーテンに大きな窓から陽が差し込んでいた
確か、マダールーの城の地下牢にいたはずなんだけど…頭がガンガンと響くくらい痛い
クルクルがいきなり膨らんで、手を伸ばしてきて、そこから覚えてない
もぞもぞとカントリー調のベッドに寝かされていたので起きあがろうとするも、なんだか体が大きい感じで動きにくい
手を見ると、鋭い爪で黒い肌、膨らんだ血管に、なんか目も飛び出てる気がする
「え?は?え?ど、ど…え?」
いや、ビクンビクンと脈打つ肉塊の中に、ぼくは取り込まれていた
肉塊は、クゥンクゥンと鳴いており、おそらく気絶する前に見たクルクルだ
「く、クルクル………?」
呼びかけてみるも、いつもの憎まれ口もなく、くぅんくぅんと弱々しい鳴き声だけ聞こえてくる
クルクルが、ぼくの体をうまい具合に取り込んでしまっているようだ
哀れっぽい声でクルクルは鳴いているが、これぼくも他人事じゃないんじゃなかろうか?
しかも、お肉に取り込まれた形になっている為、ぼく自身は身動きがとれない
だから室内をうろうろするクルクルを見守るしかない
なんなら知能が著しく低下したクルクルは犬でしかない行動しかとらない
「だ、誰かー!た、助けてくださいー!」
叫ぶと、がちゃりと部屋の扉が開いた。真っ赤な肌に、半裸の角の生えた美丈夫はアスモだ
「アスモ、アスモ!助けて!クルクルの中に、入ってしまったみたいで!」
「くぅーん、くぅーん!」
クルクルも何か訴えかけたいみたいで、アスモの足元に駆け寄る
「ウール!無事でよかった!」
ぎゅうと巨大なクルクルを抱きしめるアスモに、クルクルは嫌がって脚を突っ張らせる
まあ、クルクルは触られたりするのが好きな奴じゃなかったからな…元はゴルディだし…
「うーむ、目玉も飛び出ているし、クルクルの知能もあれだから完全なる失敗だな。ウール、取り込まれたようだが、同化はしているか?つまり皮膚的に繋がったりしている部分はあるか?」
アスモの質問に身動きできないながらも、体を動かしてみる。周りは全て隙間はできるから、繋がったりはしてないようだ
「つ、繋がってない!で、でも、おしっこ、おしっこ行きたくて!!」
叫ぶと、アスモが苦笑いをしている気配がした
「あい、わかった。クルクルが、もったいないかなぁと思ったけど、新しい被験者も来たから、それをクルクルと合成してみよう。その過程で取り出してあげるから、我慢しなさい」
「えっ…!!」
もう我慢の限界なんですけど、ということと新しい被験者って、もしかしてミルディコじゃないかと頭を駆け巡る
しかも合成って…
「ちょっ…アスモ!待って、クルクル治らないの!?」
なんだかんだクルクルに、ちょっと情がある、ぼくは焦った
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