へっぽこ勇者と色情狂いの王様

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後宮の男オメガ

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ぼくが後宮に売られたのは8歳の時だった。当時、男オメガの俺を後宮に入れるかどうかで滅茶苦茶荒れて、後宮の姫様達から相当反対があったらしい

当時の王様は14歳。傀儡というべき王政は、彼の母親、皇太后の兄が取り仕切っており、ぼくの父親の政敵だった

反乱を起こさない様に、人質として第二性徴がオメガバースだったぼくが選ばれた

お姉さまには婚約者がいたし、3歳の妹では話にならなかった

初対面の王様は放蕩者だと噂があり、アルファ性で、後宮にはオメガ女性がたくさんいるらしい

ただ、黒髪にウェーブがかかっており、褐色の肌は鍛えられてたくましく、切れ長の不思議な色の目が、色っぽかった

物腰も柔らかく、人を魅了する笑顔で丁寧に迎えられた

ただ、丁寧に出迎えられたけれど子供だし男性体だったぼくは、後宮の外、離れである離宮に留められたけれど、出入りもガバガバで遺棄された後宮オメガの墓場と呼ばれる場所だった

頭がおかしくなってしまった妃や、逆らった妃、そんなお姉さん達に囲まれて、ぼくの後宮生活はスタートした

侍女を2人付けてもらったけれど、宛てがわれた離宮は埃まみれで、侍女達と3人がかりで1週間かけて掃除しなければならなかった

そんな中、楽しそうな後宮からの声が聞こえたり、今日は誰が王様に呼ばれたとか、侍女に手をつけたとか汚い離れで誰もいないと思ってか、聞かれても人質の子供しかいないと思ってか噂話には事欠かなかった

王様はヴァイス、ぼくはウール、誇り高き軍人を輩出してきたナード家の息子だ

それはさておき、後宮の姫様達は割当金という給金がある。身を人前に出しても恥ずかしくないように整えるための給金なのだが、なんとこれは、ぼくにはなかったのだ

まだ子供だからいらないだろうという事だが、これに関しては少し仕方ない気もする

だって輿入れなんて名目だけで、事実上、王家への人質なのだから

そして、次に頼るのは勿論、実家だ

そう、実家なのだが普通に姫様達は実家にお金を無心したりなどの手紙のやりとりくらいは検閲があるが許されている

そう、許されているものなのだが、これはぼくは禁じられていた

人質なのに、やすやす実家と連絡を取られては堪らないからだそうだが、もしかしたらだが、父の失脚を狙っているのかもしれない

失脚をすればと想定されているのならば、この扱いも納得がいく

それはそうと、そう。以上をふまえて、ぼくはわずか8歳にして金策に走らなければならないという境遇に陥ったのだった。




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