へっぽこ勇者と色情狂いの王様

66

文字の大きさ
1 / 68

後宮の男オメガ

しおりを挟む


ぼくが後宮に売られたのは8歳の時だった。当時、男オメガの俺を後宮に入れるかどうかで滅茶苦茶荒れて、後宮の姫様達から相当反対があったらしい

当時の王様は14歳。傀儡というべき王政は、彼の母親、皇太后の兄が取り仕切っており、ぼくの父親の政敵だった

反乱を起こさない様に、人質として第二性徴がオメガバースだったぼくが選ばれた

お姉さまには婚約者がいたし、3歳の妹では話にならなかった

初対面の王様は放蕩者だと噂があり、アルファ性で、後宮にはオメガ女性がたくさんいるらしい

ただ、黒髪にウェーブがかかっており、褐色の肌は鍛えられてたくましく、切れ長の不思議な色の目が、色っぽかった

物腰も柔らかく、人を魅了する笑顔で丁寧に迎えられた

ただ、丁寧に出迎えられたけれど子供だし男性体だったぼくは、後宮の外、離れである離宮に留められたけれど、出入りもガバガバで遺棄された後宮オメガの墓場と呼ばれる場所だった

頭がおかしくなってしまった妃や、逆らった妃、そんなお姉さん達に囲まれて、ぼくの後宮生活はスタートした

侍女を2人付けてもらったけれど、宛てがわれた離宮は埃まみれで、侍女達と3人がかりで1週間かけて掃除しなければならなかった

そんな中、楽しそうな後宮からの声が聞こえたり、今日は誰が王様に呼ばれたとか、侍女に手をつけたとか汚い離れで誰もいないと思ってか、聞かれても人質の子供しかいないと思ってか噂話には事欠かなかった

王様はヴァイス、ぼくはウール、誇り高き軍人を輩出してきたナード家の息子だ

それはさておき、後宮の姫様達は割当金という給金がある。身を人前に出しても恥ずかしくないように整えるための給金なのだが、なんとこれは、ぼくにはなかったのだ

まだ子供だからいらないだろうという事だが、これに関しては少し仕方ない気もする

だって輿入れなんて名目だけで、事実上、王家への人質なのだから

そして、次に頼るのは勿論、実家だ

そう、実家なのだが普通に姫様達は実家にお金を無心したりなどの手紙のやりとりくらいは検閲があるが許されている

そう、許されているものなのだが、これはぼくは禁じられていた

人質なのに、やすやす実家と連絡を取られては堪らないからだそうだが、もしかしたらだが、父の失脚を狙っているのかもしれない

失脚をすればと想定されているのならば、この扱いも納得がいく

それはそうと、そう。以上をふまえて、ぼくはわずか8歳にして金策に走らなければならないという境遇に陥ったのだった。




しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

たとえば、俺が幸せになってもいいのなら

夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語――― 父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。 弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。 助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

αとβじゃ番えない

庄野 一吹
BL
社交界を牽引する3つの家。2つの家の跡取り達は美しいαだが、残る1つの家の長男は悲しいほどに平凡だった。第二の性で分類されるこの世界で、平凡とはβであることを示す。 愛を囁く二人のαと、やめてほしい平凡の話。

六年目の恋、もう一度手をつなぐ

高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。 順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。 「もう、おればっかりが好きなんやろか?」 馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。 そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。 嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き…… 「そっちがその気なら、もういい!」 堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……? 倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

処理中です...