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パンとクエスト
しおりを挟む誰も何も言わないので、思っているより本当に恐ろしいのかもしれない
ぼくは世間知らずだけれど、たまに残酷な王宮の話は聞くから、もっと警戒していかないといけないんだろうな
「困らせて、ごめんね。知りたかったから…みだりに陛下の話なんてしちゃ駄目だよね。お餅はお姉さん達で食べてね」
一応お礼を言いつつ、外に出ると、いつからいたのか珍しくヴァイスが入り口にいた
沢山の侍従を連れていたので、顔を伏せて壁に寄り頭を下げる
あっぶな、変に話が出なくて良かった!
冷宮の誰かに会いに来たのだろうか?久しぶりに見たが、相変わらず淫蕩に耽っているようには見えない爽やかさだ
褐色の肌は健康的で、子供のぼくからは随分大人に見える
ちらりと見て顔を再び下げる。相変わらず物凄い美貌で、周りの侍女達も見惚れながら慌てて頭を下げ感嘆のため息を吐いていた
煌びやかな一行は冷宮に足を進めていき、ドンとぶつかられたから目を少し上げるとリンがぶつかってきていて、ハナが小さく手を振っていた
2人とも側女と聞いていたが、侍女達と混ざっているのを見るに兼用させられているのかもしれない
通り過ぎていくのを、ぼんやりと待ちながら、そういえば今日はパンとクエストに行く約束をしていたと思い出す
慌てて自分の部屋に戻り、逆刃刀を手に、許可証を自分で書いて侍女の服装に着替える
簡易的な侍女の服装に、顔を隠すためにフードを被る
宮廷の門の入り口で衛兵に許可証を見せると、訝しがられた
「んー?ウール様とはナード家のウール様だろう?ウール様のお付きの侍女は昨日、陛下の側女になったと聞いたが?こんな子供にお使いを?」
じろじろと衛兵に見られて顔を隠す
やばい、めちゃくちゃ怪しまれてる!
「あ、お姉さん達が側女になったお祝いを買ってきて欲しいそうです…その御用達の所は実家と懇意なので、外からは呼びたくないそうで」
「ああ、そういうことか。暗くなったら門が閉まるから、それまでに戻っておいで。他にお付きをつけなくて大丈夫かい?」
「あ、ありがとうございます。大丈夫です。それでは行ってまいります」
そそくさと門を通り、ギルドまでの道を急ぐ
パンが待っていてくれるといいけれど、大幅な遅刻だ
走ってギルドまで行くと、受付近くでパンがむくれた顔をして椅子に座っていた
「遅いー!何してたの?あれ?今日はウール1人?」
「うん、リンとハナは、もう来れない。ごめんね?」
2人は魔法が使えたから、もしかしたらパンはそこを当てにしていたかもしれない。申し訳なさに俯いていると、パンに手を取られた
「今日から…ふ、2人っきり!!?」
なんか喜んでそう?仲間外れろとかじゃないならいいか
「ごめんね?パンはその条件でも大丈夫?」
「う、うん!大丈夫!そうなんだぁ、そっかそっか!仕方ないねー、あれ?ウール今日はネックガード付けてるの?」
パンに咎めるように言われて首を撫でる
今後は何を言われても付けておかないといけない。用心に越したことはないだろう
「えー!信用ない?悲しくなるなあ、外そうよ?苦しくない?」
道中ずっとパンがネックガードについて話しかけてきていたが、生返事で返した
今日のクエストはコカトリスで普通に崖を登るだけで、ぼくは瀕死の状態になっていた
パンはあっさりワンパンでコカトリスを沈めて、尚且つ卵まで見つけていた
足手纏いというレベルじゃない自分を恥じながら、今日は卵もあったので、報酬800万オンスを半分にしてくれた
パン、なんていいやつなんだ…!
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