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夜屋台のお誘いと冷宮が…
しおりを挟む臨時収入の400万オンスにホクホクしていると、パンが街路樹の道沿いに夜に屋台が出るので買い食いしようと誘ってくる
今すでに夕方で、暗くなり始めていて、良い匂いが漂ってきていた
屋台で買い食い、めちゃくちゃしたい
どうせ、夜に帰っても侍女もいないしバレることはない
食事も正直、リンとハナがいなくなってからどうしたらいいのかわからないし、なんなら食事も用意されてなさそうだし
「屋台、いきたい!行こう!」
パンに頼めば、串焼きの美味しい店に連れて行ってくれて、パン屋や、肉屋のお土産を沢山持たせてくれた
風呂敷に包んで背負い宮廷に戻ったら、沢山買ってきたねぇと守衛さんに感心された
後宮は、ぼくは入れないから冷宮の前を通って自分の居住である離れに戻る
冷宮の前が騒がしかったが、鼻歌を歌いながら荷解きをしていると、リンが息を切らせて部屋に入ってきた
「ぶ、無事ですか?良かった!ハナが…ハナが……ウール様がいないと騒ぎになってます!早く着替えましょう!」
泣きじゃくりながらリンが着替えを手伝ってくれて訝しく思っていたけれど、服の裾に黒い染みを見つけて眉根を寄せる
「リン、これ汚れ…て…?」
着替えが終わった頃に、侍女長や大勢の侍女達が部屋に入ってきて、あっという間に取り囲まれて目を白黒させていると、侍女長が安心したかのように腰が抜けたのか、その場に座り込んだ
「よかった…よかった…!何処にいたんですか?」
「こ、ここにずっといたけど?……遊びで、か、隠れてたけど」
リンが何の合図か腕をぶつけてきたので、誤魔化すように言葉を濁す
「ウール様、陛下が冷宮にお呼びです」
へ?なんで陛下に呼ばれてんだ?
なんとなく怖くなって、リンの後ろに隠れると、リンが跪く
「あの場をウール様に見せるわけには…お許しください…」
「隠れんぼでも、どんな結果になるかウール様にも知っていただかないといけません。ウール様、今からは、はい以外の返事をしてはいけません。よろしいですね?」
「……はい」
必死な表情の2人に、心臓が痛い
リンと手を繋いで、侍女長についていき騒がしい冷宮が近づいて来る
力が入るリンの手に縋りながら篝火が照らす冷宮の道は足元から冷気が這い上がってくるように冷え込んでいて水の匂いと鉄の臭いがしている気がする
「リン、行きたくない。ぼく、行きたくない…」
リンに引きずられるようにして見慣れた冷宮の門を潜る
冷宮はいつもは人の話し声がするもんだけれど、今は、しんと静まり返っていた
床に水を撒いたのか生臭いような臭いまでしてくる
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