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皮剥きは大変で、早くもシーツ変え係になる
しおりを挟む厨房で働くことになったぼくは、カンナに連れられて野菜が山積みされたシンクの前にいた
カンナはタレ目の優しげな女子で、綺麗で良い匂いがした
白いふくふくとした肌はオメガのぼくでも、思わず触りたくなったし、小麦粉色の長い髪は艶艶で、まつ毛も小麦粉色、美しい瞳はシトリンのように黄色に透き通っていた
今思えば、ぼくの初恋はカンナだったかもしれない
「ウール様は器用ですね。その調子ですよ」
カンナに褒められるのが嬉しくて、えへえへと笑いながら野菜の皮剥きをしていく
もはやぼくは、野菜剥き機マシーンと化していた
ただ、皮が剥けるのと、綺麗に剥けているかは別問題である
山のように重ねられたジャガイモの皮に、カンナは困ったように左頬に手を当てながら首を傾げる
「ほとんど実がないですね…困りましたね…」
困ったカンナの顔も、すごく可愛い
「何やってんだ!この!どーすんだこれ!あーもう、クビだクビ!カンナ!お前責任とれよ!」
叫んできたコックと料理長は顔を真っ赤にして怒り狂っている
「あらあら、仕方ないですね…ウール様、掃除班に行って、後宮のシーツ変えに参りましょう」
どこまでものんびりとしたカンナの後ろに隠れて、泣きそうになりながら頷く
親にも怒られたことないのに、怒鳴りつけてくるコック達は超怖かった
「くそっ!どうすんだこれ!」
背後で喚いている厨房を後にして、カンナについて行ったのだ
厨房での失敗からカンナは、ぼくにできる仕事を考えてくれたらしい
外に干されていたシーツを室内に運び、 ベッドにかけていくという作業だ
これくらいなら、ぼくにもできる
鼻歌を歌いながらベッドにシーツを広げて、ベッドに入れ込んでいく
使用人達のスペースが終わったら、後宮の寝室のベッドのシーツを取り替えに行くのだが、今日は人手が足りないらしく、要領を覚えたぼくはカンナと別行動で、シーツをかけていくことになった
長い廊下は、妃同士が鉢合わせしないような作りになっているらしく迷路みたいだ
別邸の後宮のシーツを変え終わったら、騎士団の棟のベッドのシーツも変えていくように命じられた
ドキドキしながら首輪に触れる
きっちりと嵌められた首輪に安心する
まあ、こんな子供相手にもされないだろうけれど騎士団はアルファ性が多いときくから、そんな場所に行くのは少し怖いなと思っただけだ
長い廊下でシーツを運びながら、騎士団の寮に行くと、当たり前だが、誰もいなかった
真昼間だから、当たり前なんだけどさ
心配して損した
騎士団の寮も、カンナと手分けしてシーツをかけていくことになった
何気に後宮から出てしまっているけれど、咎められないよな?
あの日の冷宮を思い出して、少し身震いするが、今のぼくはどう見ても使用人にしか見えない
大丈夫か
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