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恐怖の食事会
しおりを挟むあれからリンは、ぼくに話しかけなくなった
ハナもだけれどカンナは本当に仲の良い友人なんだと話していたから
ぼくがカンナを助けなかったから
リンは、ぼくを助けてくれたのに
前みたいに軽口もなく、ただ淡々と事務的に必要事項だけ伝えてきて、それだけの関係になってしまった
許して欲しいとか、そんな事も言えないくらい関係に溝ができてしまった
だから、今ぼくが話ができる人はヴァイスしかいないような状況だ
かといってヴァイスは何が地雷か解らず恐ろしいし、怖い
次の日、リンが着替えを持ってきて食事会に参加するように伝えてきた
「すごいですね、王族しか着ないような見事な刺繍シャツに……半ズボンですか…まだウール様は幼いですからね」
そう言いながらリンは疲れた顔で、侍女達に着替えを手伝うように言ってくれた
でも、もう視線は合わないし壁が一枚ある向こう側から話しかけられているみたいだ
「…ありがとう。リン、ごめんね」
着替えさせられながら、リンの背中に声をかけてもリンから返事を聞ける事はなかった
。
。
。
毎日、朝昼晩と三食をヴァイスと一緒に摂ることになったのだが、ヴァイスはぼくに膝に乗って食事を摂るように命じてきた
「ああ、今日も……こんな半ズボンで…膝小僧が可愛いね…ほら、」
目の前には朝から豪華な食事が並べられ、果物も盛られているのに、ぼくはヴァイスの膝の上で、さわさわと膝小僧を撫でられていた
生きた心地もしないし、触り方もねばっこくじっとりとした触り方で気持ちが悪い
もそもそとパンをちぎりながら食べていると、首筋に鼻を埋めながらヴァイスはうっとりと、すーはーと匂いを嗅いでいる
怖すぎる
「あ、あの、陛下は召し上がらないのですか?」
もはやドン引きしているのを悟られないよう声をかければ、ぎゅうと抱きしめてきて体格差もあるので息が苦しい
「発情期とは何歳からなのだろう?個人差があると聞くが、ウールはいったいいつから発情期に入るのだ?」
もぞもぞと腹を撫でられて、身震いしているとヴァイスが呟く
本当に個体差があるので、一概には言えないが、平均すれば大体あと6.7年後なのではないだろうか
「ウール、今日はリンの所に渡るが、我が渡る前に湯浴みを済ませておくように」
耳元で囁かれて、恐る恐る振り向くと、ヴァイスはニコニコしながら膝小僧を撫でている
撫でているだけなのだが、底知れない恐怖に朝食は食べた気がしなかった
これ、毎日の行事になるんだろうか?
嫌過ぎる…
「あの、ぼくは寝るのが早いです。寝てしまっていたら処罰されますか?」
そう、ぼくはあんまり遅くまで起きていられない。何時になるのかわからないので聞いたのだが、ヴァイスは笑みをニヤァと深めた
「寝ていても、いいよ……」
。
。
。
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