へっぽこ勇者と色情狂いの王様

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どうすればいいんだ

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まあヴァイスとの食事会で、あんなやり取りがあったので当たり前に眠れるわけがなく、目が冴えているのだが、なんとなく起きていることがバレるのもマズい気がする

今は湯浴みも済んで、(何故か湯殿に侍女達がズラリと並んでいて全身洗い上げられた)部屋でクマみたいに恐怖心からうろうろしていた


今の状況の何が嫌なのかは解らないが、これはマズい

食事会の後からも集まりの中、ヴァイスの膝に乗せられヴァイスがべたべた触る触り方からリンが厳しい目で見てきたり、王妃様も軽蔑しきったすごい目つきで睨んできていた

これはぼくじゃなくてヴァイスに向けられているものと思いたい

だから今の状況、これは非常にマズいことなのだ。きっと

今のぼくにはカンナもいないし、リンも何度か呼んでみたけれど隣の部屋は静まり返っていて出て来ない

「……どうしよう。どうしたらいい?寝たふりする?ほんと怖い。逃げるのは出来ない…リンが巻き込まれてマズい気がする」

子供のぼくでは、全くなす術がない。うろうろしながら、所在なく考えていると、部屋をノックする音が響いた

もうぼくの身の回りを世話してくれる侍女もいないので、冷や汗をだらだらかきながら返事をすると、侍女がうやうやしく入室してきた

「王妃様からのご命令です。今から中庭においでになるようにとのことです」

「えっ、でも、もう夜も遅いですけど…」

「…リン様がお待ちですよ。陛下は王妃様がお相手しておりますので来られませんよ」

「……リンが?………すぐに準備する。あの、行くから、案内してくれる?」

王妃様だけなら行かない方がいいけれど、リンがいるならば別だ

ヴァイスが来ないなら好都合。怖いし会いたくなかったし。それにリンの呼び出しを無視して、これ以上嫌われたくなかった

案内してくれる侍女は静かに俯いたまま、灯りを手に先導してくれる

外に出ると少し冷たい風に身震いをして、足早に歩く侍女の後ろを一生懸命ついていくと、後宮の長い廊下を通り空き地に出て、さらに門を出て後宮からも出ようとしている

「あ、あの、後宮から出たらぼくはともかく、貴女は死罪ですよ?本当にリンがいるんですか?」

「黙れ。よくも王妃様を悲しませてくれたな。お前はこの先で死ぬんだよ」

無表情で侍女が手を伸ばしてきて、刺激臭のする布を口元に当てられた

「なっ!?やめ!……や……」

霞む目に遠くなっていく意識に、ふらりと体勢を崩すと、意識が真っ暗になっていく

「……教団の御心のままに」

微かに聞こえた声を最後に意識を失った












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