へっぽこ勇者と色情狂いの王様

66

文字の大きさ
19 / 53

モンスターの巣窟

しおりを挟む










ピチョンと顔に水滴が落ちてきたので、もそもそ顔を拭う

全身の痛みに呻きながら顔を上げると真っ暗な岩肌に、洞窟のような場所で1人寝かされていた

ゆっくりと立ち上がり周りを見渡す

「どこだ?ここ……」

心細さに岩肌に身を隠しながら、明かりがある方に進むと、開けた洞窟の真ん中で普通にゴブリン達が宴会を開いていた

「ひっ……!やば…」

慌てて岩陰に隠れたので、ゴブリン達はこちらに気付いていない

こっちの洞窟は行き止まりなので気付かれたり、こっちに来られたら、すぐにバレてしまう

丸腰で武器もない状態で、あんな数のゴブリンに囲まれたらひとたまりもないだろう

ゆっくりと来た道を引き返し、岩陰に身を潜める

ここは恐らく、勇者の剣の洞窟

王国の城から、かなり離れたCランクのクエストの洞窟だ

攻略自体は難しくないのだが、ゴブリンの巣窟なので数で押されるのでソロプレイヤーには難関の場所なのだ

最下層には勇者の剣があるそうだが、この剣は誰にも抜けないことで有名だ

「なんで、こんな所に…どうしよう…ゴブリンに丸焼きにされるのかな?」

そわそわと明かりがある方向を見るが、ゴブリン達の影が大量に見えて恐怖で涙が溢れる

ここで死ぬんだろうか?

1人でもゴブリンに見つかったら死ぬだろう

でも、この場所にぼくを安置した人は、多分あの侍女だと思うのだけれど、どうやって此処にぼくを放置できたんだろう?

戦闘があったようには見えないし、あの量のゴブリンに見つからず、あの場所を通って此処に放置出来ること自体、奇跡みたいに思える

つまり、こっち側にわからない安全な道があるんじゃないだろうか?

でも、こっちには岩肌だけで、何もない行き止まりに見える

岩肌を触りながら考え込んでいると、冷たい風が一部分から出ているのに気がついた

「ここ……隙間?風が通るなら外に通じてる?」

ペタペタと壁を触っていると、妙な出っ張りがあった

「なんだろう?これ?」

思いっきり押してみると、物凄い物音と共に壁の一部分が無くなり、下に続く階段が現れた

ぎぃっ!ぎぃっ!

と階段が現れた物音で、ゴブリンが叫んでいる

「ひぃっ!」

飛びかかってくるゴブリンや石の斧を振り下ろしてくるゴブリンを避けながら慌てて階段を駆け降りる

後ろから迫り来るゴブリンに泣きながら走っていると、大きな広間の真ん中に大きな剣が鎮座していた

「ひいいいいっ!剣!?武器!?武器!武器!」

もうこの際、武器ならばなんでもいい

剣まで全力疾走で走って抜き取ると、剣はあっさり抜けた

青白く光る不気味な剣を構えると、ゴブリン達は恐れをなしたのか少し怯んで、ぼくを取り囲む





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

結婚間近だったのに、殿下の皇太子妃に選ばれたのは僕だった

BL
皇太子妃を輩出する家系に産まれた主人公は半ば政略的な結婚を控えていた。 にも関わらず、皇太子が皇妃に選んだのは皇太子妃争いに参加していない見目のよくない五男の主人公だった、というお話。

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...