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しおりを挟む素早く場を離れ、松末に腕を引かれ松末が滞在している離宮に引きずられて連れて行かれた
連れて行かれる三宜を黙ったまま清順は、松末と三宜の繋がれた手を、ずっと見ていた
静かな離宮で松末はすぐに人払いをはじめた。侍女達を追い出し、松末の部屋のだろう、落ち着いた雰囲気の松末らしい簡素な部屋だった。
他の人の離宮にお邪魔したので、ちょっと嬉しくなりながら、周りを見る。
「やばいよ、何してんだよ三宜!お前死ぬぞ!死ねたらマシか。嬰林がどうなったのか忘れたのか!?まだ悍ましく生かされていて、殺してくれと毎日懇願してるそうだぞ!?三宜、正気か!?相手が誰であれ清順様だけではなく選定の儀中はやばいよ!!」
くりくりの目を忙しなく動かし慌てている松末に両肩をもって揺さぶられるが、三宜とて不可抗力である
清順には逆らえないし、かといって皇帝に先程のやりとりがバレるだけでもまずいだろう事は三宜にだってわかっている
「いや、違うって、ないって…」
ないよな?多分……
疲れ切って力なく言う三宜に松末は頭を抱えたままだ
「じゃあ、何で殿下はあんな事言うんだよ?おい、嫌だよ。俺は…嬰林だって、三宜だって…もう失いたくないんだよ。頼むよ、三宜。絶対に殿下にもう近づかないと約束してくれ」
泣きそうな松末に、自分だって近付きたいわけではないと叫びたい
しかし、それが何になるだろう
疲れた顔で頷く三宜に、松末は不安な面持ちで三宜の顔を見つめてくる
「ずっと、三宜と一緒にいる時に得体の知れない絡みつくような視線を感じるんだよ。怖いんだ」
それはきっと松末の気のせいではなく、三宜に関わる事なのだろう
もしかしたら、運命の番かもしれない。
三宜もずっと感じている。視線や、気配が宮廷にきてから常にだ。
どうしてこんなに不安になるのだろうか?
三宜に絡みつく視線はねばっこく、執着を感じる
かといって、それを追求するのも恐ろしい気がする
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