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しおりを挟む何故かぐるぐる巻きに拘束された俺は、一番大きな野営地に連行された
もちろん、バルジアンも兵士に手を繋がれて、何故か俺を縛っている縄を上機嫌で持ったまま付いてくる
え?これどんな状況……
そう思いながら、野営地で跪かされ一番偉そうな奴が俺を見下ろしていた
金髪きらきらの蒼い目の美形は、身なりも中世の貴族のような出立で、よく見たらバルジアンに、似ている
バルジアンも今は食虫花でべたべたにされた服から身なりの良い服に着替えていた
「その方、よくも皇族である弟であるバルジアンと我が婚約者のデザイヒンを誘拐したな!!」
怒りまくっている美形は、どうやらバルジアンの兄らしい。俺に剣を向けてくる
「バルジアンはともかく、婚約者のデザイヒンをどこにやった!?」
きっと睨むバルジアン兄に、ひっと怯えながら、後ろにいた兵士に縄を締め上げられる
「はやく吐けっ!!」
大人に囲まれてうるうると泣きそうになりながら、バルジアンに助けを求める
しかし、バルジアンはにこにこと笑ったままだ
あれ?これ本当に大丈夫?
不安になりながら、鬼の形相のバルジアン兄を見上げる
その時、兵士が俺のパーカーのポケットに入れていた、バルジアンから貰った蒼い宝石を見つけ絶句する
「でん、殿下あ!!こ、これは!」
兵士がわざとらしく唾を飛ばしながら叫び、蒼い宝石を取り上げた
「そ、それはデザイヒンの首飾りであるウォータームーン!!貴様ぁ!デザイヒンをどうしたぁっ!!」
ひーっ!となりながら、頭の隅でアレって食虫花の中から出てきたよな?と回想するも、口に出したら殺されそうだ
バルジアンは何も言わずにニコニコしているし、これ本当にどうしたらいいんだ
「あ、あう…その…あの…しょ、しょく、食虫…」
あまりの恐怖につっかえつっかえになりながら、吃るとバルジアンがすっと俺の前に出てくる
バルジアン!!信じてたよ!!
うるうるとバルジアンを見上げる俺に、バルジアンはフッと大人っぽい笑みを見せる
バルジアン…??
「ユーリ兄上ぇ、うっ、うっ、怖かったよぉ」
はあっ!!?
泣きながらバルジアンはユーリに抱きついていく
白いまつ毛が濡れて庇護欲を掻き立てる姿だ
突然のバルジアンの裏切りに全身の毛が逆立つ
きっとユーリもバルジアンの肩を抱きながら、こちらを睨む
「貴様ぁ、よくもっよくもっ!バルジアンだけでなく、デザイヒンをっ」
ユーリの激昂にユーリの腹のあたりに抱きついているバルジアンはペロリと自分の唇を舐めて見せる
はああああぉあ!?
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