Amor et Odium

佐野絹恵(サノキヌエ)

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…………………………

私は目が覚めると
暖かく柔らかいベッドに包まれていた

!?

驚きのあまり、私はベッドから飛び起きる

「…え…!?」

私は辺りを見渡す

そこは…小さい部屋だが
清潔感のある綺麗な部屋
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お、目が覚めたようじゃな? 


「…え…誰…!?」

急に頭上から女性の声が聞こえた
私は驚きのあまり辺りを
見渡すが人の姿はない

おぬしは
助けた相手に感謝の言葉もないのか?
まぁ…いい…取り敢えず…
身嗜(みだしな)みを
整えて貰っても良いかや?
酷い格好じゃぞ
おぬしの所に人を呼んだ
そのまま待っておれ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「…あ…あの…!!」

私は女性に声を掛けるが返答はなかった
戸惑っていると、部屋のドアにノック音がする
【人を呼んだ】の女性の言葉を思い出す

「…はっ…はい!!」

緊張のあまり声が裏返ってしまう

部屋のドアが開き
スーツ姿の若い男性が姿を現す

「モルテと申します、ご主人様からお世話を任せられました」

深々と頭を下げ挨拶をした男性…モルテ
彼は無表情で肌の色は…死人の様に肌が白い

人間味のない彼に不気味さを覚える ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「ご主人様に挨拶しに行く前に
身嗜みを整えて頂きます」

部屋を出て別の場所へ移動する
そこは広い入浴所、私は入浴をさせられた

モルテの手で頭の先から足の先まで
隅々まで何度も何度も洗われる

彼の掌(てのひら)は酷く冷たい

私が着ていた衣類は処分された後(のち)
代わりの物が用意されており、それに身を包む

入浴後は食堂に通される
食堂も入浴所と同様に広い
食堂のテーブルに席に着くと
温かい食事を提供された

屋敷では食事を出された記憶があまりない
キッチンから食べ物を盗み食べていた記憶が…脳裏に蘇る

食事にありつけない日もあったので
常に飢えていた
屋敷での私の扱いは人間以下だったな…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
食事を終えた後、大広間に案内された

大広間には祭壇があり
祭壇の近くまで寄る
すると…

待っておったぞ
おぉ小綺麗になったのぉ
食事も摂ったのか?


祭壇からは、部屋で聞いた女性の声が
はっきりと聞こえる

「…………」

私は驚きのあまり、開いた口が塞がらない


はぁ...
現実世界では不思議な光景かと思うが
しかし此処は、おぬしの知っている世界ではない
いい加減慣れてほしい


女性の声からは怒りの感情が読み取れる
私が驚いてばかりいる姿を見て
女性は怒りを覚えたのだろう

「…私は…死んだ…の?」

場の空気が悪いと思った私は
女性の機嫌を良くする為
態度を変え女性に問いをする


…おぬしの話し方、独特じゃな…
話しにくそうじゃ、それに…苦しいじゃろ
痛いと思うが我慢じゃ
わしが治してやる


女性の言葉の後
光のオーラが現れ、私の喉を包む

「ア゙ア゙!!」

喉に激痛が走る

「息が…出来…ない…」

私の身体は地に倒れ、藻掻(もが)き苦しむ
徐々に目の前が暗闇に包まれ
私は意識を失ってしまった
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