Amor et Odium

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「お前に訪ねたい事がある」

俺達は落ち葉の絨毯に腰を下ろし休んでいた

「えぇ､何でしょうか？」

正直､この質問はしたくはないが
教会には規則がある
質問の返答次第では､司祭達に伝えなければならない

「お前は何故､男装をしているんだ？」

俺の質問にアレンは驚き一瞬､顔を曇らせる
そして困り顔をした後､微笑を浮かべ口を開いた

「僕…いぇ､私が男装をし
教会に務めているのは司祭様達は了承しています」

アレンのこの返答に俺は安心したが

「そうなのか？……理由を訪ねても良いか？」

続けたこの質問にも
アレンはすんなりと了承し説明を始めた

「少し長くなりますがお付き合いお願い致します─────────」
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私の生まれは何不自由する事のない
富と名声を得た高級貴族の家です

家には使用人が大勢､要るのですが
家族のその方々の扱いが
あまりにも酷いのです…

暴力や罵倒は勿論の事…
家の地下には拷問部屋があり
粗相（そそう）をしたり､気に入らない使用人は
餌食になります…

そんな劣悪な環境ですから
流石に死人が出ました

ですが…
重大な事が起きたにも関わらず
父は揉み消したのです

家族の行ないを見て見ぬふりをしていた私ですが
我慢の限界に達し父に抗議しました

その結果

私は悪名高い貴族の家に嫁ぐ事になりました

彼の年齢は50代後半
若く綺麗な女性が好きらしく
使用人相手だろうが､構わずベッドに誘うそうです

最悪な事に､そんな彼は村の領主
村からは税金を搾取し
己自身は搾取した金で豪遊していると言うのです

そんな彼の所に嫁けば
地獄の様な生活が待ち受けているはずです

しかも…彼は7度程､離婚しています

セドリックさんも存じ上げている通り
カトリック教は離婚が認められていません

妻が死亡した場合のみ再婚が認められる
なのでしょうか…
彼は妻とは全員､死別しているのです

死因は謎

怖くなった私は嫁ぐ前夜に
家から逃げ出し教会に助けを求め
匿（かくま）ってもらいました

正体を隠す為

長かった髪を切り男装をし､偽名を使い
教会で神に仕えさせて頂いている

と言う理由（わけ）です
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そこまで説明したアレンは
暗い表情のまま俯き､固く口を閉ざしてしまった

まだ聞きたい事はあるが､これ以上は無理だろう

「少し､仮眠を取るぞ…
取り敢えず､この訳分からん所を出る方が先だ」

俺達はこうして休憩を取る事にした
 
しかし､2人同時に睡眠を取るのは危険な為
交互にだがな