Amor et Odium

佐野絹恵(サノキヌエ)

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私は目を覚ます

屋敷に戻って来て早々に
お風呂には入らず
自室のベッドで眠りについてしまったのだわ

陽はとうに暮れ
辺りは暗闇と静けさに満ちている

ベッドから抜けると
サイドテーブルにあるランプに火を灯し
ランプを手に衣装部屋に向かった



・  

鍵付きの衣装部屋に足を踏み入れると
自然と溜息が出た

まだ疲れが残っているのだわ
明日はゆっくりと休みましょう

貴族の娘には狭過ぎる衣装部屋の
ドア付近のサイドテーブルにランプを置き
火を吹き消す
   
衣装部屋にはクローゼットのみがある

勿論、この部屋は衣装部屋としては
利用してはいない

この部屋は人目がつかない様にする為の通路
この道はある場所へ繋がっている

私は正面のクローゼットの中へ侵入した
中は薄暗く慎重に足を進めた





クローゼット内は地下へ続いている
薄暗い階段なのだから
足でも踏み外せば一大事

短い下り階段から平坦な道へ出た
そこから、しばらく足の歩みを進める
と視界が蒼くなった

ここまで来たら、もう大丈夫ね

私は俯き加減で足の歩みを進める 

前を向いてはいけない
私は故意に俯いているのだ

そうしなければ辿り着く事は出来ない





すると足元に野原が見える
そのまま視線を正面に移す  

私の視界の前には森の中に佇む屋敷

そして屋敷の中には
今日、葬式をしたセドリックさんがいる

私は屋敷の門を開けようとしたが…
相変わらず硬く閉まっていた
私は思わず深い溜息をつく

「今日は貴方のお葬式に行って参りました
ご報告致します!!」

屋敷内へいるであろうセドリックさんに
聞こえる声量で私は声を張り上げる

愛しのセドリック…様…
貴方様にはもう会えないのね…

あの日…セドリック様は
この屋敷に留まる事を決めた

屋敷を目の前に
目を瞑(つむ)りあの日の事を思い出す





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
目の前に眩い光が射し
私は思わず目を強く瞑る

「………!?」

屋敷内の視界がゆっくりと変わる





辺りを見渡すと森の中にいた
目の前には屋敷の門がある

「…セドリックさん!!」

私は屋敷から追い出されたのだ
敷地内からも…

そして、まだ
屋敷の中にはセドリックさんがいる

私は急いで屋敷の門を潜ろうと
門に手を伸ばすが
固く閉ざされ全く動かない

「何故!?何故、開かないの!?」

しばらくの間
門を開こうと奮闘したが
やはり門は開く事はなく
絶望に打ちひしがれた私は
そのまま門の前で崩れ落ちた





「…アレン…アレン…」

項垂れる私の頭上から
想い人のセドリックさんの声が聞こえる

私は思わず顔を上げると
そこには門越しに
セドリックさんが私を見つめていた

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