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私は目を覚ます
屋敷に戻って来て早々に
お風呂には入らず
自室のベッドで眠りについてしまったのだわ
陽はとうに暮れ
辺りは暗闇と静けさに満ちている
ベッドから抜けると
サイドテーブルにあるランプに火を灯し
ランプを手に衣装部屋に向かった
・
・
・
・
・
鍵付きの衣装部屋に足を踏み入れると
自然と溜息が出た
まだ疲れが残っているのだわ
明日はゆっくりと休みましょう
貴族の娘には狭過ぎる衣装部屋の
ドア付近のサイドテーブルにランプを置き
火を吹き消す
衣装部屋にはクローゼットのみがある
勿論、この部屋は衣装部屋としては
利用してはいない
この部屋は人目がつかない様にする為の通路
この道はある場所へ繋がっている
私は正面のクローゼットの中へ侵入した
中は薄暗く慎重に足を進めた
・
・
・
・
・
クローゼット内は地下へ続いている
薄暗い階段なのだから
足でも踏み外せば一大事
短い下り階段から平坦な道へ出た
そこから、しばらく足の歩みを進める
と視界が蒼くなった
ここまで来たら、もう大丈夫ね
私は俯き加減で足の歩みを進める
前を向いてはいけない
私は故意に俯いているのだ
そうしなければ辿り着く事は出来ない
・
・
・
・
・
すると足元に野原が見える
そのまま視線を正面に移す
私の視界の前には森の中に佇む屋敷
そして屋敷の中には
今日、葬式をしたセドリックさんがいる
私は屋敷の門を開けようとしたが…
相変わらず硬く閉まっていた
私は思わず深い溜息をつく
「今日は貴方のお葬式に行って参りました
ご報告致します!!」
屋敷内へいるであろうセドリックさんに
聞こえる声量で私は声を張り上げる
愛しのセドリック…様…
貴方様にはもう会えないのね…
あの日…セドリック様は
この屋敷に留まる事を決めた
屋敷を目の前に
目を瞑(つむ)りあの日の事を思い出す
・
・
・
・
・
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
目の前に眩い光が射し
私は思わず目を強く瞑る
「………!?」
屋敷内の視界がゆっくりと変わる
・
・
・
・
・
辺りを見渡すと森の中にいた
目の前には屋敷の門がある
「…セドリックさん!!」
私は屋敷から追い出されたのだ
敷地内からも…
そして、まだ
屋敷の中にはセドリックさんがいる
私は急いで屋敷の門を潜ろうと
門に手を伸ばすが
固く閉ざされ全く動かない
「何故!?何故、開かないの!?」
しばらくの間
門を開こうと奮闘したが
やはり門は開く事はなく
絶望に打ちひしがれた私は
そのまま門の前で崩れ落ちた
・
・
・
・
・
「…アレン…アレン…」
項垂れる私の頭上から
想い人のセドリックさんの声が聞こえる
私は思わず顔を上げると
そこには門越しに
セドリックさんが私を見つめていた
屋敷に戻って来て早々に
お風呂には入らず
自室のベッドで眠りについてしまったのだわ
陽はとうに暮れ
辺りは暗闇と静けさに満ちている
ベッドから抜けると
サイドテーブルにあるランプに火を灯し
ランプを手に衣装部屋に向かった
・
・
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・
・
鍵付きの衣装部屋に足を踏み入れると
自然と溜息が出た
まだ疲れが残っているのだわ
明日はゆっくりと休みましょう
貴族の娘には狭過ぎる衣装部屋の
ドア付近のサイドテーブルにランプを置き
火を吹き消す
衣装部屋にはクローゼットのみがある
勿論、この部屋は衣装部屋としては
利用してはいない
この部屋は人目がつかない様にする為の通路
この道はある場所へ繋がっている
私は正面のクローゼットの中へ侵入した
中は薄暗く慎重に足を進めた
・
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クローゼット内は地下へ続いている
薄暗い階段なのだから
足でも踏み外せば一大事
短い下り階段から平坦な道へ出た
そこから、しばらく足の歩みを進める
と視界が蒼くなった
ここまで来たら、もう大丈夫ね
私は俯き加減で足の歩みを進める
前を向いてはいけない
私は故意に俯いているのだ
そうしなければ辿り着く事は出来ない
・
・
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すると足元に野原が見える
そのまま視線を正面に移す
私の視界の前には森の中に佇む屋敷
そして屋敷の中には
今日、葬式をしたセドリックさんがいる
私は屋敷の門を開けようとしたが…
相変わらず硬く閉まっていた
私は思わず深い溜息をつく
「今日は貴方のお葬式に行って参りました
ご報告致します!!」
屋敷内へいるであろうセドリックさんに
聞こえる声量で私は声を張り上げる
愛しのセドリック…様…
貴方様にはもう会えないのね…
あの日…セドリック様は
この屋敷に留まる事を決めた
屋敷を目の前に
目を瞑(つむ)りあの日の事を思い出す
・
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目の前に眩い光が射し
私は思わず目を強く瞑る
「………!?」
屋敷内の視界がゆっくりと変わる
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辺りを見渡すと森の中にいた
目の前には屋敷の門がある
「…セドリックさん!!」
私は屋敷から追い出されたのだ
敷地内からも…
そして、まだ
屋敷の中にはセドリックさんがいる
私は急いで屋敷の門を潜ろうと
門に手を伸ばすが
固く閉ざされ全く動かない
「何故!?何故、開かないの!?」
しばらくの間
門を開こうと奮闘したが
やはり門は開く事はなく
絶望に打ちひしがれた私は
そのまま門の前で崩れ落ちた
・
・
・
・
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「…アレン…アレン…」
項垂れる私の頭上から
想い人のセドリックさんの声が聞こえる
私は思わず顔を上げると
そこには門越しに
セドリックさんが私を見つめていた
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