【完結】大好きなラノベ作家の正体が初めてを捧げたワンナイトラブの相手だったので今すぐに爆発します。

コウヨリモカ@新作ヒーヒー執筆中✏️💦

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第一章 別れの後に、出会いがある。

その男、恋敵につき。

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「……さて、と」

 (悲しい願いと書いて)悲願達成し、ラブホを一人で抜け出したはいいものの、まだ外は真っ暗だった。

 そりゃ、そーだ。

 時計を見ると、まもなく午前3時を回ろうとしているところだ。

「……ふーう」

 いや、いっそ清々しいほどのピンチじゃん。

 始発まで、あとまだ1時間以上もある。俺はあと、1時間以上も女装したままで(なんで女の子の服ってこんなに薄いの!?)、クリスマスに、こんな姿で街中をうろついてないといけないのか……?

 うっかりネットカフェでも入ったら、朝までぐうすか寝ちまいそうだし、ビジネスホテルは……いや、無理だな。変質者扱いで通報されかねねーし……。


 ふと、こんなときに思い浮かぶのは、いつだって、「たろさん」のことだ。

 たろさんは、俺が高校時代に山田と連れ立って、よく行ってた本屋のバイトの人なんだけど、なんと名前を山田太郎という。

 山田とごっちゃになるから、「たろさん」と呼ばせてもらってるけど、たろさんは、その平凡すぎる名に相応しくないくらい、めちゃくちゃイケメンな人だ。

 俺らは、ただの「本屋の店員と、客」っていう、薄い関係ではあるんだけど、でも俺たちには絶対的に分厚すぎる共通点があった。

 俺と、たろさんとは、なんと恋敵なのだ。

 初めて、そのことを知ったとき、めちゃくちゃ驚いたし、フツーに信じられなかった。だって、たろさんみたいなイケメンが、なんでわざわざ山田を好きになるんだよ、ジョーダンだろと、俺はちょっと詰め寄っちゃったかもしんない。(もち、山田もめちゃくちゃイケメンなんだけどな、ぐふふ)

 ……そのときに、俺は、たろさんにゲイであることを教えてもらったってわけ。

 しかも聞いてみれば、たろさんが山田を好きになったの、まだ俺たちが高校生のときらしくて、ほぼ俺と片想い歴がおんなじだったから、マジでビビったんだけども。

 まったく、山田も罪作りな男だよなあー。


 ――そもそも、たろさんに声をかけたのは、俺の方だった――


 大学に入って、ほぼ山田と音信不通になっちゃった俺は、たまに暇なときなんかに気が向くと、駅前の本屋に立ち寄るようになっていた。

 そこは、いわゆる高校時代に、よく山田と2人で通っていた本屋で……。まあ、正直、ワンチャン山田に会えるかもと期待していたわけだが、何度行っても全く会える気がしなかったから、思いきって店員さんに声をかけてみたのがきっかけ。


「……あのう」

「あ、大吉クンなら来てないよ、卒業してから一度も来てない(早口)」

「……えっと」

 ……ん?
 俺まだ何も言ってねーよな……?
 え?
 なに、この人……えっ、コワイ……!

 いや、まさか、たまたま話しかけた本屋のバイトが恋のライバルだなんてフツー思わないじゃん? しかも、たろさん、山田との恋に願掛けして、もうずっと、髪の毛切ってないらしくて、めっちゃロン毛なんだわ。

 でもそれ、何のための努力? 本屋の店員だから、客に声かけることもできねーし、ましてやナンパするなんてぜってえー無理だし(そんなん俺が許さねえし)、ロン毛やって何か意味あんの?

 だけど、そう言えば言うほど、全部がぜんぶブーメランで、自分にも跳ね返ってきちゃうわけで……。

 山田に会えるわけでもないのに、何で本屋に通ってんの? 奇跡的な運命みたいにバッタリ会えるとでも思ってる? 月9じゃねえーんだからさ!


 ……そんで、俺たちは、なんかめちゃくちゃ仲良しになったんだよな。恋敵だってのにさ、ウケる。

 でもさ……。

 ってところで、仲間意識が爆上がりしたんだわ。

 それから、ちょっと寂しいときとか、心にすき間風が吹いたときみたいなさ……あと、単純に山田の件で愚痴りたいときなんかに、気づいたら本屋に行くようになってて、しばらくしてLINE交換してからは、お互いたまに電話もする仲なんだよな。

 まあ、フツーなら恋敵と仲良くなるだなんて、あり得ないんだろうけどさ。

 俺にしてみりゃ、山田の話を気兼ねなくできる相手なんて、初めてだったから。そっちの方が重要だったってワケ。だって、人間って、誰だって話したいし、話を聞いてほしくてたまらない生き物だろ?


 そんなわけで、俺は、気づけばたろさんに電話を掛けていた。

 大都会のクリスマス当日、深夜3時の女装姿で。


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