5 / 28
情報なし
しおりを挟む
此処は魔界を統べる恐ろしい魔王様のお城。
魔女は壁に布をはり、そこに大きくハートを描いて得意げにしている。
「だから、見えないって……はぁ……」
相変わらず、ほぼ見えていないという事を考えていない魔女に魔狼はため息をつく。
「実に微笑ましい光景だと思う、見守ってやろう。若い時は失敗も必要だ」
魔女の行動を微笑ましいと言ってのけたのは、爪を封じられた毒竜だ。
毒竜は長い時を生きているせいか妙に爺臭い。
四天王の年齢順でいうと毒竜、吸血鬼、魔狼、差が開いて魔女なので孫でも見てる気分になっているのだろうか。
「……ん? 魔王様っていくつだっけ」
「さぁ。私より年上だったはずだが、聞いたことはないな」
毒竜は首を傾げる。そういえば魔王様はいくつなのか、自分が子供の頃には既に今の姿だったので上なのは確実だろう。
「マジか爺さんより上って……」
「爺さんと呼ぶな。せめてお爺ちゃんと呼びなさい」
大差ねぇよ、と魔狼は思ったが妙な拘りのある毒竜の前では言葉を飲み込む。
魔狼と毒竜が世間話をしている間に、伝わらなかった魔女がしょんぼりと肩を落として布を回収していた。
魔女は壁に布をはり、そこに大きくハートを描いて得意げにしている。
「だから、見えないって……はぁ……」
相変わらず、ほぼ見えていないという事を考えていない魔女に魔狼はため息をつく。
「実に微笑ましい光景だと思う、見守ってやろう。若い時は失敗も必要だ」
魔女の行動を微笑ましいと言ってのけたのは、爪を封じられた毒竜だ。
毒竜は長い時を生きているせいか妙に爺臭い。
四天王の年齢順でいうと毒竜、吸血鬼、魔狼、差が開いて魔女なので孫でも見てる気分になっているのだろうか。
「……ん? 魔王様っていくつだっけ」
「さぁ。私より年上だったはずだが、聞いたことはないな」
毒竜は首を傾げる。そういえば魔王様はいくつなのか、自分が子供の頃には既に今の姿だったので上なのは確実だろう。
「マジか爺さんより上って……」
「爺さんと呼ぶな。せめてお爺ちゃんと呼びなさい」
大差ねぇよ、と魔狼は思ったが妙な拘りのある毒竜の前では言葉を飲み込む。
魔狼と毒竜が世間話をしている間に、伝わらなかった魔女がしょんぼりと肩を落として布を回収していた。
0
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
二度目の勇者は救わない
銀猫
ファンタジー
異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。
しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。
それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。
復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?
昔なろうで投稿していたものになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる