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覚えていない
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此処は魔界を統べる恐ろしい魔王様のお城。
禁酒期間が終わった吸血鬼に魔女が捕まっている。
「魔女さん、魔女さん一緒に飲みましょう」
ぐいぐい押し付けられるワイングラスを魔女は不思議そうな顔で受けとった。
吸血鬼が誰かに自分のワインを分け与えるなんて珍しい。とても機嫌が良いようだ。
「かんぱーい」
乾杯の声を聞き、そういえばワインを飲んだ事が無かった――吸血鬼が全て飲む為――なと思った魔女はわくわくしながら一口だけ口に含んだのだが……。
其処から魔女の記憶が無い。
「あれ、魔女の奴寝てるのか?」
魔狼がテーブルにうつ伏せになりながらすぅすぅと寝息をたてる魔女に気づくと、小さな声で吸血鬼に話しかける。
吸血鬼は疲れたようにゆっくりと口を開いた。
「ああ……魔女さんが酔って、ま」
「ま?」
「いえ、この事は僕の口からはとても……」
吸血鬼が視線を逸らして気まずげにしている。滅多にしない表情だ。
「何があったんだ……?」
「とにかく、あまりにもアレだったので、少し強引に眠って貰いました」
衝撃で酔いも覚めてしまったと吸血鬼はため息をつく。
「本当に何があったんだ……!?」
禁酒期間が終わった吸血鬼に魔女が捕まっている。
「魔女さん、魔女さん一緒に飲みましょう」
ぐいぐい押し付けられるワイングラスを魔女は不思議そうな顔で受けとった。
吸血鬼が誰かに自分のワインを分け与えるなんて珍しい。とても機嫌が良いようだ。
「かんぱーい」
乾杯の声を聞き、そういえばワインを飲んだ事が無かった――吸血鬼が全て飲む為――なと思った魔女はわくわくしながら一口だけ口に含んだのだが……。
其処から魔女の記憶が無い。
「あれ、魔女の奴寝てるのか?」
魔狼がテーブルにうつ伏せになりながらすぅすぅと寝息をたてる魔女に気づくと、小さな声で吸血鬼に話しかける。
吸血鬼は疲れたようにゆっくりと口を開いた。
「ああ……魔女さんが酔って、ま」
「ま?」
「いえ、この事は僕の口からはとても……」
吸血鬼が視線を逸らして気まずげにしている。滅多にしない表情だ。
「何があったんだ……?」
「とにかく、あまりにもアレだったので、少し強引に眠って貰いました」
衝撃で酔いも覚めてしまったと吸血鬼はため息をつく。
「本当に何があったんだ……!?」
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