26 / 28
わからない
しおりを挟む
此処は魔界を統べる恐ろしい魔王様のお城。
聖騎士と魔女がお茶会をしている。
何故こうなったという疑問に答えは出ず、魔女はぬるいミルクティーをこくりと飲んだ。
「……はぁ」
先程からため息をついている天使族の聖騎士は、普段から無口で無表情だ。
何となく機嫌が悪いような気がするものの、その表情はピクリとも動かない。
ため息をつきながらすごい勢いでクッキーを消費している――魔女の分が無くなった――聖騎士の表情を読み取る能力など、魔女には無い。
ただ、聖騎士の白い羽は苛ついたようにバサバサとはばたいていた。
そこそこ煩い。
「……聖女様」
ぽつりと聖騎士が呟く。
「……聖女様は可憐で……お優しい」
惚気だろうか。魔女は隠していたカップケーキをちまちま食べながら、適当に頷いた。
「その優しさにつけ込んであいつ等は……鬱陶しい」
嫉妬? 嫉妬の話? と魔女が首を捻っていると聖騎士は小さく呟き始めた。
恐らく話というより独り言に近い聖騎士の言葉は、断片的でよくわからない。
「……切り落とすか」
わからないのだが、何か怖い。
魔女はこれで落ち着いてと思いながら、もう一つのカップケーキをそっと差し出した。
聖騎士と魔女がお茶会をしている。
何故こうなったという疑問に答えは出ず、魔女はぬるいミルクティーをこくりと飲んだ。
「……はぁ」
先程からため息をついている天使族の聖騎士は、普段から無口で無表情だ。
何となく機嫌が悪いような気がするものの、その表情はピクリとも動かない。
ため息をつきながらすごい勢いでクッキーを消費している――魔女の分が無くなった――聖騎士の表情を読み取る能力など、魔女には無い。
ただ、聖騎士の白い羽は苛ついたようにバサバサとはばたいていた。
そこそこ煩い。
「……聖女様」
ぽつりと聖騎士が呟く。
「……聖女様は可憐で……お優しい」
惚気だろうか。魔女は隠していたカップケーキをちまちま食べながら、適当に頷いた。
「その優しさにつけ込んであいつ等は……鬱陶しい」
嫉妬? 嫉妬の話? と魔女が首を捻っていると聖騎士は小さく呟き始めた。
恐らく話というより独り言に近い聖騎士の言葉は、断片的でよくわからない。
「……切り落とすか」
わからないのだが、何か怖い。
魔女はこれで落ち着いてと思いながら、もう一つのカップケーキをそっと差し出した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
69
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる