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1章-エルファッタの想いは伝わらない-
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「カラス様……帰して」
カラスはどこかに転送した。そして一人ずつ部屋に案内された後、片手にガラスの手錠を掛けられる。
ガラスが傷ついたりしたら、カラスに伝えられるらしい。
「嫌ですっ!」
手を振り回すが、手錠はガチャガチャと言うばかりで勿論、一向に取れる気配がない。
「だってさ……逃げるじゃん。アオイは大人しくしてくれるけど……だから仕方なく。何もしないから、ね?」
エルファッタには“じゃん”の意味がわからなかったがそんなこと気にする余裕はない。
「お風呂……っ!」
「魔法で何とかしたら?手錠に魔法無効化はかかってないし。じゃっ、明日」
カラスは扉をガチャと閉めて出ていった。周りはシンプルで、豪華なものは一切ない。でもエルファッタにそんなことは気にしていなかった。
エルファッタは考えていた。魔法無効化がかけられてないのなら何とか、手錠は取れる! と考えていたが、その際に手首が傷つく。あれはダメ、これはダメで腹を括るしかなかった。
(ん……?そういや、ガラスって言ってた)
手錠をよく見ると、黒だったのでよく見えなかったが、少し透明になっていた。
そうするとあの手が使えると手を出して、唱える。
「Γίνεται καυτό」
ふわっと髪が舞い上がり、魔法陣が展開される。どんどんと熱くなっていって、エルファッタに手の感覚が失われていく。
魔法の発動方法は3種類ある。1つは呪文魔法だ。その名の通り、呪文を唱えて魔法を発動させる。呪文を覚えなければいけないのが難点だが、消費魔力は他と比べて少ない。
2つ目は、無詠唱魔法だ。これは念じることによって発動する。習得するのに時間がかかるが、呪文魔法よりも威力は少し大きい。呪文魔法の進化系だ。
そして、呪文魔法と杖を合わせたのが杖魔法だ。杖が必須となるが、威力は中々大きい。これはイメージするのが大切となる。イメージが大きかったら、威力も比例するように大きくなる。
今、私がやったのは呪文魔法だ。簡単な上に消費魔力は少ないのでほとんどの人が愛用している。
「κρυώσει」
キーンと冷たくなる。次は冷やされていって、熱い時と同じように感覚が失われていった。
パキンッ!
そう言ってガラスの手錠は割れる。ボロボロと落ちていく破片に気をつけながら手を引く。
「右手は使い物にならないわ……」
ベランダに出ると、そこは何階かわからないくらいの高い建物にいた。
空には鉄と思わしき物体が鳥になって飛んでいる。さらに地上には正面に顔、後ろは窓がついていると馬車のようなものが走っていた。馬がいないのに。それにも高くて石のような違うような物体で建てられている建物があった。……そう、ここは地球という名の世界だ。エルファッタのいた世界、アルテウツァ帝国からなぜかここに来たのだ。エルファッタのいるところはタワーマンション。部屋の中はアンティークの家具を揃えて作った。
そのことに驚いたエルファッタはフリーズした。
「ここ……どこ?」
「驚いたかしら?」
いつの間にかアオイが部屋に入っていた。ドアをノックするという常識も知らないのかしら……。
「ここはね、元々私のいた世界。懐かしい……」
アオイの横顔を見ていたが、景色に目を向ける。
「ここに私の憎い相手がいると思ったら、ぶち壊したくなっちゃう」
真顔で、真剣な顔で言った。さらっと怖いことを言うので、少し距離を取る。
下で歩いている人を見るとドレスではない村人達よりかは綺麗な服を着た人がいた。
「ドレスは……っ!? ここは貴族達が住みそうな場所なのに、村人がいるの!? まさか……反乱?」
アオイはぷっと笑う。それは心から笑っていた。エルファッタのような感情が見えない微笑みじゃなく。
「エルファッタ様、反乱とかしてないよ。ここの人……は、みんながこうやって生活するのを望んだから……」
あながち間違ってはいない。エルファッタは目を見開くと同時に、ガチャとドアが開く。入ってきたのはカラスだった。
「あれ? エルファッタ嬢。手錠かけて大人しクしときなって言ったのにナァ?」
何だかさっきのカラスとは違っていた。エルファッタの手がカラスに掴まれる。今日は手首を握られてばっかりだと呑気に考えていた。カラスの方向に手を引かれる。「わっ」と声を出す。
エルファッタは引きずられていった。だけど、上品だった。一挙一動美しかった。と言っていいのかわからないがアオイは思う。
カラスは明らかに怒っていた。言う通りにしない子はずっと嫌いだった。
「エルファッタ様!!」
手を伸ばすが何かに手を振り払われる。
エルファッタのいなくなった部屋で一人、寂しく残っていた。いつの間にかエルファッタに情が湧いていたみたいだ。エルファッタに魅了される。もしかしたら魅了魔法使ってるのかもと想像したりする。でも、エルファッタを救い出せない。
「嫌いだろ? エルファッタ嬢は」
誰かの声で目を覚ます。
(そうだ。エルファッタは憎い存在だ。アルファスを取ろうとする泥棒猫だ)
アオイは辛く歪んだ顔から、醜く嫉妬する顔に変わった。
カラスはどこかに転送した。そして一人ずつ部屋に案内された後、片手にガラスの手錠を掛けられる。
ガラスが傷ついたりしたら、カラスに伝えられるらしい。
「嫌ですっ!」
手を振り回すが、手錠はガチャガチャと言うばかりで勿論、一向に取れる気配がない。
「だってさ……逃げるじゃん。アオイは大人しくしてくれるけど……だから仕方なく。何もしないから、ね?」
エルファッタには“じゃん”の意味がわからなかったがそんなこと気にする余裕はない。
「お風呂……っ!」
「魔法で何とかしたら?手錠に魔法無効化はかかってないし。じゃっ、明日」
カラスは扉をガチャと閉めて出ていった。周りはシンプルで、豪華なものは一切ない。でもエルファッタにそんなことは気にしていなかった。
エルファッタは考えていた。魔法無効化がかけられてないのなら何とか、手錠は取れる! と考えていたが、その際に手首が傷つく。あれはダメ、これはダメで腹を括るしかなかった。
(ん……?そういや、ガラスって言ってた)
手錠をよく見ると、黒だったのでよく見えなかったが、少し透明になっていた。
そうするとあの手が使えると手を出して、唱える。
「Γίνεται καυτό」
ふわっと髪が舞い上がり、魔法陣が展開される。どんどんと熱くなっていって、エルファッタに手の感覚が失われていく。
魔法の発動方法は3種類ある。1つは呪文魔法だ。その名の通り、呪文を唱えて魔法を発動させる。呪文を覚えなければいけないのが難点だが、消費魔力は他と比べて少ない。
2つ目は、無詠唱魔法だ。これは念じることによって発動する。習得するのに時間がかかるが、呪文魔法よりも威力は少し大きい。呪文魔法の進化系だ。
そして、呪文魔法と杖を合わせたのが杖魔法だ。杖が必須となるが、威力は中々大きい。これはイメージするのが大切となる。イメージが大きかったら、威力も比例するように大きくなる。
今、私がやったのは呪文魔法だ。簡単な上に消費魔力は少ないのでほとんどの人が愛用している。
「κρυώσει」
キーンと冷たくなる。次は冷やされていって、熱い時と同じように感覚が失われていった。
パキンッ!
そう言ってガラスの手錠は割れる。ボロボロと落ちていく破片に気をつけながら手を引く。
「右手は使い物にならないわ……」
ベランダに出ると、そこは何階かわからないくらいの高い建物にいた。
空には鉄と思わしき物体が鳥になって飛んでいる。さらに地上には正面に顔、後ろは窓がついていると馬車のようなものが走っていた。馬がいないのに。それにも高くて石のような違うような物体で建てられている建物があった。……そう、ここは地球という名の世界だ。エルファッタのいた世界、アルテウツァ帝国からなぜかここに来たのだ。エルファッタのいるところはタワーマンション。部屋の中はアンティークの家具を揃えて作った。
そのことに驚いたエルファッタはフリーズした。
「ここ……どこ?」
「驚いたかしら?」
いつの間にかアオイが部屋に入っていた。ドアをノックするという常識も知らないのかしら……。
「ここはね、元々私のいた世界。懐かしい……」
アオイの横顔を見ていたが、景色に目を向ける。
「ここに私の憎い相手がいると思ったら、ぶち壊したくなっちゃう」
真顔で、真剣な顔で言った。さらっと怖いことを言うので、少し距離を取る。
下で歩いている人を見るとドレスではない村人達よりかは綺麗な服を着た人がいた。
「ドレスは……っ!? ここは貴族達が住みそうな場所なのに、村人がいるの!? まさか……反乱?」
アオイはぷっと笑う。それは心から笑っていた。エルファッタのような感情が見えない微笑みじゃなく。
「エルファッタ様、反乱とかしてないよ。ここの人……は、みんながこうやって生活するのを望んだから……」
あながち間違ってはいない。エルファッタは目を見開くと同時に、ガチャとドアが開く。入ってきたのはカラスだった。
「あれ? エルファッタ嬢。手錠かけて大人しクしときなって言ったのにナァ?」
何だかさっきのカラスとは違っていた。エルファッタの手がカラスに掴まれる。今日は手首を握られてばっかりだと呑気に考えていた。カラスの方向に手を引かれる。「わっ」と声を出す。
エルファッタは引きずられていった。だけど、上品だった。一挙一動美しかった。と言っていいのかわからないがアオイは思う。
カラスは明らかに怒っていた。言う通りにしない子はずっと嫌いだった。
「エルファッタ様!!」
手を伸ばすが何かに手を振り払われる。
エルファッタのいなくなった部屋で一人、寂しく残っていた。いつの間にかエルファッタに情が湧いていたみたいだ。エルファッタに魅了される。もしかしたら魅了魔法使ってるのかもと想像したりする。でも、エルファッタを救い出せない。
「嫌いだろ? エルファッタ嬢は」
誰かの声で目を覚ます。
(そうだ。エルファッタは憎い存在だ。アルファスを取ろうとする泥棒猫だ)
アオイは辛く歪んだ顔から、醜く嫉妬する顔に変わった。
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