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1章-エルファッタの想いは伝わらない-
016
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「別に、念話で話しても私はわかるのにな」
クロは呟いた。アルファスは聞いていて驚いた。他の皆は聞こえていない。
「~~~っ!」
言葉にならない叫びを出す。そうして皆は念話に夢中になっていると気づいた。だが、アルファスに迷惑だと言わんばかりの顔をしていた。そうじゃないと叫びたかったが、カラスの魔法で言えなかった。
「うるさいですよ、アルファス王子殿下」
ナーリットが言う。アルファスは顔を真っ赤にする。羞恥心と憤りを感じた。アルファスはクロに目を向ける。すると、艶めいた笑みを見せていた。口に人差し指を当てる。いつの間にか皆はエルファッタを注目していた。
「馬鹿な人たち」
エルファッタがそう言ったと思うと、魔法を使った。エルファッタは所持魔力が多い。だから、魔力を多く使う魔法も無くなりそうにならない限り、なんでもできるのだ。
「Κοιμηθείτε όλοι」
命令形式は強力になりやすい。だから、流石のカラスもうとうとする。
カラスが強力な魔法に負けた時、エルファッタは魔法を唱える。
「……μετάσταση」
エルファッタはどこかへ消えてしまった。
眠ったカリア達を残して。
***
「エルファッタを出しなさいっ!!」
アオイが物を倒す。ガシャーンと倒れるが、アオイは見向きもしない。さらにはまた物を倒そうとしていた。
アオイはどんどん理性をなくしている。エルファッタ様からエルファッタと変わっていた。そのアオイを止めていたのがタカノアだ。
「うるさい」
手でアオイの頭を抑えていた。でも、簡単な魔法は使わなかった。ヒトは軟弱だ。魔法を使うとすぐに死ぬ直前になるくらいだ。転移魔法ですらも酷く具合が悪くなる。そのことを承知していたからタカノアは使わなかった。
「もっと、もっと抗え。そして打ち破れ」
誰かの声が聞こえた。いや、脳内に響いた。とても低い声。くすくす笑っているのがわかる。
タカノアは目を凝らす。そしたら、黒いモヤがアオイに纏わりついていた。そのモヤが時間が少し経つごとに少しだけ濃くなっている気がした。
「お前は誰だ。アオイを乗っ取りたいのか?」
くすくすとまた笑う。アオイから黒いモヤが出てきた。黒いモヤは人型になっていく。その人型になったモヤは誰かに似ていた。…………エルファッタだった。
「私はエルファッタの中の邪悪な心。今まで眠っていたから目覚まし代わりにこの……アオイ? って言うんだっけ。乗っ取ってたの」
エルファッタの中の邪悪なもの。それはクロと一緒だろう。クロははー、とため息をつく。
「体かっちかちね。全身痛いわ」
クロは体を伸ばす。タカノアは驚いた。エルファッタの人格がこうして出てくるなんて。
「エルファッタにも邪悪な心あったんだな……」
「人間誰しも邪悪な心はあるわよ。……邪悪とは強欲や傲慢じゃないわよ?」
タカノアの心を読んだような気がする。クロはタカノアの目をじっと見つめる。
「あんたにはもう会うことはないわね」
「は?」
タカノアはクロを睨む。だが、そうしている間にクロはモヤになって消えてしまった。
タカノアはクロを掴もうとしたがもういない。手を見てもただ、自分の手しか見えない。何も残ってなどいなかった。
クロは呟いた。アルファスは聞いていて驚いた。他の皆は聞こえていない。
「~~~っ!」
言葉にならない叫びを出す。そうして皆は念話に夢中になっていると気づいた。だが、アルファスに迷惑だと言わんばかりの顔をしていた。そうじゃないと叫びたかったが、カラスの魔法で言えなかった。
「うるさいですよ、アルファス王子殿下」
ナーリットが言う。アルファスは顔を真っ赤にする。羞恥心と憤りを感じた。アルファスはクロに目を向ける。すると、艶めいた笑みを見せていた。口に人差し指を当てる。いつの間にか皆はエルファッタを注目していた。
「馬鹿な人たち」
エルファッタがそう言ったと思うと、魔法を使った。エルファッタは所持魔力が多い。だから、魔力を多く使う魔法も無くなりそうにならない限り、なんでもできるのだ。
「Κοιμηθείτε όλοι」
命令形式は強力になりやすい。だから、流石のカラスもうとうとする。
カラスが強力な魔法に負けた時、エルファッタは魔法を唱える。
「……μετάσταση」
エルファッタはどこかへ消えてしまった。
眠ったカリア達を残して。
***
「エルファッタを出しなさいっ!!」
アオイが物を倒す。ガシャーンと倒れるが、アオイは見向きもしない。さらにはまた物を倒そうとしていた。
アオイはどんどん理性をなくしている。エルファッタ様からエルファッタと変わっていた。そのアオイを止めていたのがタカノアだ。
「うるさい」
手でアオイの頭を抑えていた。でも、簡単な魔法は使わなかった。ヒトは軟弱だ。魔法を使うとすぐに死ぬ直前になるくらいだ。転移魔法ですらも酷く具合が悪くなる。そのことを承知していたからタカノアは使わなかった。
「もっと、もっと抗え。そして打ち破れ」
誰かの声が聞こえた。いや、脳内に響いた。とても低い声。くすくす笑っているのがわかる。
タカノアは目を凝らす。そしたら、黒いモヤがアオイに纏わりついていた。そのモヤが時間が少し経つごとに少しだけ濃くなっている気がした。
「お前は誰だ。アオイを乗っ取りたいのか?」
くすくすとまた笑う。アオイから黒いモヤが出てきた。黒いモヤは人型になっていく。その人型になったモヤは誰かに似ていた。…………エルファッタだった。
「私はエルファッタの中の邪悪な心。今まで眠っていたから目覚まし代わりにこの……アオイ? って言うんだっけ。乗っ取ってたの」
エルファッタの中の邪悪なもの。それはクロと一緒だろう。クロははー、とため息をつく。
「体かっちかちね。全身痛いわ」
クロは体を伸ばす。タカノアは驚いた。エルファッタの人格がこうして出てくるなんて。
「エルファッタにも邪悪な心あったんだな……」
「人間誰しも邪悪な心はあるわよ。……邪悪とは強欲や傲慢じゃないわよ?」
タカノアの心を読んだような気がする。クロはタカノアの目をじっと見つめる。
「あんたにはもう会うことはないわね」
「は?」
タカノアはクロを睨む。だが、そうしている間にクロはモヤになって消えてしまった。
タカノアはクロを掴もうとしたがもういない。手を見てもただ、自分の手しか見えない。何も残ってなどいなかった。
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