23 / 31
1章-エルファッタの想いは伝わらない-
020
しおりを挟む
黒いモヤ、クロはもがいていた。風に流されそうになるも、ヴァロレが手に持っているから流されることはない。
だが、モヤなのだ。とても軽いモヤなので、ヴァロレが持てるはずはない。
『離せ、離せ! 私の自由を勝手に奪うな』
そう言っているが、ヴァロレは聞く耳を持たない。ヴィラレが気にする様子はあるが、上辺だけのようだ。
「大丈夫? この……クロ? だっけ」
「まあ、大丈夫だと思う」
ヴァロレとヴィラレは会話をしながら、エルファッタの意識が無くなるのを待っていた。助けにきた仲間達の声が聞こえるが、この部屋は頑丈だ。とてつもなく大きい魔力をぶつけられないと壊れない。そのことを知らないカリア達はドアノブをガチャガチャと回したり、ドアを叩き蹴ったりしていた。だが、壊れないし開かない。
諦めきれないカリア達は、カラスに頼んで魔法を使う。とても大きい魔法を使うため、まずは杖を召喚した。
「έλα μπαστούνι」
カラスの手元には、古びた木の杖があった。杖で魔法陣をかくと、もっと大きくなるのでカラスは描く。
複雑な魔法陣をかけたかと思うと、次に呪文を唱えた。
「#καλώντας πνεύματα.
Μπορείτε να μου δώσετε τη δύναμή σας; Αυτό είναι ένα αίτημα. Θέλω η μαγεία που χρησιμοποιώ από εδώ και πέρα να έχει περισσότερη μαγική δύναμη.__ 精霊を呼び出している。
どうか力を貸していただけないだろうか。これはお願いだ。いまから使う魔法にもっと魔力を増して欲しい。__#」
ぶわっと光が溢れる。カラスがもう一度呪文を言った。
「Χτύπησε την πόρτα με την μπάλα φωτός」
光が集まっていく。カラスだけ精霊達も見えてくる。光が集まってくる様子に見惚れているカリア達は、エルファッタのことは頭から忘れている。
「綺麗…………」
誰かがそう呟いた。誰も気にしていない。
「να πας」
光の球は移動する。ドアの方に向かっていった。光の球の大きさは、ドアの大きさを超えていた。
ぶつかる。その瞬間の勢いでドアが先にバキバキになり、光の球が当たる。
ドアは原型を留めていないどころかなくなっていた。粉々になったのかはわからない。
カリア達が部屋に入ると、アンティーク調の家具に目を奪われる。それは、とても珍しいものばかりだったからだ。
「エルファッタ!」
「カリア……」
弱々しい涙目になったエルファッタが一人、ポツンといた。ヴァロレもヴィラレもどこにもいなかった。
エルファッタは倒れていた。でも、拘束はされていない。疑問が残る。
「危なかった」
「カラスは要危険人物だね」
双子の手帳にカラスの名前が書かれた。
だが、モヤなのだ。とても軽いモヤなので、ヴァロレが持てるはずはない。
『離せ、離せ! 私の自由を勝手に奪うな』
そう言っているが、ヴァロレは聞く耳を持たない。ヴィラレが気にする様子はあるが、上辺だけのようだ。
「大丈夫? この……クロ? だっけ」
「まあ、大丈夫だと思う」
ヴァロレとヴィラレは会話をしながら、エルファッタの意識が無くなるのを待っていた。助けにきた仲間達の声が聞こえるが、この部屋は頑丈だ。とてつもなく大きい魔力をぶつけられないと壊れない。そのことを知らないカリア達はドアノブをガチャガチャと回したり、ドアを叩き蹴ったりしていた。だが、壊れないし開かない。
諦めきれないカリア達は、カラスに頼んで魔法を使う。とても大きい魔法を使うため、まずは杖を召喚した。
「έλα μπαστούνι」
カラスの手元には、古びた木の杖があった。杖で魔法陣をかくと、もっと大きくなるのでカラスは描く。
複雑な魔法陣をかけたかと思うと、次に呪文を唱えた。
「#καλώντας πνεύματα.
Μπορείτε να μου δώσετε τη δύναμή σας; Αυτό είναι ένα αίτημα. Θέλω η μαγεία που χρησιμοποιώ από εδώ και πέρα να έχει περισσότερη μαγική δύναμη.__ 精霊を呼び出している。
どうか力を貸していただけないだろうか。これはお願いだ。いまから使う魔法にもっと魔力を増して欲しい。__#」
ぶわっと光が溢れる。カラスがもう一度呪文を言った。
「Χτύπησε την πόρτα με την μπάλα φωτός」
光が集まっていく。カラスだけ精霊達も見えてくる。光が集まってくる様子に見惚れているカリア達は、エルファッタのことは頭から忘れている。
「綺麗…………」
誰かがそう呟いた。誰も気にしていない。
「να πας」
光の球は移動する。ドアの方に向かっていった。光の球の大きさは、ドアの大きさを超えていた。
ぶつかる。その瞬間の勢いでドアが先にバキバキになり、光の球が当たる。
ドアは原型を留めていないどころかなくなっていた。粉々になったのかはわからない。
カリア達が部屋に入ると、アンティーク調の家具に目を奪われる。それは、とても珍しいものばかりだったからだ。
「エルファッタ!」
「カリア……」
弱々しい涙目になったエルファッタが一人、ポツンといた。ヴァロレもヴィラレもどこにもいなかった。
エルファッタは倒れていた。でも、拘束はされていない。疑問が残る。
「危なかった」
「カラスは要危険人物だね」
双子の手帳にカラスの名前が書かれた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる