異世界からの送り者

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1章-エルファッタの想いは伝わらない-

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 黒いモヤ、クロはもがいていた。風に流されそうになるも、ヴァロレが手に持っているから流されることはない。
 だが、モヤなのだ。とても軽いモヤなので、ヴァロレが持てるはずはない。
『離せ、離せ! 私の自由を勝手に奪うな』
 そう言っているが、ヴァロレは聞く耳を持たない。ヴィラレが気にする様子はあるが、上辺だけのようだ。
「大丈夫? この……クロ? だっけ」
「まあ、大丈夫だと思う」
 ヴァロレとヴィラレは会話をしながら、エルファッタの意識が無くなるのを待っていた。助けにきた仲間達の声が聞こえるが、この部屋は頑丈だ。とてつもなく大きい魔力をぶつけられないと壊れない。そのことを知らないカリア達はドアノブをガチャガチャと回したり、ドアを叩き蹴ったりしていた。だが、壊れないし開かない。
 諦めきれないカリア達は、カラスに頼んで魔法を使う。とても大きい魔法を使うため、まずは杖を召喚した。
έλα μπαστούνι杖よ来い
 カラスの手元には、古びた木の杖があった。杖で魔法陣をかくと、もっと大きくなるのでカラスは描く。
 複雑な魔法陣をかけたかと思うと、次に呪文を唱えた。
「#καλώντας πνεύματα.
Μπορείτε να μου δώσετε τη δύναμή σας; Αυτό είναι ένα αίτημα. Θέλω η μαγεία που χρησιμοποιώ από εδώ και πέρα ​​να έχει περισσότερη μαγική δύναμη.__ 精霊を呼び出している。
どうか力を貸していただけないだろうか。これはお願いだ。いまから使う魔法にもっと魔力を増して欲しい。__#」
 ぶわっと光が溢れる。カラスがもう一度呪文を言った。
Χτύπησε την πόρτα με την μπάλα φωτός光の球をドアにぶつけろ
 光が集まっていく。カラスだけ精霊達も見えてくる。光が集まってくる様子に見惚れているカリア達は、エルファッタのことは頭から忘れている。

「綺麗…………」
 誰かがそう呟いた。誰も気にしていない。

να παςいけ

 光の球は移動する。ドアの方に向かっていった。光の球の大きさは、ドアの大きさを超えていた。
 ぶつかる。その瞬間の勢いでドアが先にバキバキになり、光の球が当たる。

 ドアは原型を留めていないどころかなくなっていた。粉々になったのかはわからない。
 カリア達が部屋に入ると、アンティーク調の家具に目を奪われる。それは、とても珍しいものばかりだったからだ。

「エルファッタ!」
「カリア……」

 弱々しい涙目になったエルファッタが一人、ポツンといた。ヴァロレもヴィラレもどこにもいなかった。
 エルファッタは倒れていた。でも、拘束はされていない。疑問が残る。

「危なかった」
「カラスは要危険人物だね」

 双子の手帳にカラスの名前が書かれた。

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