異世界からの送り者

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1章-エルファッタの想いは伝わらない-

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 ヴァロレとヴィラレはカラスを見つめていた。
「殺さないとな」
 すぐに殺すという言葉が出てきたのが怖い。ヴィラレは片割れに目を向ける。
「エルファッタがいない世界を創るために必要?」
 ヴィラレは思いもよらなかった問いをする。ヴァロレは驚くことなく答える。
「エルファッタを殺す時に邪魔だろ? 歯向かってきたら」
「それもそうか」
 双子の会話は、家族ではない義務的なように感じた。でも、双子であることには変わりはなかった。

 黒いモヤークローはヴァロレの檻の中で暴れ回り始める。エルファッタのことを聞いたからなのか。ヴァロレの檻は魔力で作られた檻だ。さっきの室内に通じるドアと同じくらい硬い。これも大きな魔力をぶつけられると壊れる。
 檻とクロが当たって、ガシャンガシャンと音がする。ヴァロレがヴィラレに命令する。
「こいつを気絶させろ」
「わかった」
 ヴィラレがそう言った直後、「ぐえ」という言葉を残してクロは伸びていた。一瞬だった。
 ヴィラレは魔法は使わずにクロを殴る。そうしたら、気絶したというだけだった。
 そして、先程の話題に戻る。

「あんな大きな魔力持っている人なんて……あの団体にしかいないよ」
「上位2パーセントの人か……」
 上位の基準を説明する。膨大な魔力を測るために年に2回測定される。年に2回なのは、魔力も増えたり、減ったりという増減がある。増えたり減ったりするのは、魔法を極めていたか極めていなかったかの違いだけだ。測定方法は、全力で決められた魔法を使うだけだ。杖魔法で測定する。魔力が多ければ多いほど魔法が霧散はされないため長くなる。……そう、距離で勝負するのだ。その測定値が1キロメートル超だったら上位になる。
 ヴァロレとヴィラレは一応上位に入っているもののランクは中の下という所だった。カラスはその倍だ。
「エルファッタ…………」
 ヴァロレには聞こえも見えもしなかったが、ヴィラレの熱い視線と声にクロは気づいた。クロは知ってしまった。


 エルファッタは薄れゆく意識の中でアルファスを探す。見つけた時は、エルファッタの方を見ていたが心ここに在らずという感じだった。寂しく思ったが、前よりかはその感情もなくなってきていることに気がつく。
(私も、成長しているのかしら)
 そう思うほど元気になっているが、身体は疲れている。カリアの呼びかけに答えず、深い眠りをついた。
「エルファッタっ!?」
 体を揺さぶると「うーん」と返ってくる。
 カリアは眠っただけだということに気がつき、安心する。

「アルファスったら、私のことはどうでもいいのね!」
 そんな声が聞こえた。


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