勇者パーティの一員ですが、転生チートがまさかのマヨビームでした。……マヨビームで世界って救えますか?

文字の大きさ
11 / 99

もはやマヨではない……

しおりを挟む


お菓子に手を伸ばそうとしたところで、エマは思い出した。

自然に思い出したというより、じっと注がれるクルトの視線で。

ガサゴソと鞄をいじる。
鞄は許容量が見た目をはるかに上回る魔法の鞄マジックバックは旅の装備のひとつで、お城からの支給品。
大変便利なのでエマの大のお気に入りだ。 

「今日はサンドイッチを持ってきました」

包みを開ければ、中には2種類のサンドイッチ。
お茶うけ用にと一口サイズの小さめだ。

「具材はハムとレタスとチーズ、もう一個は卵サンドでーす!ポイントはコンビニみたいなふわふわ卵サンドなとこっ!男性陣はそっちね。こっちは手出し禁止!!」

そういって大きい方の包みをレオンへと渡せば、レオンがその半分をクルトの皿へと盛った。

……そうしないとマヨラー勇者が大半を食べ尽してしまうから。

「なんですのこれっ?本当にすっごくふわふわですわ」

「本当だ。食感がすごく軽い」

「美味しいです」

初体験の三人は今日も今日とて新作マヨ料理に驚いている。

ある意味彼らもすっかりマヨ大好きさんに仲間入りだ。

「これってどうやって作るんですか?コンビニのってどうしてあんなにふわふわなのか不思議だったんです」

「あー、それね。卵の白身と黄身を別々にするの。一般にお家で主流なのは一緒に粗みじんにしちゃうけど、コレは白身だけを刻んで黄身ははボウルで滑らかになるまで潰してから混ぜて和えるのよ」

「なるほど」

「ミレーヌちゃんは料理とかは?」

「……お恥ずかしながらぜんぜん。だからエマさんは料理上手ですごいなって思います」

「ありがと。でも女子高生ならそんなもんかも。私の場合は元々料理は好きだったし、早くに両親失くして一人暮らしも長かったから。……もっとも最後の方はレトルトとかばっかだったけど」

恥ずかしそうに頬を染るミレーヌは前世JKだったらしい。

なんでも道路に飛び出した子猫を助けて事故にあったとか。
幼い頃に高熱を出して、その時に前世の記憶を思い出したそうだ。

一方クルトは、大学生で火事に巻き込まれ周囲の避難を優先させて煙にまかれたらしい。
前世の記憶を思い出したのは、何百年と岩に突き刺さったままの剣を力試しに抜いた瞬間。

ものすごくヒロイン・ヒーロー感がつよつよなエピソードにエマは思った。

なんで私だけギャク要因っぽいの?!!

死因が過労死、前世を思い出した切っ掛けはマヨチート。

どう考えても前者2人と落差がひどい。

「もう明日には旅立ちですのね……」

ふいにしんみりとエリザベスが呟いた。
薄っすらと瞳には涙も浮かべてぎゅっとエマとミレーヌの手を取る。

「どうか気をつけてくださいましね。お兄さま、勇者さま、どうか2人を守ってくださいね。もちろんお兄さまたちもどうぞご無事で」

「もちろんだよ、ベス」

「まかせて」

しんみりしたエリザベスの空気を拭うようにエマはあえて明るく笑いかける。

「がんばってくるね!ベスもお勉強とかがんばって!あとダイエットも」

「もちろんです。次にお目にかかる時には違う私をお見せしましてよ」

「ふふっ、楽しみにしてます。でもいまのベスさまも可愛いですわ」

ミレーヌの言葉にうんうんと頷く。

ぶっちゃけ、いまのぽっちゃりも可愛い。

王家一家もそう思って甘やかしつづけてきたようだが、本人が気にしているとなれば話は別だ。

運動量の少ないお姫さまが、豪華な食事やお菓子を思う存分食べていれば太るのは当然!
エマとミレーヌはカロリー制限やお部屋でできる筋トレなどダイエット知識を伝授した。それと……食事はバランスよく、野菜もきっちり食べるように!とも。

「あとで厨房寄るね。マヨネーズ、がっつり多めに提供しとく」

「ありがとうございます!!」

魔法の鞄マジックバックもそうだが、状態停止の魔法のかかってる入れ物なら賞味期限の問題もなし。

「けどマヨネーズはかなり高カロリーだから使いすぎはダメだよ」

そんな会話をしつつ、カロリーハーフのとかあればな……と思ったときだった。

急に音楽が響いた。

それとなーく、“お風呂が沸きました”を彷彿させるメロディーが響き、エマの周囲がキラキラと光る。

『そのことなんだけどね、なんと!カロリー低めのも出せるよ!』

「は?」

脳裏に響いたエアリスの声に思わずそう返す。

「どうしたエマ?」

「どうした……って、もしかして聞こえてない?」

「なにが?なんか光ってはいるけど……」

『君とは波長が合うっぽくてさ。たまに居るんだ、僕の声が届きやすい人。電波状態良好、みたいな?』

「電波……」

『それでね、マヨビームだけどカロリー低めも平気だよ。毎日使ってレベルも上がってるから出せるようになってるはず。ほかにもコレステロール減らすやつとか、出し方も細めとか星口とか色々試してね!からしマヨとかもイケるよ』

「ムダにハイスペックッ!!」

『もっとレベルをあげていけばケチャップとかソースとか、ほかの調味料もだせるようになるし』

「もはやマヨビームじゃないじゃんっ!!」

エマは思わず叫んだ。


マヨビーム、ムダに高性能……!

けど、他の調味料も手に入れられる可能性があるのは正直うれしいエマだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

アリアさんの幽閉教室

柚月しずく
児童書・童話
この学校には、ある噂が広まっていた。 「黒い手紙が届いたら、それはアリアさんからの招待状」 招かれた人は、夜の学校に閉じ込められて「恐怖の時間」を過ごすことになる……と。 招待状を受け取った人は、アリアさんから絶対に逃れられないらしい。 『恋の以心伝心ゲーム』 私たちならこんなの楽勝! 夜の学校に閉じ込められた杏樹と星七くん。 アリアさんによって開催されたのは以心伝心ゲーム。 心が通じ合っていれば簡単なはずなのに、なぜかうまくいかなくて……?? 『呪いの人形』 この人形、何度捨てても戻ってくる 体調が悪くなった陽菜は、原因が突然現れた人形のせいではないかと疑いはじめる。 人形の存在が恐ろしくなって捨てることにするが、ソレはまた家に現れた。 陽菜にずっと付き纏う理由とは――。 『恐怖の鬼ごっこ』 アリアさんに招待されたのは、美亜、梨々花、優斗。小さい頃から一緒にいる幼馴染の3人。 突如アリアさんに捕まってはいけない鬼ごっこがはじまるが、美亜が置いて行かれてしまう。 仲良し3人組の幼馴染に一体何があったのか。生き残るのは一体誰――? 『招かれざる人』 新聞部の七緒は、アリアさんの記事を書こうと自ら夜の学校に忍び込む。 アリアさんが見つからず意気消沈する中、代わりに現れたのは同じ新聞部の萌香だった。 強がっていたが、夜の学校に一人でいるのが怖かった七緒はホッと安心する。 しかしそこで待ち受けていたのは、予想しない出来事だった――。 ゾクッと怖くて、ハラハラドキドキ。 最後には、ゾッとするどんでん返しがあなたを待っている。

『ラーメン屋の店主が異世界転生して最高の出汁探すってよ』

髙橋彼方
児童書・童話
一ノ瀬龍拓は新宿で行列の出来るラーメン屋『龍昇』を経営していた。 新たなラーメンを求めているある日、従業員に夢が叶うと有名な神社を教えてもらう。 龍拓は神頼みでもするかと神社に行くと、御祭神に異世界にある王国ロイアルワへ飛ばされてしまう。 果たして、ここには龍拓が求めるラーメンの食材はあるのだろうか……。

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる

谷川 雅
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞 読者賞受賞作品】 「君は25歳の誕生日に異世界へ飛ばされる――準備、しておけよ」 そんなリアルすぎる夢を見たのは、中学3年・15歳の誕生日。 しかも、転移先は「魔法もあるけど生活水準は中世並み」、しかも「チート能力一切なし」!? 死ぬ気で学べ。鍛えろ。生き抜け。 目指すのは、剣道×農業×経営×工学を修めた“自己完結型万能人間”! 剣道部に転部、進学先は国立農業高校。大学では、園芸、畜産・農業経営・バイオエネルギーまで学び、最終的には油が採れるジャガイモを発見して学内ベンチャーの社長に―― そう、全部は「異世界で生きるため」! そしてついに25歳の誕生日。目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。 武器は竹刀、知識はリアル、金は……時計を売った。 ここから始まるのは、“計画された異世界成り上がり”! 「魔法がなくても、俺には農業と剣がある――」 未来を知る少年が、10年かけて“最強の一般人”になり、異世界を生き抜く! ※「準備型転移」×「ノンチートリアル系」×「農業×剣術×起業」異色の成長譚!

【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴
児童書・童話
 幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。  異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。  便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。

処理中です...