異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

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優勝した



ゲームは終盤、3週目に突入していた。

夕食からずいぶんと時間がたったこともあり、そろそろお腹も落ち着いてきた。

…………ということで、応援を中断して間食タイム突入です。

キープしていた肉巻きおにぎりの乗った小皿と、ほかのおつまみもちょこちょこ乗せて空いているテーブルへと移った。

「おっ!ジュース飲むかー?」

「ほれっ、なにがいい?」

お酒を飲んでいた騎士たちがジュースの瓶を運んでくれる。
両方一度に持てないので、お皿を置いたらジュースの瓶とコップも運ぼうと思っていたクラレンスはありがたくお礼を言って席につく。

ブドウにオレンジにリンゴ……並べられたジュースの瓶からブドウを選んだ。

「ありがとうございます。ストップでっ!」

コップになみなみと注がれた。
もはや表面張力で保たれている水面にそっと顔をよせ口をつける。

危ない……こぼれるギリギリだった。

「もう優勝と最下位はほぼ決まったようなもんだよなぁ」

コップの中身をあおりながらヒゲを生やした騎士が笑う。

「おい、その最下位ってオレらのことじゃねーだろうな?」

となりの騎士がかみついた。

「シンがめっちゃ哀れ」

「ぶっちゃけチーム決めの段階で1位と4位は予想できた」

「あとは俺らの2位、3位争いだけだよな」

騎士たちの言う通り、まだ3週目の4戦が残っているにもかかわらずゲームの勝敗はほぼ決していた。

「イザークさんとかすごかったですしね。ローランさんも勝ちに貪欲だし」

笑いながら肉巻きおにぎりにかじりつく。
甘辛いタレがしっかりと染み込んで、冷めてもおいしい。

頬を緩めて肉巻きおにぎりをたんのうしながら思い出すのは……先の一戦。

神経衰弱でのイザーク無双だ。

ジャンケンで負けて順番こそ最後だったイザークだが……前の騎士たちがペアにできなかった札をことごとく総ざらいしての圧勝。

記憶力だけでなく運もいいらしく、適当に引いた札さえペアが続出したのだからほかの騎士たちは太刀打ちするすべもなかっただろう。

クラレンスや他の魔法使い2人も順当な順位をキープしてるので勝率はかなり高い。
それこそクラレンスのチームが4位を取ったのはルークがババ抜きで1回のみ。

逆にシンのチームは唯一の頭脳派のシン以外はほぼ3位か4位をキープしている。なので残り4戦で相当な大番狂わせがない限りは優勝と最下位は決定だ。

そしてそんな話をしている間にも、勝負をしているテーブルでわぁ!と歓声があがる。
七並べでイザークが見事一抜けしたようだ。

自分用に小ぶりに作った肉巻きおにぎりを完食し、そうだ……と実は気になっていたことを思い出してクラレンスは顔をあげた。

ちびっ子のクラレンスが騎士のみなさんの顔をみて話すにはかなり上を向く必要があるのです。ほぼ見上げる。

「王子さまたちってどうしてるんですか?」

今回の旅に誘ってくれたフェリックだが…………出発のとき以来ほとんど顔を見ていない。

王族だし泊まるところなどがちがうのは最初っから知っていたが、それにしても全然見かけないなと不思議に思っていたのだ。

「色々と忙しいんですよ。なんせ予定を詰め込んでいますから」

問いの答えは後ろから帰ってきた。

「また一位おめでとうございます」

となりに座ったイザークにパチパチと拍手。
ジジ抜き以外に参加した彼は見事に全種目一位を獲得していた。

「ありがとうございます。ほら、なんせ明日にはシルク嬢たちがいらっしゃいますから」

「なるほど」

そんな彼の簡潔な説明にクラレンスは深く納得した。

昨日、今日と薬草採取、解呪・解毒などのお仕事をしていたクラレンスも明日からはフリー。
そしてシルクたちは明日現地入り。

「つまり、シルクたちと一緒に過ごすために仕事を前倒ししまくってるわけですね」

ようはそういうことだろう。

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