異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

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王子さまは翌日筋肉痛

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草原をサクサクと歩いて森の奥へと歩を進める。

キョロキョロと辺りを見渡すエリシュオンの瞳には小さな不安があった。
きっと無意識にだろう。
繋がれた手にわずかに力がこもるのを感じて、クラレンスはあえて穏やかな笑みを浮かべてエリシュオンへと積極的に会話を振る。

「大丈夫ですよ。なにも怖がることはありません」

パチリ、と大きな目が斜め上へと向けられる。
声の主、エドワードは姉弟へ向かってクラレンスとよく似た柔らかな笑顔を向けた。

「どのような魔物がでようと必ずお守りします」

エドワード以外の近衛や、侯爵家の護衛も力強く頷いた。
ぽかんとしていたエリシュオンの顔に小さくはにかむような笑みが浮かぶ。

「ありがとう、ございます」

そんな弟の片手をシルクはきゅっと握った。


たどり着いた湖は美しい碧色をしていた。
周囲の樹々と相まって幻想的でまるで絵画のような風景だった。

「気をつけてくださいね」

先にボートに乗ったエドワードが手を差し出しシルクやエリシュオンが乗り込むのを手伝う。クラレンスも手を引いてもらった。

「わっ……。結構ゆれる」

乗り込んだ弾みでボートがぐらりと揺れる。
おっかなびっくりで腰を下ろすと揺れはだいぶ収まった。

ボートは4人乗りでなく8人乗りの大きいのをチョイスした。

これはメンバー編制による結果である。
シルクとエリシュオンはクラレンスと一緒に乗ることを希望したし、そこにフェリックも加わる。

するとどうなるか?

4人乗りだと護衛が乗れない。
こどもが3人だから1人ぐらいは乗れるかもしれないが、王族と高位貴族の子息らにそれはいささか心もとない。
エリシュオンが心配しているような魔物の出現はほぼない場所だが、水辺の事故も危惧して8人乗りとなった。

「鳥がいる」

「ほんとだ。なんの鳥だろ?」

「あっ、あっちのは羽の色がとても綺麗ですわ!」

「きっと雄だね」

「兄さまわかるの?」

ゆっくりと進む水面を眺めながら周囲の風景や生き物に目をこらす。

漕ぐのもちょっぴりだけやらせてもらったが……案の定すぐに疲れてしまった。
いまはシルクたちにいいところ見せるべく、フェリックが護衛と一緒に頑張っている。

……残念ながらこどもたちは鳥に夢中ですが……。

すごい……!という尊敬の視線を向けてくるエリシュオンにクラレンスは苦笑いを浮かべた。
期待に応えれず申し訳ないが、鳥の種類がわかるわけではないからだ。

「なんの鳥かはわかんないんだけどねー」

そこで素早くセバスが名前を教えてくれた。

エリシュオンと一緒にすごい……!の視線を向ける。

出来る執事さまは鳥も植物も詳しいようです。きっとなんでも聞けば答えてくれそう。

「鳥は雌より雄の方が華やかなことが多いんだよ」

クジャクなんかはその典型的だ。

着飾る女性たちに慣れているからかシルクが驚きに目を見張る。

「どうしてですの?」

「雌に選んでもらうためかな」

「男性の方が着飾るなんて人間と逆ですのね」

雑学を交えつつ湖の散歩を楽しむ。
湖面をなでる風もほんのりと冷たくて頬に気持ちいい。
そっと水面に手を入れれば小魚だろう感触が指をすり抜けていって声をあげたりして楽しんだ。

湖を一周したあとは近場を散策して、昼食をとった草原へと戻った。

先日思った「馬に乗ってみたい」という話をぽろりと出したら、馬にも乗せてもらえました。
自分で手綱を操るのではなく、兄の前に座らせてもらってですが。

座ってるだけなのに結構体幹を使って、これは本格的に1人で乗るのは難しそうだな……って悟ったりもした。

それでも視線が高い景色も、さっそうと風を切るのも気持ちよくってまた乗りたいと思ったのでした。
よく躾けられたお馬さんはお利巧で可愛い。

楽しいピクニックを満喫したのでした。

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