異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

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王子さまのはワンコ

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「このこにしますっ!」

そう言ってシルクはうさぎをつまみあげた。
てのひらにちょこんと乗るのはビーズで作られた小さなうさぎ。


乙女チックな雑貨屋さんはシルクの好みに合ったようだ。
小ぶりの買い物かごの中には大量の戦利品が詰め込まれている。

そんなお買い物を満喫中なシルクが立ち止まったのは白いキャビネットに置かれたケース。

エドワードとも相談のうえ、無事にイリーネへのおみやげをGETしたクラレンスはお会計をすませ、商品の前でじっと立ち尽くすシルクの元へと向かった。

「わぁ!すごい!!可愛いね」

ケースにはたくさんの動物たちが鎮座していた。
極小のビーズで作られた様々な動物たち。

指の先程の大きさのそれはどれも精巧に作られ、つぶらな瞳が可愛らしかった。どうやらビーズストラップのようだ。

「どれか買うの?」

「そうしたいのですが……どれも可愛くて……」

困ったようにシルクが瞳をうろつかせる。

ようは目移りして決められないってことみたいです。

クラレンスは手を伸ばして一番手前のくまをちょこんとつまみあげる。
小さにのに立体的に作られたそれを「すごいなー」とマジマジと眺めながら、ふと思いついた。

「エル、エル!」

すぐそばの棚を見ていたエリシュオンを呼ぶ。

「兄さま?」

「見て、エル。可愛くない?」

リボンを持ってくまをぶら下げればじっと見たエリシュオンがやっぱり「すごい」と呟き、コクリと頷く。

くま、猫、うさぎに犬、キツネなどの動物たちはそれぞれ小さなタグと細いリボンが結ばれており、種類は豊富だが同じシリーズの統一感がある。
そして使われているビーズはきらりと輝くものの落ち着いた色味で、小ささもあり主張しすぎることもない。
つまり、男性が持ってても悪目立ちはしない。

「ね、エルは欲しいのない?」

「ぼく?」

「そう。せっかくだし僕らも買わない?旅行の記念にお揃い」

「「お揃い……」」

ステキな言葉に2人の目が輝いた。

「買いましょう!お揃いなんてうれしいです!!」

胸の前で拳を握りしめ、シルクが弾んだ声を出す。

「姉さまと兄さまとおそろい!」

エリシュオンも嬉しそうに頬を緩ませ、背伸びしてキャビネットの上を覗き込む。

「どれがいいかな~……。あっ、僕はこれにしよっかな」

そうしてクラレンスが選んだのは2本足で立つ猫。
ブーツをはいて帽子を被った“長靴をはいた猫”を彷彿させる。

わりとあっさりと決めたクラレンスの横では姉弟がどれにしよう?と真剣にあれこれと手にとっては悩んでいる。

隣の店を見て戻ってきたローランもお揃いの話を聞いて「じゃあ僕も~」気軽に参加。

選んだのはくま。
さっきクラレンスが持っていた茶色のくまではなく、どことなく前世のキャラクターを彷彿させるくまだった。
あの定職についていない人の呼び名みたいなあの子です。

「弟くんは決まった?」

小さな手を伸ばすエリシュオンにローランがおっ!と声をかける。

「ん。これ」

エリシュオンが選んだのも猫。
クラレンスのと違って4本足の体勢の白猫だった。首元の青いリボンがアクセント。

「あ~、なんか弟くんっぽいかも。ちょっと似てる」

「似てる?」

「たしかにわかるかも」

きょとんと首を傾げる姿は子猫っぽくてクラレンスもうんうんと頷いた。

人見知りなエリシュオンにもかかわらず、初対面のローランとはわりと打ち解けていたりする。
自由人であっけらかんとしてるから緊張しないのかも知れない。ようは大人っぽくない。……これでもかなりの天才なんですよ?

ちなみに、ローランがシルクをお姫さま、エリシュオンを弟くんと呼んでいるのは……あだ名をつけようとしたのをエドワードが阻止したからだ。
さすがに王家とも縁続きの侯爵家の姉弟に「ふわりん」みたいな独特のセンスのあだ名はヤバいと思ったのだろう。

王子さまからも苦情がきそうですし。

「もしよろしければですが……殿下にもお選びいただけませんか?」

そしてそんな従妹大好きな王子さまを思いやってエドワードがそっと口を挟んだ。

お仕事でむくれてる王子さまのご機嫌取り?
そんなこと……あるかもしれませんね。

悩みぬいた末、シルクはお気に入りの子を見つけたようだ。

「私のはこのこにしますっ!」

達成感に溢れた声とともに選び取ったうさぎをゆびでちょこんと撫でる。

お揃いのタグとリボンのついた動物たちが光をうけてキラリと輝いた。

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