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大人気のトランプと新たなる願望
イザークに約束した通り、騎士団のお手伝いに訪れたクラレンスはローランを探していた。
父をはじめ残留組が頑張ったというのは事実だったようで、書類の山は築かれておらずお手伝いは早めにおわった。素晴らしい。
ここぞとばかりに「父さんすごい!」と抱き着いて再度褒めれば父はご機嫌だったし、同じくご機嫌なイザークたちにこっそり親指を立ててグッジョブ!された。
この調子でいつも書類仕事を溜めないでほしいものだ。
さて、なんでローランを探しているかというと……お願いごとがあるからです。
道行く人たちに「ローランさん見ませんでしたー?」とたずね、教えられた方向へ歩いているとふらふらしているターゲット発見!
「ローランさーん!!」
手を振りながらローランへと駆け寄る。
「やっほー。あっ、そーだ!あのトランプっていうの僕も欲しいんだけど。どっかで売ってるの?それともふわりんに頼んで作ってもらう感じ?」
質問にクラレンスは苦笑いを浮かべた。
なんせ今日だけでも同じ質問を10人以上にはされている。
あまりにもみんなが欲しい欲しいというものだから、トランプ大会にいなかった騎士たちも気になったらしく何度もトランプの説明をすることになった。
「まだ販売はしてませんけどウィステリア商会で作ってもらえますよ」
「やった」
「トランプ大人気です」
「だろうね。ふわりんたちがお姫さまんとこ泊まってるときも取り合いだったし」
合流してからはシルクたちとお泊りしていたクラレンス。
だが宿泊先を移る前に「トランプ貸してください!!」とめちゃくちゃ頼み込まれて予備の1組を置いていったほどだ。
「きっとエリックさんが大喜びです」
「え?あ、ああ。会長さんだっけ?」
大量発注の打診をしにいかなければ。
「カードの柄とか何種類か検討中だったし、欲しい人いっぱいいるみたいなんでーなんだったら今度発注表持ってきますよ」
ウィステリア商会に買いに行ってもらってもいいが、販売時期が明確に決まっているわけでもないし初回はサンプルと発注表をもらってクラレンスが仲介したほうがきっと楽だろう。
「いいの?ありがとーお願い」
「いいえー」
シルクたちも欲しがってたし、ちょうどエリックには頼みに行こうとしてたのでついでた。
それにウィステリア商会に行けばおいしいお菓子もでるし。
相変わらずオシャレなカフェかなんかと勘違いしてるクラレンスだった。
「そーいえばなんか用事だったんじゃないの?」
すっかり当初の目的を忘れていたクラレンスは、はっとまたたく。
そうだった!大事な用を忘れてました。
「そうです!ローランさんにお願いがあって探してたんです!チョコの滝を作りたくて!!」
「チョコの……滝……?」
一瞬間をおいて考えこんだローランは「噴き出るの?チョコが?」と怪訝そうに続けた。
きっとローランの脳裏ではぴゅっーー!と盛大に噴き出るチョコの噴水が浮かんでいる。
それを悟ったクラレンスは慌てて首を振って説明する。
まず、発端は昨日の夕食だ。
絶品チーズのチーズフォンデュを食べながらイリーネが言った「チーズフォンデュもいいけど、チョコレートフォンデュもいいよね!今度やりたい」の一言。
それを聞いたクラレンスは思った。
どうせならチョコレートファウンテンがいい、と。
チョコレートファウンテンとは……ホテルのバイキングなどでよく見かける流れるチョコのタワーのこと。
ファウンテンは噴水でもガチものの噴水ではない。
クラレンスが欲しいのはあの装置、チョコが循環する仕組みを魔法で再現して欲しいのだ。
地面にしゃがみこんで拾った木の棒で装置の絵を描く。
「……こんな感じで、この下の部分にホットチョコレートを入れて、汲み上げたチョコが上から流れる仕組みです」
「つまり……必要なのは循環と、チョコレートが固まらないよう保温ってことか」
相変わらず実に話が早い。
すぐさま理解したローランにクラレンスは期待いっぱいの瞳を向けた。
「出来そうですか?」
「任せてよ!」
自信満々に親指を突き出され「わーい」と両手をあげた。
「材料はこっちで用意しますね。女性騎士団も協力してくれるみたいなんで」
なぜ女性騎士団かといえば……チョコレートファウンテンの話をしたらイリーネが大盛り上がりしたからです。
絶対に他の女性陣も食いつく。
そうして決行は次回のローランのお休みに決まった。
なんでお休みかって?
ローランさんがすぐ仕事サボろうとするからに決まってますがなにか?
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