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たまには和風で!鶏と長ネギの焦がし醤油パスタ
クラレンスはわりとパスタが好きだ。
具材やソースの組み合わせでアレンジは無限大だし、なによりごはんが主食でないこの世界ではパンに次いで食卓にあがる定番メニュー。
なので本日のお昼ごはんの話をしていて「パスタにしましょうか」という流れになったときにも否はなかった。
別に否はなかったのだが…………。
「自分で作っていいですか?」
またしても食べたいものがピコーン☆と浮かんだので、クラレンスは厨房へと乗り込んだ。
調理台の上に並ぶのは、鶏もも肉に長ネギ、ニンニク、万能ネギなど。
そして抱え上げた大事な調味料をその隣へと置いた。
「今日は和風な気分だったんで」
「和風?」
料理人さんたちに首を傾げられた。
日本が存在しないこの世界で和風などという言葉は存在しない。
慌てて首を振り「さっぱり系がいいなって!」とごまかす。
ここ数日わりとこってりとしたメニューが続いたこともあり、パスタはパスタでも濃厚なクリーム系やトマト系よりも和風が食べたくなったクラレンスだった。
「これで味付けするんですか?」
クラレンスが用意した調味料を手に料理長が尋ねる。
真っ黒な調味料の正体はお醤油。
照り焼きを作ったときなど、何度か使用したことはあるものの料理人さんたちにとってはあまりパスタの味付けとは結び付かないようだ。
そんな少し怪訝そうな料理長たちへとドヤ顔でクラレンスは答える。
「焦がし醬油パスタです!」
「焦がし……醤油」
「醤油を焦がすと香ばしくっておいしいんです」
興味津々な料理人さんたちに見守られつつ、お料理スタートです。
まずは材料を切りましょう。
鶏肉は食べやすい一口大にカット。塩コショウで軽く下味をつけます。
ニンニクは細かくみじん切りにします。
長ネギは斜めに切って、万能ネギは小口切りにします。
「お湯がわきました」
材料を切っている間に料理人さんたちが大きなお鍋にお湯を沸かしてくれた。
相変わらずサポートが抜群だ。
お礼を言ってパスタの準備をお願いする。
パスタの茹で時間は袋に記載の時間より1分程度短めを目安にします。
フライパンにオリーブオイルを入れてニンニクを炒め、鶏肉は両面にしっかり焼き色を付けつつ火を通します。
そこへ長ネギも投入。ネギがしんなりしてきたらほんの少しお酒を回し入れ、パスタを加えます。
ここでいよいよ本日の主役のご登場!
「お醤油は鍋肌に流しいれます」
醤油をぐるりと回し入れれば……とたんにジュワァァと醤油が焦げる音とともになんとも香ばしい香りが広がります。
思わずお鼻をクンクンさせてしまういい香り。
手早くパスタや具材と絡めて、お皿に盛りつけます。
仕上げに小口に刻んだ万能ネギをたっぷりと乗せれば完成。
すでに準備されていたスープなとどと共にパスタや飲み物を手早く運んでくれる料理長たち。
……そんな彼らの後ろでは数人の料理人さんたちがクラレンスが使用したのと同じ材料をスタンバっていた。
そして料理長たちも気づいているだろうに何も言わない。
お味が気になるんですね。
今日の賄いはみんなも和風パスタみたいです。
そんなことを思いつつ厨房をあとにする。
せっかく作ったのに冷めちゃったら嫌なので速足で食卓へと移動です。
いただきます、と手を合わせ、手にしたフォークでパスタをクルクルと巻き付ける。
香ばしい醤油の香りと具材の焼き目がいい感じに食欲を刺激するのに瞳を細めつつ豪快にパクリ。
鶏肉とパスタを同時に口に入れたので口の中がいっぱいだ。
ニンニクの風味と焦がし醤油がたまらない。
しっかり焼いた鶏肉は食べ応え抜群だし、香ばしい焼き目のしんなりした長ネギとたっぷりの万能ネギ、ダブルのネギの存在感も抜群で大満足の一品だ。
シンプルな味付けながら奥深くて美味しい。
「トマトやクリームもいいけど和風おいしい」
濃厚なパスタはパスタでリッチな贅沢感があるが、醤油と塩のシンプルな味付けはなんとなくほっとする。
いわゆる食べ飽きない味。
「今度はベーコン系もいいかも」
「ほぅ。焦がし醤油とベーコンも合いそうですね」
ぽつりと呟けば耳ざとく聞きつけた料理長がすかさず反応した。
フォークにパスタを巻き付けたままクラレンスは真顔で頷く。
「ベーコンとキノコ、あとはホウレンソウとベーコンなんかも和風パスタの定番です。醤油のほかに白だしとかを加えてもいいし、パンチが欲しければ溶かしバターとかいれてもおいしいです」
「わかりました」
真顔で頷き返す料理長。
今後和風パスタが食卓にあがる機会も増えそうです。
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