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カレーは世界を超えて愛される
「いやぁ~、楽しみです!」
ウキウキ、ワクワクを隠しきれずにエリックがスプーンを握る。
テーブルに用意されたのはトマトチキンカレー、ナン、それからカレーを煮込んでいる間に作ったジャガイモのカレー炒め。
カレーにはごはんも捨てがたいですが……何分この世界には炊飯器がない。
いつもごはんを炊くのは料理人さんたちにお任せしているので、今回は買ってきてもらったナンになります。
炊飯器欲しいなー……そう心の中でクラレンスは呟いた。
お鍋や土鍋で炊くごはんはおこげができたりしておいしいけど、火加減だと水加減だの慣れてないと面倒なのです。
文明の利器の素晴らしさよ。
「じゃあ、いただきます」
パチンと手をあわせて、クラレンスもさっそくスプーンでカレーをすくう。
口元へ寄せればスパイスの香りが鼻をくすぐり、期待値が高まります。
うわぁ~~……!
定番カレーとは違えど、本当に久しぶりのカレーに思わず声にならない声が出た。
舌を刺激する辛さ。
だけど煮込んでことと仕上げのヨーグルトによってまろやかになった辛さが心地よく口内に広がる。
ルーのカレーと違ってサラッとした食べ心地だが、トマトを使用することによってとろみと爽やかな酸味がプラスされていた。
大きめのお肉もすくって今度はそのままでなくナンといっしょにパクリ。
鶏肉はしっかりと柔らかく、スパイスをまとって旨み倍増。
「今度はごはんでやろう……!」
香ばしくほんのりと甘いナンとスパイスの効いたカレーはおいしい。
だけどサラリとしたカレーだとごはんとの相性の方がよりいい気がして、クラレンスはそう決意した。
どうせ明日か明後日ぐらいには自宅で作ることになるはずだ。
「カレーはごはんにも合うんですね」
耳ざとくクラレンスの発言を聞きつけたエリックがすかさず反応した。
そんな彼の皿はもう半分ほどが減っている。
早い……、と思って周りを見れば、周囲の人たちも早かった。
なかには「超うまい!おかわり!」と早々に2杯目に向かっている人までいる。
やはりカレーは世界を超えても愛されるようです。
「ごはんにかけてもおいしいですし、なんならカレーをかけて上にチーズをのせて焼いたカレードリアとかもおいしいです」
「なにそれおいしそう……」「食べたい」ざわざわとした声が漏れた。
スプーンを一度置いて、慌てて大皿からジャガイモのカレー炒めを小皿に取る。
……減りがあまりに激しくてなくなりそうだったんで。
ジャガイモのカレー炒めはベーコンとタマネギをフライパンで炒め、そこに千切りにしたジャガイモ、ピーマンなんかを塩コショウとカレー粉で炒めたものです。
こども人気の高いジャガイモ&カレー味なのでお子様にもおすすめ。
小さめの器に盛ったカレーを食べきり、クラレンスは名残惜しそうに器を見つめた。
「クラレンス様」
「はぁーい。わかってます」
苦笑いを浮かべたセバスに名前を呼ばれ、ちょっぴりしょぼんとしたままクラレンスは返す。
せっかくの久々のカレー。
もっと食べたいという気持ちはあるが……。
「今日の夕飯なんだろう?」
「本日のメインはシーフードグラタン。他にオードブル、グリーンサラダにスープと把握しております」
料理長たちがお家でごはんを用意してくれている。
未練を晴らすようになんの気なしに呟けば、優秀な執事様はスラスラと献立をそらんじてくれた。
メニューまで把握してるんですね。
そして好きなグラタンにクラレンスはちょっぴりテンションが上がった。
「それにカレーはまたすぐ作ることになりそうですし……」
「あっ、やっぱりセバスさんもそう思います?」
ただでさえ今日は予定より遅めの帰宅だ。
絶対にバレるし、お外で新メニューを作ったことがバレたら料理人さんたちに詰め寄られるのは確実だ。
スプーンを置き、口元を拭いたクラレンスは2杯目に突入中のエリックへと向き直った。真剣な顔で彼を見上げる。
「エリックさん。カレー粉、定期的に輸入してくれますか?」
口の中のものを飲み込んだエリックも真剣な表情で頷いた。
「もちろんです。これは売れます!」
グッ!と親指を立てられ、やったー!と声をあげる。
「ご所望のルーも全力で探します。最悪、開発を検討しましょう」
「わー!!お願いしまーす。カレールーがあればもっとお手軽においしいカレーが作れるようになるんで!」
その後、ウィステリア商会ではカレーにドはまりする人が続出したとかなんとか。
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