異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

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援軍の意味と真の目的



フローラに案内された孤児院では優しそうな院長と元気いっぱいのこどもたちが歓迎してくれた。

「おねえちゃん、ご本読んでー」

「ダメよ、今日はやることがあるでしょう?」

「そうだぞ。バザーはお昼からなんだから」

小さな子がいつものようにフローラに絵本をねだるのを年上の子たちがたしなめる。
どうやらフローラは人気者のようだ。

室内では年長の子たちを中心にみんなが一生懸命作業をしていた。
バザーに出品する小物はあらかた準備されているが、時間ギリギリまでねばって高売り上げを目指すつもりらしい。

「なにを作っているの?」

子どもたちはいくつかのテーブルで作業しており、作っているのはそれぞれ違う。

近くのテーブルを覗き込みながらジェシーが聞いた。

「その子たちが作っているのはアクセサリーね。あっちがくるみボタンで、あとはリースね。作業の難易度的にはアクセサリー、リース、くるみボタンかしら?」

「じゃあ私、くるみボタンで」

「わたしも」

速攻でジェシーとイリーネが難易度低めを選択した。

誰1人反対しないところで彼女たちの器用度は推して知るべし。

口元に手を当てて苦笑いするフローラに気づいたイリーネが、焦ったようにクラレンスの肩を押し出す。

「クラレンスはアクセサリーよ!この子、すっごく器用だから!」

「そうそう!ちゃんと戦力を連れてきたのよ?」

そんでもって勝手に担当を決められました。

イリーネの言っていた「援軍」というのはこのことだったようだ。
自分たちがたいして戦力にならないとちゃんと自覚していたようです。

「ダイアナさんはなににします?」

「んー、じゃあリースにするわ」

それぞれのテーブルにわかれて作業開始です。

フローラもアクセサリーを作るようでとなりに座る。
よく使いこまれた木の長テーブルのうえには小さめのお皿が並んでいた。なかには大小さまざまな色んな色のビーズがはいっている。

「ビーズアクセサリーなんですね」

「ええ、基本の作り方もあるし、好きに作っても平気よ。クラレンスくんはどうする?」

「じゃあ自由につくります」

大小のビーズを決まった配置で通しただけのブレスレットの見本をみせられたが、せっかくなので自由に作ることにした。

まずは配色を考える。

一通りビーズを眺めたところでスミレ色が目についたので主役にすることにした。

透明感のある白っぽいビーズとあわせ、小さなお花のパーツを連ねていく。
手作りビーズアクセサリーでよく見かけるデザインのあれです。

迷いなく作業を進めるクラレンスにフローラが目を丸くしているのなんて気づかず、もくもくと作業を続ける。
無心になれるのって楽しい。

できあがったところで色違いをもう1つ作成した。

2つ目ということもあり先程よりも手早く作れ、まだ時間もありそうなので今度はもう少し凝ってみる。
さっきは同じ大きさのビーズで作ったが、花芯を金の極小ビーズで作り、ピンクの大ぶりのビーズで花びらを5つ、さらには淡いピンクの極小ビーズで花びらの縁を飾れば華やかな花のモチーフができあがった。

「すごーい!」

「お兄さん上手ー」

気付けば周囲の子たちがクラレンスの作業を見ていた。

…………集中してて気づかなかった。

「すごいわ、クラレンスくん。本当に器用なのね!」

ブレスレットを手にとって興奮気味に褒めてくれるフローラにどうもとあいまいに返していると、騒ぎが気になったのかイリーネやジェシーもこちらに来た。

「すごっ!なにこれ、超可愛い。絶対売れる……」

褒めているのにどこか悲哀に満ちた声。

その理由はズーンとうなだれたイリーネたちの「わたしたちなんてくるみボタンさえ苦戦してるのに…………」の言葉で判明。

針も糸も使わず作れるくるみボタンだが、どうやらシワが寄ってしまったようです。

「へ、平気よ。柄もかわいいし、このくらいなら充分売れるわ」

落ち込んだ彼女たちをフローラが必死になぐさめる。

「私も出来たわ。どう?」

そこへ完成したリースを手にダイアナが参加。

ツルをグルグルと巻き付けて作ったリースはきれいな円形になっていた。
赤いリボンがアクセントなリースは華やかな出来栄えだ。

「お上手ですねー」

「ええ、とっても。空間がパッと華やぎそうでステキです」

クラレンスたちの誉め言葉に満更でもなさそうな表情をしたダイアナはふと首をめぐらし、「ところで」と言葉を続けた。

「男の人っていないのね」

「ちょっ、ちょっとダイアナっ!!」

「奉仕活動でステキな男性に見初められたって聞いて張り切って来たのに……」

「しー、しー!!」

フルフルと残念そうに首を振るダイアナ。
その腕を必死につかむジェシーに、口元に指を立ててしー!と叫ぶイリーネ。

「……ジェシー」

「……姉さん」

どうやら教会バザーのお手伝いに来たのはボランティア精神からではないらしい。

フローラとクラレンスは生ぬるい目をそれぞれ幼馴染と姉へと向けた。

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