異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

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不純な動機のクッキー作りスタート



生ぬるい視線を受けたイリーネとジェシーは弁明に必死だ。

「べ、別にそれだけが目的じゃないのよ?お手伝いも楽しそうだと思ったし……」

「子どもたちも可愛いってフローラから聞いてたしっ」

だがどれだけ弁明しようと不純な動機もあったのはまた事実。
声がどんどんと小さくなっていく。

「違う目的があったっていいじゃない。人の役にも立てて自分の益も得られたら一石二鳥でしょ?」

「「ダイアナ……」」

うろたえる2人とは反対に腕を組んで堂々と言い切るダイアナはいっそ清々しい。
ジトッとしたイリーネたちの視線なんてものともしない。

「とりあえず……場所を移しましょうか。そろそろクッキー作りもしないといけないし」

手伝いに来てくれた幼馴染の目的を知ったフローラは、困ったように笑うとみんなを促した。クッキー作りもあるし、なにより幼いこどもたちにあまり聞かせたい内容でない。

周囲のこどもたちのキョトンとした瞳に、たじろいだイリーネたちもコクコクとうなづき急かす。

「じゃあここの作業はお願いね?私たちは厨房に行ってくるわ」

フローラが近くに居た年長の子に声をかけるとこどもたちは「はーい!」といい子に答えて自分たちの作業へと戻った。


「それで、男性との出会いって実際どうなの?」

こどもたちと離れたところでもういいだろうとばかりにダイアナが切り出す。口にこそ出さないが友人2人の目も興味津々だ。

「どうと言われても……。そういう出会いを求める場ではないもの……」

「でもフローラはここで彼に見初められたわけじゃない」

「ジェシーったら」

自分の話を外でされていると知ったフローラがジェシーを軽く睨む。
その頬は薄っすらと赤く、怒っているというよりは照れているようだ。

淡く色づいた頬を見てイリーネが「いいなぁ~」と心底羨ましそうな声をあげた。

「教会で見初められてプロポーズ。すっごいロマンティックよね」

「フローラさんプロポーズされたんですか?」

会話に置いてけぼりなクラレンスが無邪気にたずねれば、フローラは赤い頬を手で押さえて俯く。恥じらうように頷く彼女に素直に「おめでとうございます」と告げた。

幼馴染のジェシーが熱く語るのと、イリーネやダイアナが質問攻めにしてわかった話によると…………たまたま教会に訪れていた婚約者さんは孤児院の庭でこどもたちの相手をするフローラさんに一目ぼれしたらしい。
その後、数回の交流を経て交際に発展。
つい先日プロポーズされたらしい。

…………そしてその話にイリーネたちが食いついた、と。

姉やその友人たちが格好いい恋人募集中!なのはクラレンスもよく知っている。
なんなら次兄が可愛い彼女募集中!なことも。

それはよく知っているが……。

「ちょっと発想が安直じゃない?」

「そう簡単にいかないってわかってるわよ!でもワンチャンあるなら狙いたいじゃないっ」

「物語みたいな展開、女の子なら憧れて当然だわ」

「待ってるだけってしょうじゃないのよ。行動あるのみ」

思わず呆れた目を向けたクラレンスへ返ってきた返答。上からいイリーネ、ジェシー、ダイアナだ。

廊下を進み、厨房へとたどり着けば甘いバターのにおいがふわりと漂う。

「あっ、フローラお姉ちゃん」

中に数人いた子たちはどうやらパウンドケーキを作っていたようだ。
焼きあがったケーキを手に「ラッピングしてくるね!材料はそこの台の上にあるから」と厨房をでていく。あまり広い厨房でないので、大人数での作業はできないのだ。

「さて、じゃあクッキーを作りましょう」

作業台にのったエプロンを手にとりフローラが広げる。

「動機はちょっと不純だけど…………午後からのバザーにはたくさんのお客様も来るわ。ステキな出会いがあるかもしれないわよ?」

パチリとお茶目にウインクをしたフローラの言葉に女子3人組は猛烈なやる気を見せた。

ちょっと鼻息が荒いその姿は確実にステキな男性に見せてはダメなやつ。

「美味しいクッキーを焼けばいいのね!私に任せて!!」

腕まくりをしたダイアナが意気揚々とエプロンの紐を結ぶ。

「私もがんばる!」

「簡単な作業ならわたしも!クラレンス、よろしくね!!」

そうしてやたらと気合の入ったクッキー作りがスタートしたのだった。

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