異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

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まぜまぜ簡単!チーズケーキ



ぎゅぎゅー!と弟を抱きしめたイリーネはふっふっふっとご機嫌に笑った。

「お待たせっ!」

「いや、なにが……?」

意気揚々と「お待たせっ!」発言されたが、特になにも待っていた覚えはないクラレンスはキョトンと首を傾げた。
それにイリーネは不満気に唇を尖らせる。

「なによぅ。忘れちゃったの?父さんと私と三人で旅行に行こうって話してたじゃない」

「あ……」

完全に忘れていた。


「あなたたちだけズルいわよ」

つい一時間ほど前の娘と同じく唇を尖らせるのは母・グレース。

本日非番である女性騎士団の副団長、多くの部下たちを率いる頼れる存在であるはずの彼女はこどものように拗ねていた。その表情は娘にそっくりだ。

「私だって、私だって……クラレンスと旅行に行きたいのに~~~!!」

悔しそうにダダをこねる姿は副団長の威厳などない。

「母さんは前回いっしょだったじゃない!」

「一緒っていってもほぼ1日だけよ!ピクニックのとき以外は仕事で別行動だったし、ヘンリーみたいに同室でもないもの!そもそも泊まる場所だって別だったのよ?!」

「わたしと父さんなんてお留守番ですけど?!」


「はいはい、2人ともケンカしない~~」

似た者親子がギャアギャアと仲良く喧嘩しあっている部屋へとクラレンスは足を踏み入れた。
その手には大きなお皿を抱えている。

よいしょっ、とテーブルの上へとお皿をのせる。

ほのかに漂う甘い香りに女性2人のケンカはピタリと止まった。
一時休戦のようだ。甘いものの効果は絶大。

甘い香りの正体はチーズケーキ!

自分抜きでの旅行に盛大に拗ねてしまった母をなだめるために、急きょ作った手作りスイーツでございます。

元々お菓子作りをする予定もなかったので、混ぜて焼くだけの簡単チーズケーキ。

常温に戻したクリームチーズに砂糖、レモン汁などを加えまぜまぜ。たまごや薄力粉も加えまぜまぜ。生クリームも加えてやっぱりまぜまぜ……。

必要な材料を手順通りに加え、混ぜて焼くだけ!
初心者にもやさしい失敗知らずの手作りスイーツ!!

クッキー部分は砕いたビスケットと溶かしバターを混ぜ合わせたものを敷き詰めました。
クッキー生地のさっくり食感としっとりケーキの食感のアクセントがポイントです!

お手軽なのに大満足のおいしさなのでぜひ作ってみてくださいねー。

メイド長がきれいに6つにカットしてくれたケーキをお皿に乗せる。

「母さんに一番大きいのあげるね」

「まぁ!ありがとう!」

「ずるーい!」

母をなだめるのが目的なので一番大きい(たいして大きさは変わらない)を差し出せば、とたんにご機嫌な笑みを浮かべる母。

代わりに姉が拗ねました……。

それでも手作りケーキを差し出せばたちまちその機嫌も直る。

「いっただきまーす!」

「いただきます」

フォークを突き刺し、一口食べれば「「おいしい」」と声がハモった。

どうやらお気にめしたようだ。

ニコニコとケーキを味わう母と姉によかった、よかったと席についたクラレンスも自分のケーキへと手を伸ばす。

しっかり冷やしたチーズケーキは焼き上がりのぷるぷる状態がだいぶ収まりしっとりとしていた。
濃厚でクリーミーなチーズ生地がまず舌に広がる。ビスケット部分もサクサクしてておいしい。

(旅行の詳しい話を聞きたいけど…………)

おいしそうにティータイムを楽しむ母娘を見ながらクラレンスはん~と言葉を飲み込む。

お皿の上のチーズケーキはあとわずか。
ここで話を蒸し返すとまた元の状態へと逆もどりだ。

(また今度でいっか)

母がいないときか、なんなら後日父にでも聞こうと決めたクラレンスは、彼女たちの気をそらすために違う話題を振るのだった。

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