ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

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俺は音楽教師です。カウンセラーではない 1

 

「では、本日はここまで」

 教本を閉じれば一同が揃って礼をする。
 流石に貴族だけあって礼も無駄に綺麗。

 教材をまとめ、雑談を少し交わした後でガーネストやダイアと「また昼休み」にと手を振り別れ、数歩先の音楽準備室ベストプレイスへ。


「何か飲みますか?」

「いや、結構だ」

 社交辞令的に問いかければ、アレクサンドラは軽く首を振った。
 ソファにかけて貰い、俺は机を探る。

 何故彼がここに居るかといえば、彼のお母上への贈り物を渡すため。

 手渡したリボンのかかった小箱の中身はマカロンとショコラ。

 マオの育児のママ友でもあるお母上とはすっかり仲良し。
 こうして文通&贈り物をしあう仲だ。

 自分で送ってもいいのだが、今回は食べ物なので「自分も送る物があるからよければ一緒に送るが?」と申し出てくれたアレクサンドラのお言葉に甘えた。
 なんせ王族。贈り物のチェックは時間がかかる。

 ガーネストは生徒会の用事があるから先戻ったし、シリウスはさっきの授業で使った楽器の片づけを数人の生徒としてくれてる。
 何気にアレクサンドラと二人になるのは初めてだ。

 と、いうことで。

「興味本位なんですが、聞いてもいいですか?」

「なんだ?」

「アレクサンドラ様は…」

 そして俺が口を開いたその時、トントンとドアをノックする音。

 シリウス片付け早っや!!

 別に思い付きで聞こうと思っただけだからいいけどタイミング悪ー。なんてことはおくびにも出さずドアを開けて片付けの礼を告げる。

「それで?何を聞こうとされていたのだ?」

「いえ…、大したことではないので。お母上にどうぞ宜しくお伝えください」

 苦笑いを少しだけ浮かべ、彼の手元の箱を見遣ってそう告げる。

 何か邪魔してしまっただろうか?と俺とアレクサンドラを見比べるシリウスに小さく笑みを浮かべて大丈夫だと首を横に振った。

「別にシリウスの前で聞かれてまずいことなどない」

 いやーそうはいってもなー…。

「気になるから逆に聞いて欲しいのだが」

 まぁ、確かに中途半端は気になるよな。
 でも話題が話題だし。

「カイザー殿」

 むぅ、相当気になるようだ。
 若干むくれてやがる。

 シリウスが気を遣って「外に出てましょうか?」と問うもアレクサンドラは「構わん」と首を振った。

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