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第5話:セーヌ川の約束、硝子の恋
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——いつつの後悔:愛を告げず、陰謀の闇に散らせた最愛の人——
九十九歳の石川慎一郎は、白濁していく視界の中で、震える手で自身の胸元をまさぐった。 かつてそこにあったはずの、宇宙人から授かった「平和の石」はない。親友と共に築き上げた「グループ」のバッジもない。後悔を消し、歴史を書き換えるたびに、物理的な証拠は「より良い世界」の象徴へと置き換わり、代わりに慎一郎自身の脳裏からは、その奇跡を起こすに至った尊い記憶が、一片、また一片と削り取られていった。
「……私は、何をしてきたのだ」 鏡に映る自分は、もはや何者でもない。 家族の名前すら忘却の彼方へ消え、ただ「誰かに感謝されているらしい」という漠然とした事実に包まれているだけの、空っぽの器。 だが、その虚無の器の底に、たった一つ、誰にも奪わせない鮮烈な「色」が残っていた。 それは、石畳の道、テレピン油の匂い、そして燃えるような赤髪。
五つ目の後悔。 それは、一九六〇年代のパリ。若き日の慎一郎が、一人の女性を救えず、そして自らの想いを封印して逃げ出した、最も美しく、最も残酷な春の記憶だった。 砂時計が猛烈な速さで逆回転を始め、慎一郎の意識は、若き日の情熱と後悔が渦巻く芸術の都へと飛翔した。
——一九六〇年代、パリ。 若き日の慎一郎は、日本でのビジネスの成功を一度脇に置き、自身の魂を洗うかのように芸術の都を放浪していた。セーヌ川のせせらぎ、カフェから流れるシャンソン。その喧騒の中で出会ったのが、画家の卵、ソフィーだった。
彼女は、まるで太陽をキャンバスに閉じ込めたような絵を描く女性だった。 「慎一郎、あなたの線は綺麗だけど、少し『迷い』があるわ。もっと、自分の心に正直に筆を動かして」 モンマルトルの丘で、彼女は笑いながら慎一郎のデッサンを覗き込んだ。彼女との日々は、慎一郎にとって人生で唯一、損得勘定を忘れて「自分」でいられた時間だった。 慎一郎は彼女を深く愛していた。だが、当時の彼には、日本で待つ家業の責任と、異国で無名の画家を支える勇気がなかった。 そして何より、慎一郎は知っていた。ソフィーの才能を妬み、彼女の作品の利権を狙う闇の組織「レ・ザンジュ」の魔の手が、彼女に伸びていたことを。 臆病だった慎一郎は、彼女に警告することさえせず、「仕事の都合だ」と嘘をついて逃げるように日本へ帰国した。 その半年後、ソフィーは交通事故で命を落とした。……いや、それは事故に見せかけた、画商たちによる口封じの暗殺だった。
「愛している」という一言も言えず、彼女を守る盾にもなれなかった。 その悔恨が、九十九年の歳月を経てもなお、慎一郎の心臓を熱く焦がし続けていた。
(……今度は、逃げない。この命を、君を救うためだけに使う)
慎一郎の意識が、三十代の瑞々しい肉体に宿る。 パリ、初夏の夕暮れ。金色の陽光がセーヌ川の川面を煌めかせている。 目の前には、絵の具で汚れたエプロンをつけたまま、イーゼルの前で首を傾げるソフィーがいる。
「慎一郎? どうしたの、そんなに怖い顔をして」 ソフィーが不思議そうに微笑む。慎一郎は、込み上げる涙を抑え、彼女の細い肩を力強く掴んだ。 「ソフィー、聞いてくれ。君は今、危険の中にいる」 「……え?」 「君の才能を狙う奴らがいるんだ。このままでは、君の命が危ない」 慎一郎は、記憶の断片を総動員し、彼女を狙う画商の名前や、事故が起きるはずだった場所、日付をすべて伝えた。 ソフィーは最初、慎一郎の言葉を狂言だと思った。だが、彼の瞳に宿る、九十九年分の執念と愛の深さに、彼女の心は震えた。
「……なぜ、そこまでしてくれるの?」 「ソフィー、俺はかつて、君を置いて逃げた卑怯な男だった」 慎一郎は、彼女の瞳を真っ直ぐに見つめ、生涯一度の告白を口にした。 「世界中のどんな名声も、どんな成功も、君がいない人生には価値がない。愛している、ソフィー。君の未来を、俺に守らせてくれ」
ソフィーの瞳から、一粒の涙が零れ落ちた。彼女は力強く慎一郎の手を握り返した。 「……信じるわ、慎一郎。あなたの描く『未来』なら」
そこからの慎一郎の行動は、文字通りの「闘争」だった。 彼は日本でのビジネス資産をすべて売り払い、その私財を投じてパリに独自の警備網を築いた。さらに、これまで培った経済的交渉術を駆使し、組織「レ・ザンジュ」の不正を次々と暴き、パリの芸術界から彼らを追放するためのロビー活動を開始した。
「石川、正気か。一人の女のために、自分のキャリアをすべて捨てるつもりか!」 日本の出資者たちからの怒号。だが、慎一郎には届かなかった。 彼はソフィーを守るために、彼女の作品を展示するプライベート・ギャラリーを設立し、彼女が自由に、そして安全に描ける環境を作り上げた。
数ヶ月後。史実でソフィーが事故に遭うはずだったその日。 慎一郎は、彼女の手を握り、セーヌ川の橋の上に立っていた。 一台の暴走車が、彼らに向かって突っ込んでくる。だが、慎一郎が事前に配置していた警備車両がそれを遮り、暗殺者はその場で拘束された。 ソフィーは救われた。 彼女はその後、慎一郎の支えによってその才能を存分に発揮し、二十世紀を代表する画家としてその名を歴史に刻むことになったのだ。
数十年後。書き換えられた未来の慎一郎は、パリの古いアトリエで、息を引き取ろうとしているソフィーの横にいた。 二人は、夫婦として、そして芸術のパートナーとして、最高の人生を歩んできた。 「慎一郎……あの時、あなたが私を連れ去ってくれたから、私の絵には『愛』が宿ったのよ。ありがとう」 ソフィーが、老いた慎一郎の頬を撫でる。 「俺の方こそ、君のおかげで、冷酷なビジネスマンではなく『人間』になれた」 二人は、夕暮れのセーヌ川を眺めながら、静かに最後の抱擁を交わした。
——だが、その至福の瞬間、慎一郎の耳元で非情な砂の音が響いた。
「……! 待ってくれ、あと少しだけ……!」 慎一郎の絶叫は、時の奔流に飲み込まれた。 ソフィーの温もり、パリの土の匂い、彼女と笑い合った数十年分の記憶が、猛烈な力で引き剥がされていく。
——九十九歳の病室。 慎一郎は、激しく咽びながら目を開けた。 枕元には、世界的に有名な巨匠画家「ソフィー・石川」の画集が置かれている。そこには、慎一郎をモデルにしたとされる、愛に満ちた肖像画が何枚も掲載されていた。
「……よかった。彼女は、生きて、描き切ったんだな」 慎一郎は、震える手でその画集をなぞった。 だが。 ……ソフィー。 その名前を呼ぶ唇が、不意に止まる。 この「ソフィー」という女性は、誰だ? 画集の肖像画に描かれている「自分に似た若者」は、なぜこんなにも幸せそうに笑っているのか。 記憶が、消えていく。 彼女と過ごしたアトリエの陽光も、暗殺から救ったあの日の緊張感も、彼女と交わした最後の口づけの感触も。 すべてが「なかったこと」のように、彼の脳細胞から洗い流されていく。
「……私は、この女性を、愛していたのか?」 慎一郎の瞳から、感情の伴わない涙が流れる。 彼は、自らの人生で最も大切だったはずの「愛」の記憶を対価に、彼女の命を買い取ったのだ。
カレンダーの数字が、また一枚、虚空へと崩れ落ちる。 残された時間は、あと五日。 折り返し地点を過ぎ、慎一郎の魂はもはや「個」としての形を失いかけていた。 そして、六つ目の後悔——「血を分けた親族を、金のために切り捨てた冷酷な夜」が、暗い扉を開いて彼を待っていた。
九十九歳の石川慎一郎は、白濁していく視界の中で、震える手で自身の胸元をまさぐった。 かつてそこにあったはずの、宇宙人から授かった「平和の石」はない。親友と共に築き上げた「グループ」のバッジもない。後悔を消し、歴史を書き換えるたびに、物理的な証拠は「より良い世界」の象徴へと置き換わり、代わりに慎一郎自身の脳裏からは、その奇跡を起こすに至った尊い記憶が、一片、また一片と削り取られていった。
「……私は、何をしてきたのだ」 鏡に映る自分は、もはや何者でもない。 家族の名前すら忘却の彼方へ消え、ただ「誰かに感謝されているらしい」という漠然とした事実に包まれているだけの、空っぽの器。 だが、その虚無の器の底に、たった一つ、誰にも奪わせない鮮烈な「色」が残っていた。 それは、石畳の道、テレピン油の匂い、そして燃えるような赤髪。
五つ目の後悔。 それは、一九六〇年代のパリ。若き日の慎一郎が、一人の女性を救えず、そして自らの想いを封印して逃げ出した、最も美しく、最も残酷な春の記憶だった。 砂時計が猛烈な速さで逆回転を始め、慎一郎の意識は、若き日の情熱と後悔が渦巻く芸術の都へと飛翔した。
——一九六〇年代、パリ。 若き日の慎一郎は、日本でのビジネスの成功を一度脇に置き、自身の魂を洗うかのように芸術の都を放浪していた。セーヌ川のせせらぎ、カフェから流れるシャンソン。その喧騒の中で出会ったのが、画家の卵、ソフィーだった。
彼女は、まるで太陽をキャンバスに閉じ込めたような絵を描く女性だった。 「慎一郎、あなたの線は綺麗だけど、少し『迷い』があるわ。もっと、自分の心に正直に筆を動かして」 モンマルトルの丘で、彼女は笑いながら慎一郎のデッサンを覗き込んだ。彼女との日々は、慎一郎にとって人生で唯一、損得勘定を忘れて「自分」でいられた時間だった。 慎一郎は彼女を深く愛していた。だが、当時の彼には、日本で待つ家業の責任と、異国で無名の画家を支える勇気がなかった。 そして何より、慎一郎は知っていた。ソフィーの才能を妬み、彼女の作品の利権を狙う闇の組織「レ・ザンジュ」の魔の手が、彼女に伸びていたことを。 臆病だった慎一郎は、彼女に警告することさえせず、「仕事の都合だ」と嘘をついて逃げるように日本へ帰国した。 その半年後、ソフィーは交通事故で命を落とした。……いや、それは事故に見せかけた、画商たちによる口封じの暗殺だった。
「愛している」という一言も言えず、彼女を守る盾にもなれなかった。 その悔恨が、九十九年の歳月を経てもなお、慎一郎の心臓を熱く焦がし続けていた。
(……今度は、逃げない。この命を、君を救うためだけに使う)
慎一郎の意識が、三十代の瑞々しい肉体に宿る。 パリ、初夏の夕暮れ。金色の陽光がセーヌ川の川面を煌めかせている。 目の前には、絵の具で汚れたエプロンをつけたまま、イーゼルの前で首を傾げるソフィーがいる。
「慎一郎? どうしたの、そんなに怖い顔をして」 ソフィーが不思議そうに微笑む。慎一郎は、込み上げる涙を抑え、彼女の細い肩を力強く掴んだ。 「ソフィー、聞いてくれ。君は今、危険の中にいる」 「……え?」 「君の才能を狙う奴らがいるんだ。このままでは、君の命が危ない」 慎一郎は、記憶の断片を総動員し、彼女を狙う画商の名前や、事故が起きるはずだった場所、日付をすべて伝えた。 ソフィーは最初、慎一郎の言葉を狂言だと思った。だが、彼の瞳に宿る、九十九年分の執念と愛の深さに、彼女の心は震えた。
「……なぜ、そこまでしてくれるの?」 「ソフィー、俺はかつて、君を置いて逃げた卑怯な男だった」 慎一郎は、彼女の瞳を真っ直ぐに見つめ、生涯一度の告白を口にした。 「世界中のどんな名声も、どんな成功も、君がいない人生には価値がない。愛している、ソフィー。君の未来を、俺に守らせてくれ」
ソフィーの瞳から、一粒の涙が零れ落ちた。彼女は力強く慎一郎の手を握り返した。 「……信じるわ、慎一郎。あなたの描く『未来』なら」
そこからの慎一郎の行動は、文字通りの「闘争」だった。 彼は日本でのビジネス資産をすべて売り払い、その私財を投じてパリに独自の警備網を築いた。さらに、これまで培った経済的交渉術を駆使し、組織「レ・ザンジュ」の不正を次々と暴き、パリの芸術界から彼らを追放するためのロビー活動を開始した。
「石川、正気か。一人の女のために、自分のキャリアをすべて捨てるつもりか!」 日本の出資者たちからの怒号。だが、慎一郎には届かなかった。 彼はソフィーを守るために、彼女の作品を展示するプライベート・ギャラリーを設立し、彼女が自由に、そして安全に描ける環境を作り上げた。
数ヶ月後。史実でソフィーが事故に遭うはずだったその日。 慎一郎は、彼女の手を握り、セーヌ川の橋の上に立っていた。 一台の暴走車が、彼らに向かって突っ込んでくる。だが、慎一郎が事前に配置していた警備車両がそれを遮り、暗殺者はその場で拘束された。 ソフィーは救われた。 彼女はその後、慎一郎の支えによってその才能を存分に発揮し、二十世紀を代表する画家としてその名を歴史に刻むことになったのだ。
数十年後。書き換えられた未来の慎一郎は、パリの古いアトリエで、息を引き取ろうとしているソフィーの横にいた。 二人は、夫婦として、そして芸術のパートナーとして、最高の人生を歩んできた。 「慎一郎……あの時、あなたが私を連れ去ってくれたから、私の絵には『愛』が宿ったのよ。ありがとう」 ソフィーが、老いた慎一郎の頬を撫でる。 「俺の方こそ、君のおかげで、冷酷なビジネスマンではなく『人間』になれた」 二人は、夕暮れのセーヌ川を眺めながら、静かに最後の抱擁を交わした。
——だが、その至福の瞬間、慎一郎の耳元で非情な砂の音が響いた。
「……! 待ってくれ、あと少しだけ……!」 慎一郎の絶叫は、時の奔流に飲み込まれた。 ソフィーの温もり、パリの土の匂い、彼女と笑い合った数十年分の記憶が、猛烈な力で引き剥がされていく。
——九十九歳の病室。 慎一郎は、激しく咽びながら目を開けた。 枕元には、世界的に有名な巨匠画家「ソフィー・石川」の画集が置かれている。そこには、慎一郎をモデルにしたとされる、愛に満ちた肖像画が何枚も掲載されていた。
「……よかった。彼女は、生きて、描き切ったんだな」 慎一郎は、震える手でその画集をなぞった。 だが。 ……ソフィー。 その名前を呼ぶ唇が、不意に止まる。 この「ソフィー」という女性は、誰だ? 画集の肖像画に描かれている「自分に似た若者」は、なぜこんなにも幸せそうに笑っているのか。 記憶が、消えていく。 彼女と過ごしたアトリエの陽光も、暗殺から救ったあの日の緊張感も、彼女と交わした最後の口づけの感触も。 すべてが「なかったこと」のように、彼の脳細胞から洗い流されていく。
「……私は、この女性を、愛していたのか?」 慎一郎の瞳から、感情の伴わない涙が流れる。 彼は、自らの人生で最も大切だったはずの「愛」の記憶を対価に、彼女の命を買い取ったのだ。
カレンダーの数字が、また一枚、虚空へと崩れ落ちる。 残された時間は、あと五日。 折り返し地点を過ぎ、慎一郎の魂はもはや「個」としての形を失いかけていた。 そして、六つ目の後悔——「血を分けた親族を、金のために切り捨てた冷酷な夜」が、暗い扉を開いて彼を待っていた。
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