17 / 19
『最終章:星影の雫』第2話:記憶のネガフィルム
しおりを挟む
翌日の午後。 昨夜の激しい通り雨が嘘のように、街には透き通るような陽光が降り注いでいた。路地裏の凹凸に溜まった雨水は小さな鏡となって空の青を切り取り、店先に並べたビオラやネモフィラの花弁の上で、宝石のような雫が陽を浴びてまたたいている。 ひかりは霧吹きを手に、花の呼吸を整える作業に没頭していた。シュッ、という規則的な音が、波立つ心を静めてくれるような気がしたからだ。昨夜、颯の残していった「呪い」という言葉が、胸の奥で棘のように刺さったまま抜けない。
「ひかり、今日の仕入れはこれで全部だ。チューリップのグラデーション、かなり良いのが入ったぞ。これなら、おばさんも納得するはずだ」
陽太がトラックから重い段ボールを抱えて店に入ってくる。その顔にはいつもの快活な笑顔が貼り付いていたが、ひかりには分かっていた。彼が時折、路地の入り口へ向ける視線が、大切な場所を汚す侵入者を警戒する獣のように、鋭く冷たいものに変わっていることを。
「ありがとう、陽太。……あの、昨日言っていたこと、どういう意味なの? あの人が持っていたカメラが、どうかしたの?」
ひかりが棚の整理をしながら、震える声を抑えて問いかけた。陽太は重い荷物を置くと、軍手を脱いで無造作にカウンターを叩いた。乾いた音が店内に空虚に響く。
「……数年前、有名な報道写真家が山間の火災事故で亡くなった事件、覚えてるか? その時、炎の中から消えたと言われているのが、あの特注のライカなんだ。ボディに十字の深い傷がある……世界に一台しかないはずのカメラだ。あんな不吉なものを平然と持っている奴が、まともな『旅人』なわけがない」
陽太の手が、カウンターの上に置かれた母の古い日記の表紙を、無意識に、けれど強く押さえていた。
「あいつが何者かは知らない。でも、死人の執念と灰の匂いが染み付いたカメラを持ち歩くような奴に、ひかり、お前を近づけたくないんだ。あいつは……何かを壊しに来たのかもしれない」
陽太の言葉は、まるで鋭い氷の破片のようにひかりの胸に突き刺さった。けれど、昨夜見た颯の瞳――あの、深い夜の底で震えているような孤独を知る瞳が、どうしても嘘をついているとは思えなかった。
◆
陽太が配達のために店を空けた、一瞬の静寂。 ドアに取り付けられた真鍮のベルが、密やかな音を立てた。ひかりの心臓が大きく跳ねる。
「……こんにちは。昨日の写真、持ってきた。約束したから」
そこに立っていたのは、やはり颯だった。今日はフードを脱ぎ、生成りのシャツの袖を無造作にまくり上げている。その剥き出しの腕には、過去の業火を物語るような、かすかな火傷の痕が地図のように白く残っていた。そして肩には、やはりあの「十字の傷」があるライカが、彼の体の一部であるかのように掛けられている。
「颯さん……。わざわざ、ありがとうございます」
「これ、さっき現像したんだ。君の店にある光に、一番相応しい紙を選んだつもりだ」
差し出された封筒から滑り出たのは、銀塩写真特有の、深く重厚な階調を纏った一枚だった。 青白い月光の中で、まるで見えない誰かと対話するように咲く花々と、空を仰ぐひかり。そこには、彼女自身も気づいていなかった「母への狂おしいほどの愛慕」と「置き去りにされた者の空虚」が、残酷なほど美しく、そして救いがあるほど優しく定着されていた。
「……すごい。私、自分のことが、こんな風に世界に映っているなんて知らなかった。この写真の中の私、なんだか……笑おうとしているみたい」
「君が綺麗だからだ。……僕は、自分が美しいと思ったものしか撮れない。それ以外は、指が石のように固まって、シャッターが重くて切れないんだ。君は、僕が久しぶりに見つけた『光』そのものだった」
颯がかすかに微笑んだその時、彼の視線が、店の一番奥、最も日当たりの悪い場所に置かれた「一鉢の苗」で止まった。 母が遺し、ひかりがどれだけ肥料を与え、話しかけても、ただの一度も花を咲かせない、死を待つだけのような枯れかけた植物。
その瞬間、颯の顔から劇的に血の気が引いた。彼は吸い寄せられるようにその苗に近づき、震える指先を葉の表面で、触れることをためらうように止めた。
「……どうして、君がこの花を育てている? これは、どこで手に入れた?」
「母の形見なんです。でも、名前も分からないし、何をしても咲かなくて。……颯さん、この花を知っているの?」
颯は絶句したまま、自身のカメラのボディを、指が白くなるほど強く握りしめた。十字の傷跡が肉に食い込む。
「これは……『星影の雫』。僕の故郷……もう地図から消えた村でしか咲かない花だ。夜空に星が一番美しく流れる夜にだけ、青い燐光を放って咲く……絶滅したはずの花なんだ」
「絶滅……? じゃあ、どうしてお母さんがこの花を……」
「火事だった。村も、庭も、僕の家族も……すべてがあの赤い濁流に呑み込まれた。僕は、父が遺したこのカメラだけを抱えて、逃げ出したんだ。……大切なものを、すべて火の中に置いて。僕一人だけが、生き残ってしまった」
颯の告白は、喉の奥で乾いた血を吐き出すような苦悩に満ちていた。ひかりは言葉を失い、彼の手を取りたい衝動に駆られた。その火傷の跡を、優しく撫でてあげたいと。 しかし、その刹那――。
「そこまでだ、星影颯! お前の化けの皮は剥がれてるんだよ!」
怒号と共に、ドアが乱暴に開かれた。戻ってきた陽太の手には、古い新聞記事のコピーが握られていた。
「九条颯。それがお前の本名だろう。父親を見捨てて、自分だけライカを盗んで逃げた、卑怯者の写真家!」
陽太の突きつけた言葉は、冷酷な刃物となって空気を切り裂いた。颯は反論しなかった。ただ、痛ましそうに深く目を伏せ、首筋に浮かぶ火傷の痕を隠すように顔を背けた。その沈黙は、ひかりにとってどんな肯定よりも辛いものだった。
「……ひかり、あいつのカメラのケースを見てみろ。もう一枚、隠された写真があるはずだ。あいつがここに来た本当の目的がな」
陽太の指摘に、ひかりの視線が颯の足元にあるカメラバッグへ向く。そこから半分覗いていたのは、セピア色に褪せた、二十年前の「星影の花屋」の写真。そこに写っていたのは、若き日のひかりの母と、カメラを構え、彼女の肩を優しく抱く一人の男の姿だった。
「どういうこと……? お母さんと、颯さんのお父さんが……? 私、何も聞いてない……」
ひかりの震える問いに答える者はいなかった。 ただ、枯れかけていたはずの『星影の雫』の葉が、外の暗雲を呼ぶかのように、かすかに、本当にかすかに、青い影を帯びて震えた。
「嘘つき……。颯さん、本当のことを教えて! どうしてお母さんと写っているの!」
ひかりの悲痛な叫びが店内に響く中、颯は何も言わず、土砂降りに変わり始めた雨の中を走り去った。カウンターには、母の日記だけが、まだ開かれていない「空白のページ」を秘めて残されていた。雨音が、すべてを現像できない暗闇へと塗り潰していく。
(第3話へ続く)
【第2話 あとがき】
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 第2話「記憶のネガフィルム」。ついに物語の核心を突くキーワード『星影の雫』がその名を現しました。
ひかりを守りたい一心で鋭い牙を剥く陽太。自らを「死人の執念を運ぶ者」と称し、過去の火影に苛まれる颯。そして、亡き母が遺した「咲かない花」に秘められた、絶滅したはずの故郷の記憶。陽太が暴いた颯の素性と、母の日記に隠された符合。バラバラだったピースが「悲劇」という形を成して繋がり始める中、物語は雨音と共に激しさを増していきます。
▼『星影の雫』の深淵を聴く(物語を「完成」させるために)
今話の緊迫した空気感と、ひかりの心の揺れ。それを完璧なまでに現像するのが、108(sund) による完全書き下ろしの楽曲たちです。
①『Blue Negative』
――今話の冒頭、きらめく陽光と裏腹に停滞するひかりの心境をなぞる調べ。
「美しいものしか撮れない」と語る颯の孤独な美学と、この疾走感溢れるメロディが重なるとき、物語の持つ「切実な美しさ」がより鮮明に浮かび上がります。
②『ひだまりのたね (SUNLIT SEED)』
――降りしきる雨のラストシーン、ひかりの叫びに重なる再生の調べ。
たとえ明日が「現像できない」不確かなものであっても、柔らかい土の中で命は芽吹きの時を待っている。不完全な過去を許し、痛みを抱えたまま生きていく強さを歌い上げるこの聖なるバラードが、雨に濡れるひかりの心を優しく包み込みます。
③『ヒーローの背中合わせ』
――「お前を近づけたくない」と語る陽太の、独占欲にも似た守護の決意。
Vaundyを思わせる熱い鼓動のようなこの曲を聴けば、陽太の乱暴な言動の裏にある、彼自身の「正義」と「脆さ」がより深く胸に刺さるはずです。
④『約束の燐光(りんこう)』
――颯の指先が触れた瞬間、微かに震えた『星影の雫』。
まだ花開かぬその苗に眠る、蒼い奇跡の予兆。この神々しい楽曲のイントロに漂う「祈り」の気配が、第3話で訪れるであろう決定的な瞬間へと、あなたの心を引き込んでいきます。
【音楽と共に、物語の真の結末へ】
これらの楽曲は、108(sund) が物語の行間に隠された「キャラクターたちの吐息」を形にしたものです。テキストを読み、音楽を聴き、二つの感覚がシンクロしたとき――『星影の雫』は、あなたの心の中で本当の「完成」を迎えます。
【物語とシンクロする公式リンク】
Music (Suno): https://suno.com/song/@108sund
(※第2話の余韻に浸りながら、全曲のフルバージョンをお楽しみください)
TikTok: @108sund
X (Official): @108sund
もし少しでも「颯の真意を知りたい」「陽太の想いが切ない」と感じていただけたら、【お気に入り登録】や【感想】をいただけますと、物語を光へと導く大きな力になります。
【次回予告:第3話「丘の上の約束」】
「逃げないで、颯さん!」 雨の降りしきる中、ひかりは母の日記に隠された驚愕の真実を見つけ、颯の後を追う。辿り着いたのは、街外れにある廃墟の丘。 そこで明かされる、父たちの過ちと、母たちの愛。 「俺は……君の母親を、救えなかった男の息子なんだ」 絶望の淵で、ついに『星影の雫』に奇跡の光が宿る。 陽太が下す最後の決断とは。 第3話、涙のクライマックスが幕を開けます。
「ひかり、今日の仕入れはこれで全部だ。チューリップのグラデーション、かなり良いのが入ったぞ。これなら、おばさんも納得するはずだ」
陽太がトラックから重い段ボールを抱えて店に入ってくる。その顔にはいつもの快活な笑顔が貼り付いていたが、ひかりには分かっていた。彼が時折、路地の入り口へ向ける視線が、大切な場所を汚す侵入者を警戒する獣のように、鋭く冷たいものに変わっていることを。
「ありがとう、陽太。……あの、昨日言っていたこと、どういう意味なの? あの人が持っていたカメラが、どうかしたの?」
ひかりが棚の整理をしながら、震える声を抑えて問いかけた。陽太は重い荷物を置くと、軍手を脱いで無造作にカウンターを叩いた。乾いた音が店内に空虚に響く。
「……数年前、有名な報道写真家が山間の火災事故で亡くなった事件、覚えてるか? その時、炎の中から消えたと言われているのが、あの特注のライカなんだ。ボディに十字の深い傷がある……世界に一台しかないはずのカメラだ。あんな不吉なものを平然と持っている奴が、まともな『旅人』なわけがない」
陽太の手が、カウンターの上に置かれた母の古い日記の表紙を、無意識に、けれど強く押さえていた。
「あいつが何者かは知らない。でも、死人の執念と灰の匂いが染み付いたカメラを持ち歩くような奴に、ひかり、お前を近づけたくないんだ。あいつは……何かを壊しに来たのかもしれない」
陽太の言葉は、まるで鋭い氷の破片のようにひかりの胸に突き刺さった。けれど、昨夜見た颯の瞳――あの、深い夜の底で震えているような孤独を知る瞳が、どうしても嘘をついているとは思えなかった。
◆
陽太が配達のために店を空けた、一瞬の静寂。 ドアに取り付けられた真鍮のベルが、密やかな音を立てた。ひかりの心臓が大きく跳ねる。
「……こんにちは。昨日の写真、持ってきた。約束したから」
そこに立っていたのは、やはり颯だった。今日はフードを脱ぎ、生成りのシャツの袖を無造作にまくり上げている。その剥き出しの腕には、過去の業火を物語るような、かすかな火傷の痕が地図のように白く残っていた。そして肩には、やはりあの「十字の傷」があるライカが、彼の体の一部であるかのように掛けられている。
「颯さん……。わざわざ、ありがとうございます」
「これ、さっき現像したんだ。君の店にある光に、一番相応しい紙を選んだつもりだ」
差し出された封筒から滑り出たのは、銀塩写真特有の、深く重厚な階調を纏った一枚だった。 青白い月光の中で、まるで見えない誰かと対話するように咲く花々と、空を仰ぐひかり。そこには、彼女自身も気づいていなかった「母への狂おしいほどの愛慕」と「置き去りにされた者の空虚」が、残酷なほど美しく、そして救いがあるほど優しく定着されていた。
「……すごい。私、自分のことが、こんな風に世界に映っているなんて知らなかった。この写真の中の私、なんだか……笑おうとしているみたい」
「君が綺麗だからだ。……僕は、自分が美しいと思ったものしか撮れない。それ以外は、指が石のように固まって、シャッターが重くて切れないんだ。君は、僕が久しぶりに見つけた『光』そのものだった」
颯がかすかに微笑んだその時、彼の視線が、店の一番奥、最も日当たりの悪い場所に置かれた「一鉢の苗」で止まった。 母が遺し、ひかりがどれだけ肥料を与え、話しかけても、ただの一度も花を咲かせない、死を待つだけのような枯れかけた植物。
その瞬間、颯の顔から劇的に血の気が引いた。彼は吸い寄せられるようにその苗に近づき、震える指先を葉の表面で、触れることをためらうように止めた。
「……どうして、君がこの花を育てている? これは、どこで手に入れた?」
「母の形見なんです。でも、名前も分からないし、何をしても咲かなくて。……颯さん、この花を知っているの?」
颯は絶句したまま、自身のカメラのボディを、指が白くなるほど強く握りしめた。十字の傷跡が肉に食い込む。
「これは……『星影の雫』。僕の故郷……もう地図から消えた村でしか咲かない花だ。夜空に星が一番美しく流れる夜にだけ、青い燐光を放って咲く……絶滅したはずの花なんだ」
「絶滅……? じゃあ、どうしてお母さんがこの花を……」
「火事だった。村も、庭も、僕の家族も……すべてがあの赤い濁流に呑み込まれた。僕は、父が遺したこのカメラだけを抱えて、逃げ出したんだ。……大切なものを、すべて火の中に置いて。僕一人だけが、生き残ってしまった」
颯の告白は、喉の奥で乾いた血を吐き出すような苦悩に満ちていた。ひかりは言葉を失い、彼の手を取りたい衝動に駆られた。その火傷の跡を、優しく撫でてあげたいと。 しかし、その刹那――。
「そこまでだ、星影颯! お前の化けの皮は剥がれてるんだよ!」
怒号と共に、ドアが乱暴に開かれた。戻ってきた陽太の手には、古い新聞記事のコピーが握られていた。
「九条颯。それがお前の本名だろう。父親を見捨てて、自分だけライカを盗んで逃げた、卑怯者の写真家!」
陽太の突きつけた言葉は、冷酷な刃物となって空気を切り裂いた。颯は反論しなかった。ただ、痛ましそうに深く目を伏せ、首筋に浮かぶ火傷の痕を隠すように顔を背けた。その沈黙は、ひかりにとってどんな肯定よりも辛いものだった。
「……ひかり、あいつのカメラのケースを見てみろ。もう一枚、隠された写真があるはずだ。あいつがここに来た本当の目的がな」
陽太の指摘に、ひかりの視線が颯の足元にあるカメラバッグへ向く。そこから半分覗いていたのは、セピア色に褪せた、二十年前の「星影の花屋」の写真。そこに写っていたのは、若き日のひかりの母と、カメラを構え、彼女の肩を優しく抱く一人の男の姿だった。
「どういうこと……? お母さんと、颯さんのお父さんが……? 私、何も聞いてない……」
ひかりの震える問いに答える者はいなかった。 ただ、枯れかけていたはずの『星影の雫』の葉が、外の暗雲を呼ぶかのように、かすかに、本当にかすかに、青い影を帯びて震えた。
「嘘つき……。颯さん、本当のことを教えて! どうしてお母さんと写っているの!」
ひかりの悲痛な叫びが店内に響く中、颯は何も言わず、土砂降りに変わり始めた雨の中を走り去った。カウンターには、母の日記だけが、まだ開かれていない「空白のページ」を秘めて残されていた。雨音が、すべてを現像できない暗闇へと塗り潰していく。
(第3話へ続く)
【第2話 あとがき】
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 第2話「記憶のネガフィルム」。ついに物語の核心を突くキーワード『星影の雫』がその名を現しました。
ひかりを守りたい一心で鋭い牙を剥く陽太。自らを「死人の執念を運ぶ者」と称し、過去の火影に苛まれる颯。そして、亡き母が遺した「咲かない花」に秘められた、絶滅したはずの故郷の記憶。陽太が暴いた颯の素性と、母の日記に隠された符合。バラバラだったピースが「悲劇」という形を成して繋がり始める中、物語は雨音と共に激しさを増していきます。
▼『星影の雫』の深淵を聴く(物語を「完成」させるために)
今話の緊迫した空気感と、ひかりの心の揺れ。それを完璧なまでに現像するのが、108(sund) による完全書き下ろしの楽曲たちです。
①『Blue Negative』
――今話の冒頭、きらめく陽光と裏腹に停滞するひかりの心境をなぞる調べ。
「美しいものしか撮れない」と語る颯の孤独な美学と、この疾走感溢れるメロディが重なるとき、物語の持つ「切実な美しさ」がより鮮明に浮かび上がります。
②『ひだまりのたね (SUNLIT SEED)』
――降りしきる雨のラストシーン、ひかりの叫びに重なる再生の調べ。
たとえ明日が「現像できない」不確かなものであっても、柔らかい土の中で命は芽吹きの時を待っている。不完全な過去を許し、痛みを抱えたまま生きていく強さを歌い上げるこの聖なるバラードが、雨に濡れるひかりの心を優しく包み込みます。
③『ヒーローの背中合わせ』
――「お前を近づけたくない」と語る陽太の、独占欲にも似た守護の決意。
Vaundyを思わせる熱い鼓動のようなこの曲を聴けば、陽太の乱暴な言動の裏にある、彼自身の「正義」と「脆さ」がより深く胸に刺さるはずです。
④『約束の燐光(りんこう)』
――颯の指先が触れた瞬間、微かに震えた『星影の雫』。
まだ花開かぬその苗に眠る、蒼い奇跡の予兆。この神々しい楽曲のイントロに漂う「祈り」の気配が、第3話で訪れるであろう決定的な瞬間へと、あなたの心を引き込んでいきます。
【音楽と共に、物語の真の結末へ】
これらの楽曲は、108(sund) が物語の行間に隠された「キャラクターたちの吐息」を形にしたものです。テキストを読み、音楽を聴き、二つの感覚がシンクロしたとき――『星影の雫』は、あなたの心の中で本当の「完成」を迎えます。
【物語とシンクロする公式リンク】
Music (Suno): https://suno.com/song/@108sund
(※第2話の余韻に浸りながら、全曲のフルバージョンをお楽しみください)
TikTok: @108sund
X (Official): @108sund
もし少しでも「颯の真意を知りたい」「陽太の想いが切ない」と感じていただけたら、【お気に入り登録】や【感想】をいただけますと、物語を光へと導く大きな力になります。
【次回予告:第3話「丘の上の約束」】
「逃げないで、颯さん!」 雨の降りしきる中、ひかりは母の日記に隠された驚愕の真実を見つけ、颯の後を追う。辿り着いたのは、街外れにある廃墟の丘。 そこで明かされる、父たちの過ちと、母たちの愛。 「俺は……君の母親を、救えなかった男の息子なんだ」 絶望の淵で、ついに『星影の雫』に奇跡の光が宿る。 陽太が下す最後の決断とは。 第3話、涙のクライマックスが幕を開けます。
1
あなたにおすすめの小説
カモフラージュの恋
湖月もか
恋愛
容姿端麗、文武両道、しかも性格までよし。まるで少女漫画の王子様のような幼馴染な彼。
当たり前だが、彼は今年も囲まれている。
そんな集団を早く終わらないかなと、影から見ている私の話。
※あさぎかな様に素敵な表紙を作成していただきました!
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―
佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。
19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。
しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。
突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。
「焦らず、お前のペースで進もう」
そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。
けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。
学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。
外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。
「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」
余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。
理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。
「ゆっくり」なんて、ただの建前。
一度火がついた熱は、誰にも止められない。
兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる