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第三話 デンジャラスデリンジャー 3/4

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 手を開く。
          
        パサッ。


 「おぉーー!!!」二人が叫ぶ。
「出たー!マジで出た!!」


 俺はこの能力に少し慣れて来てるから、しかめっ面で二人を眺めているだけだが、まぁ初見では、こうだよな。

 俺は少しだけ、得意気な顔になっていたかも、な。


 狭い安アパートの部屋に、異常な興奮が沸いた。

 うるせー。


 ムラマサなどは爆笑し、例のバイオレットパンツを銀髪の頭から引っ被り、虎南とハイタッチだ。

 
 何だこの光景は……。


 ムラマサ「いやー、参った!参ったよ河村!お前ホントスゲーよ!」
笑い涙を拭きながら、ソファーに座り直した。


 「いやースゲー、スゲーよお前。」
新しいタバコに火を着け、ようやく落ち着いたようだ。

 虎南も満足しているのか、何度も深く頷いている。

       「だがな。」


 ムラマサだ。


 「ん?どうした?まだ何か不満か?」


 ムラマサは頭に被ったシルクを指差し「あぁ、確かにコイツを出したのはスゲーよ。
だがな、俺、さっき言っただろ?」


 「ん? あぁ、確か……。最初の指定は、俺が買ったり、貰ったりして、予め用意の出来ないモノ、ってヤツか?」
ホントに疑り深いやつだ。どーしたいんだよ?


 ムラマサ「あぁ、そうだ。確率はとんでもなく低いが、俺が女好きなのを知っているお前が、俺がギャルのパンティおくれ!
とか言い出すのを、予想していた可能性がないわけじゃねぇ。

 とすりゃあ、後は色のバリエーションを揃えときゃ良いわけだからな。」


 確かにそうだ。

 が、パンツ被ったやつにアレコレ言われたかねぇ。


 「じゃどうすりゃいんだよ?何出しゃ俺の話、信じてくれんだよ?」
タメ息を吐き、ウンザリ顔で言って、うなだれた。


 虎南が再び挙手した。

 「ウム、安心しろ。今度はプロテインではない。

 考えたのだが、高い山、例えば富士山の頂上にある氷、とかだな。
そういう物なら、いきなりは都合を付けれまい。」
腕を組みし、自信満々とムラマサを見た。


 ムラマサは、はぁ?という顔で紫煙を吐きながら
「お前はアホか?じゃ、富士山の氷ってのはアレか?富士山です!て、書いてあんのか?

 大体、氷なんかコイツの得意技だろ?
それじゃあマジでコイツの思うつぼじゃねーか。
頼むからお前、ちょっと黙ってろ……。」


 ま、確かにな。
証明のしようがないわな。


 ムラマサ「んー。コイツは小動物並みに気が小さい。
ってことは、色々と準備するのはどっちかっつーと得意分野だ。
そうなると……んー。手強い。」


 なんて疑り深いヤツだ。

 わーパンツ出たー!スゲーよ!またなー!
じゃダメなのかよ……。


 ん?


 またもや、懲りないゴリ三が挙手した。

 「ちょっと良いか?」

 ムラマサは被ったパンツのゴムをビンビン伸ばしながら
「おーい虎南、ちょっと黙ってろっつっただろ?
気が散るんだよー。」


 虎南「今度は素晴らしい品を思い付いた。
ウム、我ながら妙案だ。コレが駄目なら俺は黙る。」
かなりの自信作らしい。


 ムラマサ「はぁ? んー、分かった。
一応、聞いてやる。
ダメなら静かにしてろよ?」
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