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第二話
「ぺるちゃんと私が出会った日」(4)
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着いた現場は、空き家ばかりの寂れた住宅地だった。昼下がりだというのに人っ子一人いないし、気のせいかこの一帯だけ曇り空のように薄暗い。
「ゴーストタウン、ていう訳じゃ無さそうだし」
表面上は住宅地の体を成しているけど、荒れて雑草が生え放題の土地や罅が入ったアスファルトが、やけに目立つ。それなのに……言葉では表現できない違和感が拭えない。
「ミャミャ」
「クワァ」
いつの間にかついてあのコンビも付いてきていた。相変わらず、空き家の塀の上から馬鹿にしたような顔でこちらを嘲笑っている。
「言いたいことあれば言えっつーの」
返ってきた答えはやはり動物の鳴き声だった。いい、もう無視、無視。さっさと仕事に取り掛かろう。汚れは……うわ、空き家に面した道路か。空き家自体窓ガラスが割れていて不気味なのに、道路だと車の往来にも気をつけなくちゃいけなくて面倒くさいんだよね。まあ、車なんで通らないだろうけど。
「えーっと、まずは現場の写真を撮るんだっけ」
私はツナギのポケットから手帳を取り出して、作業の確認を始めた。きちんと手順を踏まないと給料が出ないらしいが、いつもは九縁さんに任せていたので慎重に取り掛からないと。
「周囲を確認しても、汚れはここだけだね」
空き家の周りを探索したけど、特にそれらしきものは無いからオッケー。九縁さん曰く、慣れてきたら匂いでわかるようになるらしいが、私にはまだ無理だからこうやって地図に示された範囲を目視で確認するのが一番効率がいい……出来れば慣れたくないな。最近、どんどん泥沼にハマっている気がするし。
「とりあえず、作業開始」
私は、モップを汚れに押し付けた。
「古来より箒には払うということから祓う、つまり魔除けの……」
業務説明のときに森筆さんが何か言ってたけど、要するにこのモップには穢れを祓う効果があるらしい。ただ、安物だから必要最低限の効果しかないわけで、
「ぬおりゃあ!!」
足りない分は、こうやって人力でカバーしなければならない。妖怪やあやかしや怪異だとは言っても、結局運用するのは人間だ。変なビームとか魔方陣が展開する世界の裏側には、こんなに地味で孤独な作業が隠れているということ。世知辛いな、言ってて悲しくなってきた。
「ミャハハ」
「クワァハハ」
……あいつら、完全に自分達が動物の姿をしているってこと忘れていないか。段々形も崩れてきているぞ。猫の方はスライムみたいにぶよぶよしてきたし、カラスの方は色が赤や青に変わっているし。そういえばこいつらって、分類的にはあやかしと妖怪のどっちになるんだろう。
「確か、古来より名前のあるものが妖怪で、名のつけられない存在をあやかしとかいうんだっけ」
これも、森筆さんが説明してくれた気がしたけど、ぼんやりとしか思い出せない。もう少し細かい分け方があったかも……いや、そんなのいちいち覚えていられるかっつーの!!それに、どちらもこの地域にいる限りは人にちょっかいをかけてこないっていうし。何かあったらすぐに退魔案件で即炎上。
「ニャーニャーニャニャニャ」
「オマエバカ」
だからこうやって、あいつらも馬鹿にはしてくるが、ちょっかいをかけては……今絶対に言葉喋ったぞ!!そろそろ通報してやるか?
「とまあ、ようやく半分ほど終了」
そんな余計な事を考えていても、しっかりと手は動いていた。慣れって怖い。とりあえず残りもさっさと終わらせて、暫く休憩しよう。どうせ周りには私とあいつら以外いないし。
「ニャア!!」
「カァ!!カァ!!」
それにしてもいつにも増してうるさいな。私一人だからってあいつら調子に乗りすぎじゃないか。事務所に帰ったら言いつけてやろうか……そう言えば森筆さんが幾つか注意事項みたいなこと言っていたような気がする。何だったっけ?どうして今になってこんなに気になるんだ?
「ニャア!!」
「みゃあ」
「カァ!!カァ!!」
……えーっと、確か。
「ニャア!!」
「みゃあ、みー、みゃあ」
「カァ!!カァ!!」
「みゅみゅみゅ、みゃあ!!」
「あー、もう、いい加減うるさい!!」
とうとう我慢出来なくなり私は、あいつらに怒鳴り声を上げた。
「みゃあ?」
そこには、いつから現れたのかボロボロの白衣を纏った、見知らぬ長身の女性が立っていた。かといって下に着ているのがシャツとジーンズだから医者には見えない。それに、何で裸足なんだろう、痛くないのかな。
「ふみゃ」
……違う、そういう問題じゃない、どうして私が見えてるの?普通の人には見えないはずなのに。もしかして、専門家か関係者か何か?
「みゃあ、みゃあ」
前言撤回、絶対違う。人間はこんな舌足らずな声を出して無邪気に笑わないし、あんなに足音を消して歩かない……こっちに近づいてきてる?
「にゃふぅ!!」
「ぐげ!!」
いきなり、物凄い勢いでタックルされた。咄嗟の事で避けることも出来ずに直撃を喰らい、乙女らしくない呻き声が漏れる。
「みゃみゃみゃ」
「ひ、な、なに?」
そのまま馬乗りになった彼女は、私の両手を押さえて顔中を舌で舐めてきた。く、くすぐったい。振りほどこうとしても、細身の見た目とは違い物凄い力だぞ、びくともしない。それに、間近でよく見たら顔立ちが作り物のように整っている。なのに、表情が子供そのもので、考えている事が全く読めない。
「みゅうー……」
「ぎぇえ!!」
今度は全身を使って抱きしめられた……一回り違う体格のおかげで全身が拘束されている。内臓が潰されそう……耳の中で枯れ木の枝が軋む音が聞こえた、あ、これ、多分私の身体の中から鳴っている……不味い、落ちそう。
「先程申した通り、妖怪やあやかしは滅多にこちらに敵意を向けてこないので大丈夫でしょう」
薄れそうな意識の中で、森筆さんの声が聞こえた。どうして、いまさら……
「ですが、それ以外のもの。例えば人が人為的に作り出したもの等です。私達は形式上『異形のもの』と呼んでいますが、その場合は注意してください。もし出会ってしまった場合の対処法は……」
ああ、これの事だったのか。今度から人の話はしっかりと聞いておこう、私に今度があればだけど……
「ニャア!!ニャア!!ニャア!!」
「カァ!!カァ!!カァ!!カァ!!」
「……みゃ?みゃあ!!」
「げはっ!!」
突然身体を締め付ける拘束が解かれた。急いで新鮮な空気を体内に取り込み、脳に酸素を回す。でも、突然どうして?
「みゃあ~!!」
さっきまで、私にしがみついていた彼女が、猫のような動きで何かを追っかけている。よく見てみるとあの憎たらしいコンビだった。囮になってくれているっぽいけど、あんなにいい奴らだったっけ?
「カァ!!」
カラスのほうが、目配せでここから離れろと伝えてきた。彼女は私への興味をなくして、ずっとあのコンビを追い回している。捕まらないかどうか心配だけど、今の私には何も出来ない。
「ありがとう、お言葉に甘えさえてもらいます……」
息も絶え絶えで私はその場から離れた。走りたかったが、身体が思うように動かず歩くよりも遅い速度だった。
途中何度も振り返り、ようやく危機から脱出できたと思える場所まで来ると、力が抜けてその場に座り込んだ。住宅地から少し離れた路地裏なので、誰もいなかった。
「ひぃ!!」
背後から物音が聞こえた。コンビニのビニール袋が風で飛ばされていただけだった。今更になって手が震え出す。一歩間違えれば、確実に死んでいたと思う……とりあえず、九縁さんに連絡をしなきゃ。
「あ、あれ?」
ポケットに入れておいたはずの携帯が無い。もしかして、さっきのもみ合いで落とした……それに、仕事道具もあの場所に置きっぱなしにしたままだった。どうしよう、かといってあの場所には戻りたくない……
「うぅ、なんて言い訳しよう」
私はその場で頭を抱えてしばらく蹲った。どうしようもない恐怖と失敗と恥ずかしさがぐちゃぐちゃに混ざり合う。鼻の中がツンとする……過去の記憶がランダムにフラッシュバックする。どうして、私が、こんな目に。それらが化学反応を起こして一つの感情を形作った。
「うぐぅ……」
許さない、なにを許さないかは決めていないけど、とにかく許さない。このまま尻尾を巻いて逃げて溜まるものか。もう、決めた、決めたぞ。私を怒らせたらどうなるか思い知らせてやる……もちろん自分のは命は大事だけど。
「……」
鉛のように重くなった足を無理矢理立たせて、私は歩き出した。
「ゴーストタウン、ていう訳じゃ無さそうだし」
表面上は住宅地の体を成しているけど、荒れて雑草が生え放題の土地や罅が入ったアスファルトが、やけに目立つ。それなのに……言葉では表現できない違和感が拭えない。
「ミャミャ」
「クワァ」
いつの間にかついてあのコンビも付いてきていた。相変わらず、空き家の塀の上から馬鹿にしたような顔でこちらを嘲笑っている。
「言いたいことあれば言えっつーの」
返ってきた答えはやはり動物の鳴き声だった。いい、もう無視、無視。さっさと仕事に取り掛かろう。汚れは……うわ、空き家に面した道路か。空き家自体窓ガラスが割れていて不気味なのに、道路だと車の往来にも気をつけなくちゃいけなくて面倒くさいんだよね。まあ、車なんで通らないだろうけど。
「えーっと、まずは現場の写真を撮るんだっけ」
私はツナギのポケットから手帳を取り出して、作業の確認を始めた。きちんと手順を踏まないと給料が出ないらしいが、いつもは九縁さんに任せていたので慎重に取り掛からないと。
「周囲を確認しても、汚れはここだけだね」
空き家の周りを探索したけど、特にそれらしきものは無いからオッケー。九縁さん曰く、慣れてきたら匂いでわかるようになるらしいが、私にはまだ無理だからこうやって地図に示された範囲を目視で確認するのが一番効率がいい……出来れば慣れたくないな。最近、どんどん泥沼にハマっている気がするし。
「とりあえず、作業開始」
私は、モップを汚れに押し付けた。
「古来より箒には払うということから祓う、つまり魔除けの……」
業務説明のときに森筆さんが何か言ってたけど、要するにこのモップには穢れを祓う効果があるらしい。ただ、安物だから必要最低限の効果しかないわけで、
「ぬおりゃあ!!」
足りない分は、こうやって人力でカバーしなければならない。妖怪やあやかしや怪異だとは言っても、結局運用するのは人間だ。変なビームとか魔方陣が展開する世界の裏側には、こんなに地味で孤独な作業が隠れているということ。世知辛いな、言ってて悲しくなってきた。
「ミャハハ」
「クワァハハ」
……あいつら、完全に自分達が動物の姿をしているってこと忘れていないか。段々形も崩れてきているぞ。猫の方はスライムみたいにぶよぶよしてきたし、カラスの方は色が赤や青に変わっているし。そういえばこいつらって、分類的にはあやかしと妖怪のどっちになるんだろう。
「確か、古来より名前のあるものが妖怪で、名のつけられない存在をあやかしとかいうんだっけ」
これも、森筆さんが説明してくれた気がしたけど、ぼんやりとしか思い出せない。もう少し細かい分け方があったかも……いや、そんなのいちいち覚えていられるかっつーの!!それに、どちらもこの地域にいる限りは人にちょっかいをかけてこないっていうし。何かあったらすぐに退魔案件で即炎上。
「ニャーニャーニャニャニャ」
「オマエバカ」
だからこうやって、あいつらも馬鹿にはしてくるが、ちょっかいをかけては……今絶対に言葉喋ったぞ!!そろそろ通報してやるか?
「とまあ、ようやく半分ほど終了」
そんな余計な事を考えていても、しっかりと手は動いていた。慣れって怖い。とりあえず残りもさっさと終わらせて、暫く休憩しよう。どうせ周りには私とあいつら以外いないし。
「ニャア!!」
「カァ!!カァ!!」
それにしてもいつにも増してうるさいな。私一人だからってあいつら調子に乗りすぎじゃないか。事務所に帰ったら言いつけてやろうか……そう言えば森筆さんが幾つか注意事項みたいなこと言っていたような気がする。何だったっけ?どうして今になってこんなに気になるんだ?
「ニャア!!」
「みゃあ」
「カァ!!カァ!!」
……えーっと、確か。
「ニャア!!」
「みゃあ、みー、みゃあ」
「カァ!!カァ!!」
「みゅみゅみゅ、みゃあ!!」
「あー、もう、いい加減うるさい!!」
とうとう我慢出来なくなり私は、あいつらに怒鳴り声を上げた。
「みゃあ?」
そこには、いつから現れたのかボロボロの白衣を纏った、見知らぬ長身の女性が立っていた。かといって下に着ているのがシャツとジーンズだから医者には見えない。それに、何で裸足なんだろう、痛くないのかな。
「ふみゃ」
……違う、そういう問題じゃない、どうして私が見えてるの?普通の人には見えないはずなのに。もしかして、専門家か関係者か何か?
「みゃあ、みゃあ」
前言撤回、絶対違う。人間はこんな舌足らずな声を出して無邪気に笑わないし、あんなに足音を消して歩かない……こっちに近づいてきてる?
「にゃふぅ!!」
「ぐげ!!」
いきなり、物凄い勢いでタックルされた。咄嗟の事で避けることも出来ずに直撃を喰らい、乙女らしくない呻き声が漏れる。
「みゃみゃみゃ」
「ひ、な、なに?」
そのまま馬乗りになった彼女は、私の両手を押さえて顔中を舌で舐めてきた。く、くすぐったい。振りほどこうとしても、細身の見た目とは違い物凄い力だぞ、びくともしない。それに、間近でよく見たら顔立ちが作り物のように整っている。なのに、表情が子供そのもので、考えている事が全く読めない。
「みゅうー……」
「ぎぇえ!!」
今度は全身を使って抱きしめられた……一回り違う体格のおかげで全身が拘束されている。内臓が潰されそう……耳の中で枯れ木の枝が軋む音が聞こえた、あ、これ、多分私の身体の中から鳴っている……不味い、落ちそう。
「先程申した通り、妖怪やあやかしは滅多にこちらに敵意を向けてこないので大丈夫でしょう」
薄れそうな意識の中で、森筆さんの声が聞こえた。どうして、いまさら……
「ですが、それ以外のもの。例えば人が人為的に作り出したもの等です。私達は形式上『異形のもの』と呼んでいますが、その場合は注意してください。もし出会ってしまった場合の対処法は……」
ああ、これの事だったのか。今度から人の話はしっかりと聞いておこう、私に今度があればだけど……
「ニャア!!ニャア!!ニャア!!」
「カァ!!カァ!!カァ!!カァ!!」
「……みゃ?みゃあ!!」
「げはっ!!」
突然身体を締め付ける拘束が解かれた。急いで新鮮な空気を体内に取り込み、脳に酸素を回す。でも、突然どうして?
「みゃあ~!!」
さっきまで、私にしがみついていた彼女が、猫のような動きで何かを追っかけている。よく見てみるとあの憎たらしいコンビだった。囮になってくれているっぽいけど、あんなにいい奴らだったっけ?
「カァ!!」
カラスのほうが、目配せでここから離れろと伝えてきた。彼女は私への興味をなくして、ずっとあのコンビを追い回している。捕まらないかどうか心配だけど、今の私には何も出来ない。
「ありがとう、お言葉に甘えさえてもらいます……」
息も絶え絶えで私はその場から離れた。走りたかったが、身体が思うように動かず歩くよりも遅い速度だった。
途中何度も振り返り、ようやく危機から脱出できたと思える場所まで来ると、力が抜けてその場に座り込んだ。住宅地から少し離れた路地裏なので、誰もいなかった。
「ひぃ!!」
背後から物音が聞こえた。コンビニのビニール袋が風で飛ばされていただけだった。今更になって手が震え出す。一歩間違えれば、確実に死んでいたと思う……とりあえず、九縁さんに連絡をしなきゃ。
「あ、あれ?」
ポケットに入れておいたはずの携帯が無い。もしかして、さっきのもみ合いで落とした……それに、仕事道具もあの場所に置きっぱなしにしたままだった。どうしよう、かといってあの場所には戻りたくない……
「うぅ、なんて言い訳しよう」
私はその場で頭を抱えてしばらく蹲った。どうしようもない恐怖と失敗と恥ずかしさがぐちゃぐちゃに混ざり合う。鼻の中がツンとする……過去の記憶がランダムにフラッシュバックする。どうして、私が、こんな目に。それらが化学反応を起こして一つの感情を形作った。
「うぐぅ……」
許さない、なにを許さないかは決めていないけど、とにかく許さない。このまま尻尾を巻いて逃げて溜まるものか。もう、決めた、決めたぞ。私を怒らせたらどうなるか思い知らせてやる……もちろん自分のは命は大事だけど。
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