ただ、隣にいたいだけ~隣人はどうやら微妙にネジが外れているようです~

Ayari(橋本彩里)

文字の大きさ
111 / 143
6緩甘ネジ

染められて

しおりを挟む
 
 入れ替わりにシャワーを浴びた小野寺に押し倒され、二人分の重みでベッドが軋んだ。
 いつも以上に熱を帯びた眼差しに、一度冷めたはずの身体がまた火照るのを意識する。

 するりと肌を撫でながら服を脱がされ、重ね合う肌の温もりに安堵した。
 視線が絡み、どちらからともなくさらに身体を寄せ合う。
 熱い吐息が絡み、渇望する底の知れない双眸を前に千幸は目を細めた。

 求められている。欲されている。
 好きな人に。大事な人に。
 その向けられる熱も愛おしくて。この時間が尊い。

 頬に柔らかな口づけが落とされる。
 目尻、おでこ、髪、そしてまた反対の目尻、頬、鼻、そして唇へとちゅっと可愛らしい音を鳴らしながら触れられる。

 触れられた場所からじわじわと火照って、熱が逃れてくれない。
 優しく触れながら外されない小野寺の視線はずっと千幸を捕らえていて、胸の奥がじんわりと熱を帯びていく。

「んっ、翔さ…ん…」

 甘えたような声が出る。
 取り繕う余裕もなく、するすると這わされながらがぶりと唇に食いつかれた。

 文字通り食べるかのような激しいキス。絡まる舌と飲みきれない唾液がつぅっと唇から垂れ、ぺろりと舐めあげられる。
 舌の感触にはぁ、と小さく息をつき、呼吸が全く整わないまままた貪られた。

「千幸」
「んっ」

 長く骨張った小野寺の指が腰を辿り、胸へと向かう。
 きゅっと形を確認するように何度か持ち上げられ、形を変えるように揉まれ、両方の胸を大きな手で揉み込まれた。

 楽しそうに手を動かしていたが、人差し指が胸の先端を掠める。
 ぴくりと反応すると、つままれぴんと弾かれて千幸は小さな声を上げた。

 舐めて、噛んで、吸って。
 きゅっと両手でつまみあげられ、声を上げると嬉しそうにまた吸われて。
 花びらのような痕をあちこちにつけられた。

「っんぁっ」
「かわい」
「ああっ」
「千幸のぜんぶが好き」

 先端を口で含みながら、下半身へと手が伸ばされる。
 くちゅりと期待で濡れた下腹に指が入り、とくりとまた蜜が漏れた。

「翔、さん」

 恥ずかしすぎて自ら唇を求めて顔を寄せると、気づいた小野寺がすぐにキスをくれた。
 甘い吐息が部屋を占め、さらに官能を煽る。

「俺の指で感じてるの? こんなに濡れて。ほら、もっと感じて」
「あぁっ……」
「ああ、かわい。顔、見せて」

 濡れた水音に耳を押し当てたくても、感じさせようと千幸の反応を見ながら獰猛な気配を漂わせる小野寺に何も言えなくて、小さく腰を揺らした。
 煽られすぎた。今日も、これまでも。

 そして、やっと互いの不安とか心配に向き合って好きが増して身体を重ね合うこの日。
 もう焦らされすぎて、気持ちよすぎて、心から小野寺と一つになりたくて。

 もう、いいよと。
 自分ばかりが気持ちよすぎて、早く小野寺にも気持ちよくなってほしい。
 欲するままに貫いてほしくて、千幸はかぷりと唇にキスをして躊躇いがちに小野寺の背に手を回した。

「もう、い、れて」
「千幸!!」

 感じるところをまさぐられ小野寺は嬉しそうに笑った。
 その顔を見てきゅんとなって、小野寺の指を締め付ける。

「千幸。千幸」

 ぐいっと足を持ち上げられて、小野寺の下腹を当てられた。

「いい?」
「はい」

 先端がくちゅくちゅと入り口を擦り、存在感を主張する。
 やっと一つになれる。

 嬉しくて、千幸はぎゅっと小野寺に回した手に力を込めた。
 この愛おしい熱は自分のもの。手放したくない。

 触れる肌。
 汗で濡れた肌がぴたっとくっつく。それにほぉっと息が漏れた。

 ゆっくりと中に入り込み、小野寺でいっぱいになる。
 途中、はぁっと深い息にさえも煽られる。

 交わり、揺れる。
 やっと満たされる思いに浸っていられるのは最初だけで、次第に小野寺の熱に溺れそうになった。

   ◇ ◇ ◇side翔

 千幸と一つになる。
 包み込む温もりに、自分がすることで感じ反応をする事実に歓喜する。

 これまで生きてきて初めて、翔は満たされることを知った。
 一度知ってしまった甘い蜜。

 ゆらゆらと揺れて、あらゆる反応を引き出したい。伝わる熱や触れる肌、汗にさえ、一つになった喜びで全身がずっと震えていた。
 触れれば触れるほど、さらにもっと欲しくなる。

 感じる姿が愛おしく、感じるたびに自身が締められてくっと息が漏れた。

 ――かわいい、かわいい。好きだ。

 触れている事実。身体を許される事実。
 そして、たくさんの言葉を思い出すたびに胸が震え身体は正直に千幸を欲する。

 許されるまま夜も求めて、一度目よりは目に焼き付けるように丁寧に触れていく。
 好きな人を欲望のまま求めて、同じように求められることの幸福。

 恥ずかしそうに、でも目を逸らさず告げられる「好き」という言葉に、やっと千幸がこの手の中に、この手に捉えていいことを実感する。

 今さら。
 ここまできてやっと。
 彼女の隣にいることを許されたような気がした。隣にいることを堂々と宣言できる気がした。

 深夜、一度目を覚ました時に腕に感じた重み、相手の姿に安堵とともに愛おしさが増す。
 繋がった分だけさらにまた欲しくなる。でも今はこの腕に、隣にいることに満足する。

「千幸……、愛している」

 幸福すぎて、泣きたいようなどうしようもない気持ちが胸を占める。
 愛する者がこの腕の中にいることが奇跡のようで、眩しくて目を細めているうちに、瞬きをしている間に、淡く消えてしまわないように焼き付けるようにじっと見つめた。

 千幸の姿、表情、言葉、そして温もり。
 さまざまな彼女を見つめながらなぞるように思い出し、ようやく安心する。
 まだ、夢の中にいる彼女の頬にキスを落とし、千幸を抱え直すと翔はまた眠りについた。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

処理中です...