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コイカケその15
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「最後にチェンジした一枚は、エースじゃなかったのか……?」
味澤が質問とも独り言とも取れる呟きを発している。解説する義理はないし、ここで喋った内容が今後の対戦相手に伝わらないとも限らない。だから声には出さないが、心中では答えておこう。
秘密は至ってシンプル。僕はカードマジックを趣味でやっている。レパートリーは平凡で数の多さだけが取り柄だ。それでもカードのすり替えくらいは、お茶の子さいさいってやつで、もしゲームに使うトランプと同じ物をもう一組、身に着けていいのなら、自在に入れ替える自信がある。もちろん周到な下準備が必要だし、場にあるカード全てを調べられたら、同じカードが複数枚あることがばれるので、使ったとしても一回限定だけど。
種は明かせないから、味澤には見間違えたと思ってもらうとしよう。
「年齢ではないですか。眼科に行かれることをおすすめします」
さて、僕の一回戦突破は一応、確定したのだけれども。
あることが気になっている。馬込ディーラーが終戦を宣言する前に、はっきりさせておかなくては。
「馬込さん。決着の前に確かめたいことがあるんですけれど、質問していいでしょうか」
「かまいませんよ」
にこっと笑い、すぐにまた表情を引き締める馬込。
「このギャンブルのトーナメントは公平なトーナメントなんですよね。その点は、二回戦というか準決勝では、新たに担保されるのですか」
「抽象的な物言いをなさいますね。遠慮せずに、はっきりと表現してもよろしいかと」
「つまり僕が問いたいのは、二回戦ではチップを使うのか。使うとしたら、それはこの一回戦で得た分をそのまま持ち上がりか、あるいはリセットされ、二回戦ではまた平等にチップが配給されるのか、ということです」
「次戦について詳らかにすることはできません。ただ、その考え方は悪くないですよと申し上げておきます」
「ありがとうございました。なるほど……では提案したい。味澤さんにも関係があることだから聞いて欲しい」
僕が呼び掛けると、放心状態だった味澤は一拍遅れながらびくりと反応した。
「何か言いたいのか、今さら」
「悪い話じゃありませんよ。あなたはまだチップが十八枚残している。それを賭けて、勝負を続けませんか?」
「はあ? そんな無意味な勝負、する価値があるか? さっきディーラーが示唆した通りだ。俺がどれだけ頑張っても、そっちが降り続けたら、もう届かない。ぼんやりと聞いていたが、二百枚全部のチップを持って二回戦に行きたいんだな。おまえの個人的希望に協力する義理はない」
「あなたにも勝ち目があるようにルールを整えます。それでも受けないと?」
「……聞こう。だが、まずディーラーはこの現状をどう見ているのかを聞いてからだ」
味澤と僕が注目すると、馬込は取り澄ました態度で頷いた。
「そうですね。私、勝負が決したとは言っておりません。何故なら、最初に提示した勝利条件は、実際には未達成ですから。お二人が続けたいのであれば、私は止めませんし、むしろお手伝いいたします。ただし、最初に提示したゲームの範囲内でお願いします。たとえば十五回という期限を越えて、延々とやられても困ります」
「だったら、こういう二つのルールを追加するのはどうでしょう。まず、所持するチップの枚数が上回っている側は、降りてはいけない。次に、一度に賭ける枚数は参加料を含めて十八枚以上とする」
「ディーラーとしては異存ありません。あとは対戦相手の味澤様次第となりますが、いかがいたしますか」
味澤が質問とも独り言とも取れる呟きを発している。解説する義理はないし、ここで喋った内容が今後の対戦相手に伝わらないとも限らない。だから声には出さないが、心中では答えておこう。
秘密は至ってシンプル。僕はカードマジックを趣味でやっている。レパートリーは平凡で数の多さだけが取り柄だ。それでもカードのすり替えくらいは、お茶の子さいさいってやつで、もしゲームに使うトランプと同じ物をもう一組、身に着けていいのなら、自在に入れ替える自信がある。もちろん周到な下準備が必要だし、場にあるカード全てを調べられたら、同じカードが複数枚あることがばれるので、使ったとしても一回限定だけど。
種は明かせないから、味澤には見間違えたと思ってもらうとしよう。
「年齢ではないですか。眼科に行かれることをおすすめします」
さて、僕の一回戦突破は一応、確定したのだけれども。
あることが気になっている。馬込ディーラーが終戦を宣言する前に、はっきりさせておかなくては。
「馬込さん。決着の前に確かめたいことがあるんですけれど、質問していいでしょうか」
「かまいませんよ」
にこっと笑い、すぐにまた表情を引き締める馬込。
「このギャンブルのトーナメントは公平なトーナメントなんですよね。その点は、二回戦というか準決勝では、新たに担保されるのですか」
「抽象的な物言いをなさいますね。遠慮せずに、はっきりと表現してもよろしいかと」
「つまり僕が問いたいのは、二回戦ではチップを使うのか。使うとしたら、それはこの一回戦で得た分をそのまま持ち上がりか、あるいはリセットされ、二回戦ではまた平等にチップが配給されるのか、ということです」
「次戦について詳らかにすることはできません。ただ、その考え方は悪くないですよと申し上げておきます」
「ありがとうございました。なるほど……では提案したい。味澤さんにも関係があることだから聞いて欲しい」
僕が呼び掛けると、放心状態だった味澤は一拍遅れながらびくりと反応した。
「何か言いたいのか、今さら」
「悪い話じゃありませんよ。あなたはまだチップが十八枚残している。それを賭けて、勝負を続けませんか?」
「はあ? そんな無意味な勝負、する価値があるか? さっきディーラーが示唆した通りだ。俺がどれだけ頑張っても、そっちが降り続けたら、もう届かない。ぼんやりと聞いていたが、二百枚全部のチップを持って二回戦に行きたいんだな。おまえの個人的希望に協力する義理はない」
「あなたにも勝ち目があるようにルールを整えます。それでも受けないと?」
「……聞こう。だが、まずディーラーはこの現状をどう見ているのかを聞いてからだ」
味澤と僕が注目すると、馬込は取り澄ました態度で頷いた。
「そうですね。私、勝負が決したとは言っておりません。何故なら、最初に提示した勝利条件は、実際には未達成ですから。お二人が続けたいのであれば、私は止めませんし、むしろお手伝いいたします。ただし、最初に提示したゲームの範囲内でお願いします。たとえば十五回という期限を越えて、延々とやられても困ります」
「だったら、こういう二つのルールを追加するのはどうでしょう。まず、所持するチップの枚数が上回っている側は、降りてはいけない。次に、一度に賭ける枚数は参加料を含めて十八枚以上とする」
「ディーラーとしては異存ありません。あとは対戦相手の味澤様次第となりますが、いかがいたしますか」
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