コイカケ

崎田毅駿

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コイカケその18

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 次こそは先にストップを掛けたい。掛けなければならない。

 ハートの4、クラブのエース、ダイヤのキング、スペードのキング、スペードの6

 やった。キングのワンペアができている。
 後手番だが、これなら戦える。これで相手がストップを掛けなければ、勝機は十二分にあるはず。ただし、相手は降りることもできるのだ。ここで参加料プラス1(カードチェンジを行ったあと降りる場合は一枚チップを積む)枚を取り返しても、枚数差に大きな変動はない。とにかく流れを取り戻したい。
 ところが。
「三枚チェンジ」
 味澤は交換したカードを手に入れると、見る間に嬉しそうな表情をなした。僕が降りられないと分かっている味澤は、ブラフの必要がほとんどないためリラックスしているように見受けられた。
「よし、ストップを掛けるぞ」
「な――またか」
 思わず非難がましく言ってしまった。対戦相手の権利を侵害する意図はないが、こうも続けざまに、しかも早々と仕掛けられると、愚痴もこぼれるというもの。
「予告通り、また全部をつぎ込むぜ。合計七十二枚!」
 その言い種は、段々と格好を付けているように見えてきた。
 僕の方は深呼吸をしてから、交換すべきカードの検討に掛かる。選択肢はそんなに多くない。キングのペアだけを残すか、クラブのエースを含めた三枚を残すか、ぐらいだ。
 味澤は三枚チェンジ。ワンペアが最初からできていた可能性絵が高いと見るべき。そしてじっくり手作りをせずにストップしてきたのだから、役はランクアップしたはず。ツーペアかスリーカード。恐らく後者だ。やはりこちらも三枚チェンジで、キングが来ることを祈るしかない。
「三枚」
 右手の指三本を立てて、ディーラーから新たなカードを受け取る。
 果たしてその中に、クラブのキングが含まれていた。キングのスリーカードの完成。これで勝てる……かもしれない。連敗して自信を失いかけているだけに、弱気がよぎった。
 それでもどうせ降りられないのだ。七十二枚のチップを用意し、勝負に応じた。

 とうとう逆転されてしまった。
 どうしてこんなことになったんだろうと、自分の見せた隙を棚に上げて、考えてしまいそうになる。
 味澤が開いてみせた手札は、エースのスリーカードだった。僕の捨て札にクラブのエースがあったのだから、残り三枚を手にされたことになる。僅差であっても負けは負け。ついに手持ちは五十六枚、相手は百四十四枚となっていた。
「ま、気を落とすのは早いぜ。俺みたいにそこから逆転があるかもしれない。俺の追加してやった一発逆転のルールもあるんだしな」
「……そうですね」
 僕は相手の言葉を噛みしめた。
 配られた五枚のカードを手にし、捨てる札を決めようと顔の近くに寄せたそのとき。
『だいぶ苦戦しているようだな』
 突然、声が聞こえた。一瞬、耳がおかしくなったかと慌てたが、すぐに理解した。
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