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コイカケその17
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「え、まさか」
「そして当然、ストップ。どうやら運がこっちに向いたみたいだぜ。違うかな?」
得意げな味澤は、手持ちのチップ全てを出した。
チェンジなしということは、普通に考えると、ストレート以上の役ができている。僕が勝ち目を求めるとするなら、フラッシュ狙いしかないようだった。ストレートも狙えるものの、第三戦と同じ幸運が続くとは信じられなかった。
「二枚、交換します」
そうしてよこされたカードは、スペードの7とスペードの10。色だけ黒くなったが、何の意味もない。
「どうやらだめだったみたいだな。オープンの権利を使うかい?」
調子の乗ってきた味澤が、挑発してくる。僕は冷静な選択をするのみだ。
「いや、いい。負けた」
十八枚のチップを相手側にやって、終わらせようとしたのだけれども、馬込ディーラーと味澤の双方からクレームが来た。
手札を見せ合わなければならないという。
「降りることが認められていないのですから、勝敗が決するのは飽くまでも互いの手札を開き、その強弱を比べる必要があります」
そうか。自分で決めておいたこのルールだが、僕がどんな手を狙ったのかが丸分かりになってしまう。大勢に影響はないと思う反面、手口を知られるような気がして、いい気分ではない。
「なるほどな。フラッシュを狙って玉砕って訳だ。ははは。こちらはそのフラッシュだ。エースを含んだクラブのフラッシュ」
何とも言えない嫌な感覚が背筋を走る。ムカデにでも這われているような、ぞくりとひやりがごちゃ混ぜになったような、不快な心地がしばらく続く。フラッシュが完成していたにしても、負けは確定していたのだ。同じフラッシュなら、エースを持っている方が強い。
「潮目が変わった。間違いない」
味澤が断言した。ふんぞり返って、葉巻でも吹かしそうな勢いだ。
「そう簡単には行きませんよ」
虚勢を張ってそう応えた。
しかし……実際には潮目は変わったようだった。
次の第五戦、僕は先手番になったことだし、速攻を仕掛ける心構えでいたのだ。
けれども、配られた手は、
スペードの2、スペードの4、ダイヤの7、クラブの9、ハートのクイーン
というどうしようもない組み合わせだった。一番大きなクイーンと、ラッキーセブン頼みでダイヤの7を残して三枚チェンジしたが、ノーペアのままだった。はったりに出ようにも、賭けられる枚数が十八以上三十六以下と固定されていては、それも難しい。
一方の味澤は、今度は一枚チェンジをした上でストップを掛けてきた。本当に僕の気まぐれと欲が、彼を絶好調にさせてしまったのかもしれない。何せ味澤は僕が降りられない、つまりは絶対に勝負に来ると分かっている。その上でのストップなのだから、はったりではあり得ない。強い役ができたのだ。
「三十六枚いただきだな」
そして当然の十八枚上乗せ。
僕は応じざるを得ないのだから、先に十八枚のチップをテーブルへ置く。それから手札を見た。
ダイヤの7、ハートのクイーン、ダイヤの3、クラブの2、スペードの10
同じマークはダイヤが二枚のみで、フラッシュ狙いは無謀。かといってストレートも狙いづらい。三枚チェンジでストレート以上の役を期待するなんて、虫のいい話だ。
結局、数字の大きなクイーンと10を残して三枚を交換したが、またも役なしで終わった。
相手の方は6のワンペアと8のスリーカードで、フルハウスが完成していた。
これにより、手持ちのチップの枚数差が一気に縮まった。僕は百二十八枚、味澤は七十二枚。次、僕が負けると、逆転を許してしまう。三連勝が難しいなんて、誰が決めたんだ。
「そして当然、ストップ。どうやら運がこっちに向いたみたいだぜ。違うかな?」
得意げな味澤は、手持ちのチップ全てを出した。
チェンジなしということは、普通に考えると、ストレート以上の役ができている。僕が勝ち目を求めるとするなら、フラッシュ狙いしかないようだった。ストレートも狙えるものの、第三戦と同じ幸運が続くとは信じられなかった。
「二枚、交換します」
そうしてよこされたカードは、スペードの7とスペードの10。色だけ黒くなったが、何の意味もない。
「どうやらだめだったみたいだな。オープンの権利を使うかい?」
調子の乗ってきた味澤が、挑発してくる。僕は冷静な選択をするのみだ。
「いや、いい。負けた」
十八枚のチップを相手側にやって、終わらせようとしたのだけれども、馬込ディーラーと味澤の双方からクレームが来た。
手札を見せ合わなければならないという。
「降りることが認められていないのですから、勝敗が決するのは飽くまでも互いの手札を開き、その強弱を比べる必要があります」
そうか。自分で決めておいたこのルールだが、僕がどんな手を狙ったのかが丸分かりになってしまう。大勢に影響はないと思う反面、手口を知られるような気がして、いい気分ではない。
「なるほどな。フラッシュを狙って玉砕って訳だ。ははは。こちらはそのフラッシュだ。エースを含んだクラブのフラッシュ」
何とも言えない嫌な感覚が背筋を走る。ムカデにでも這われているような、ぞくりとひやりがごちゃ混ぜになったような、不快な心地がしばらく続く。フラッシュが完成していたにしても、負けは確定していたのだ。同じフラッシュなら、エースを持っている方が強い。
「潮目が変わった。間違いない」
味澤が断言した。ふんぞり返って、葉巻でも吹かしそうな勢いだ。
「そう簡単には行きませんよ」
虚勢を張ってそう応えた。
しかし……実際には潮目は変わったようだった。
次の第五戦、僕は先手番になったことだし、速攻を仕掛ける心構えでいたのだ。
けれども、配られた手は、
スペードの2、スペードの4、ダイヤの7、クラブの9、ハートのクイーン
というどうしようもない組み合わせだった。一番大きなクイーンと、ラッキーセブン頼みでダイヤの7を残して三枚チェンジしたが、ノーペアのままだった。はったりに出ようにも、賭けられる枚数が十八以上三十六以下と固定されていては、それも難しい。
一方の味澤は、今度は一枚チェンジをした上でストップを掛けてきた。本当に僕の気まぐれと欲が、彼を絶好調にさせてしまったのかもしれない。何せ味澤は僕が降りられない、つまりは絶対に勝負に来ると分かっている。その上でのストップなのだから、はったりではあり得ない。強い役ができたのだ。
「三十六枚いただきだな」
そして当然の十八枚上乗せ。
僕は応じざるを得ないのだから、先に十八枚のチップをテーブルへ置く。それから手札を見た。
ダイヤの7、ハートのクイーン、ダイヤの3、クラブの2、スペードの10
同じマークはダイヤが二枚のみで、フラッシュ狙いは無謀。かといってストレートも狙いづらい。三枚チェンジでストレート以上の役を期待するなんて、虫のいい話だ。
結局、数字の大きなクイーンと10を残して三枚を交換したが、またも役なしで終わった。
相手の方は6のワンペアと8のスリーカードで、フルハウスが完成していた。
これにより、手持ちのチップの枚数差が一気に縮まった。僕は百二十八枚、味澤は七十二枚。次、僕が負けると、逆転を許してしまう。三連勝が難しいなんて、誰が決めたんだ。
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