コイカケ

崎田毅駿

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コイカケ2の2

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「……」
 凄く旧いたとえで申し訳ないが、サタデーナイトフィーバーの決めポーズみたいに天井を指差す野杁。静流も三ツ矢もしばし観察に回った。
「――何か言いなさいよ!」
「あらごめんなさい。あまりにも堂々と、男と一緒になると宣言されるものだから、唖然としてしまったわ」
「私もです」
 これまでほぼ沈黙を通してきた三ツ矢が、このときばかりはぼそっと言葉を発する。そして静流に問い掛ける。
「野杁さんの好きな男性って、どこのどなたなのでしょうか。静流お嬢さんはご存知なので?」
「ううん。心当たりすら無いわ。もしかしたらこのあと見付けるつもりかもしれない」
 ひそひそ話っぽく耳打ちするも、声は普通程度にボリュームがあって、よく聞こえる。
「いいから! ギャンブルよ!」
「はいはい。そちらが提案するのね、挑戦してきておきながら」
「当たり前よ。この場所はあなたのホームグラウンドなのだから、イカサマを仕掛ける観点から言えばあなたに有利」
「イカサマが気になるのなら、船を停めて、海に飛び込むという手もあるにはあるけれど」
「……冗談でしょ?」
 真意を測りかねる、という風に片方の眉を吊り上げるようにして、静流の表情を窺う野杁。
「一応、冗談よ。今から停船させて、海に飛び込むのは、暗くて危険だわ」
「――明るかったらやる気だったのかよ!ってつっこんでおけばいいのよね」
「うーん、六十五点ぐらい?」
「何の採点よ! もう、相手をしていたら話が進まないじゃないの。私が説明し終わるまで、とりあえず黙って、邪魔しないで」
 静流は早速口をつぐんで、二度、首肯した。
「私が志向したのは、一番に戦略、二番に駆け引き、そして三番に運が重要となるゲーム。この内の駆け引きと運を満たすゲームとして、ポーカーをチョイスしたわ。ここに駆け引き以上の戦略性を付与するために、ルールを追加する。各人が独自に特殊札を設定するのよ」
「ちょっといい? 分かりづらいところがあるから、トランプを使って説明してくれる?」
 静流が言うのと同時に、三ツ矢からトランプカード一式が手渡されようとする。野杁は一瞬の躊躇のあと、
「説明にはこれを使うわ。実際に闘うときは、私が用意した物を使う」
 として、受け取った。
「特殊札の設定だけれど。

   1.対戦する二人がそれぞれ三枚ずつ設定できる
   2.新たにカードを追加するのではなく、元からあるカードに特性を持たせる
   3.設定された特性は公開される
   4.どのカードが特性を与えられたのかは伏せられる。
     判定は一度のカードチェンジ後にディーラーが行う
   5.次に該当する特性は認めない
     ・一方にのみ有利に働く
     ・ゲームの賭け代やプレイヤー自身に影響を及ぼす
     ・プレイヤー以外の人物に影響を及ぼす
     ・ゲームに使用するトランプ以外の事どもに影響を及ぼす
     ・一枚の特殊カードが一度に二枚以上のカードに影響を及ぼす

 としているわ。
 まず、1と3は説明不用ね。2は、噛み砕いて言うと、たとえばハートの3に特殊性を持たせたとして、手札にそのハートのクイーンがあれば手札の残り四枚の内一枚を、ハートもしくはクイーンにできる、というようなことよ。分かる?」
「分かるけれども、説明下手ね」
「分かったのなら文句を言うなっ」
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