コイカケ

崎田毅駿

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コイカケ2の4

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 提出された特殊カードの設定は次の六つ。
 ()内はどのカードに特性を付与するかを示す物で、神田部静流側から見て分かっているもの。

神田部静流
1.(クラブの2)手札にあるときはオールマイティ、場に捨てたときは相手の手札の一枚がオールマイティになる
2.(スペードの3)相手の手札に特殊札があれば、その中の一枚を指定して無効化
3.(ダイヤの4)欲しい札が出るまで山札から引き続けられる

野杁竹子
4.(?)ジョーカーの代わりになる
5.(?)ジョーカーの代わりになる
6.(?)相手の手札の中で一番強い札と交換

「オールマイティというのはジョーカーと同義ね?」
「そうよ」
「それはともかく、色々と問題があるわね。たとえば、欲しい札が出るまでだなんて、何のために? 欲しい札になる、でいいじゃないの」
「使われていないカードを見るためよ。もちろん、カードを行使する者だけが見られる」
「却下ね。下手したら、欲しいカードが山札にないこともあり得るじゃないの。変更して」
「しょうがないわね。尤もな理屈だから従うわ」
 新たな特性を考えようとした静流に対し、野杁はさらに言った。
「もっと問題があるのは1ね」
「そう?」
「こういう場合分けのある条件設定は禁止にするわ。いくらでも複雑にできる」
「面倒くさいわね」
 こちらの方の変更要請にはやや不満が残ったが、受け入れるとする。
 さて、なかなかいいアイディアだと思っていた二つを潰されてしまった。他にどんな特性があるだろう……。
 ギャンブルで行うゲームに必勝の手があってはならない。必勝の手があるゲームでギャンブルをするなど、単なる詐欺だ。
 だが、ばれない欺瞞によって勝利を手にするのは認められる。少なくとも神田部家の行うギャンブルではそれが原理原則。
 今回のポーカーでは、プレイヤー自らがルールを付加できる。一方の勝率を高めたり、欺瞞を仕掛けたりするようなものは難しいが、どのカードの特性が与えられたか不明である序盤、有利に働く設定は可能ではないかしら。
「決めたわ」

神田部静流
1.(クラブの2)相手の手札の中で一番強い札をクラブの2に変える
2.(スペードの3)相手の手札に特殊札があれば、その中の一枚を指定して無効化
3.(クラブの2)自身の手札の中で一番強い札をダイヤの2に変える

野杁竹子
4.(?)ジョーカーの代わりになる
5.(?)ジョーカーの代わりになる
6.(?)相手の手札の中で一番強い札と交換

「何だかおかしなのがあるけれど、書き間違えじゃないのよね?」
「もちろん。あなたが持つことも考えなければいけないから」
「いいわ。じゃ、この六枚を承認してもらうということで」
「お待ちください、野杁さん」
 三ツ矢がすかさず口を挟んだ。野杁は眉間にしわを作り、不機嫌な口調で「何」と応じる。
「この六枚ですと、複数の特殊カードが使われた場合、互いに影響を及ぼすケースが生じます。そのケースが起きたときの判断を決めねばなりません」
「……そうね。私の6と静流さんの1及び3が互いに影響する可能性がある」
「それだけではありません。ジョーカーを最強の札と見なすのであれば、野杁さんの残り二つも、関連してきます」
「言われてみれば、確かにそうだわ」
「ねえ、野杁さん。この特殊ポーカーゲームをおやりになった経験はあるの?」
「ないわ」
 きっぱりとした返答に、静流は思わず微笑を浮かべた。
「なるほど、それなら公平性は保てます。けど、ゲームとして細かい漏れがあるような印象を受けましてよ」
「いいじゃない。こうしてあなたと二人で、その漏れを塞ぎに掛かっているわけよ」
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