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コイカケ2の5
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「お二方とも、お喋りに拍車が掛かっているようですがほどほどに」
三ツ矢の忠告に、野杁が先に言った。
「じゃ、ジョーカーはカードの強弱の対象から除外する。これでいいわね。何のカードの代用をするのか分からないんだから」
「かまわないわ。とにかく始めてみましょうよ。こんな些細な賭けに、時間を使いたくないし、おかしいとなったら最初からやり直せばいいわ」
「ちょっと。些細な賭けですって? 言うなれば、あなたはあなたの立場を賭け代にするっていうのに」
「さほど執着していませんから。仮に敗れても、リベンジの機会は与えてくださるんでしょう? 賭け好きの野杁さんのことだから」
「そ、それは、まあ、認めなくもないと思うけど」
「あと、決めなきゃいけないのは、駆け引きのためのチップをどうするのか、何を持って決着とするのか、そしてあなたが負けた場合の賭け代ね」
「……賭け代、何が見合うと思うのか、言ってみなさいよ」
「そうねぇ。さっき言ったように、賭け好きのあなたのことだから、賭けができなくなるとお辛いのでは」
「そんなことはない。私は神田部静流と賭けをするのが好きなだけだ。そして打ち負かすのはもっと好き」
「あら。では決まり。もし負けたら、私とのギャンブル禁止ね」
「……」
むぐぐぐと、呻き声と歯軋りが入り混じったような音がしたような。
「やむを得ない。釣り合いの取れた賭け代となると、それぐらい張らなければいけない、うん」
自らを納得させるかのように呟き、承諾した。
「よかった、これで面白くなったわ。さあ、チップは? 何でもいいわよね」
「――退屈していたのかしら、テーブルにマッチ棒が出ているけれども」
「ああ、あれはトーナメントが始まるまではほんと、退屈だったから、マッチ棒パズルを一人でやっていたのよ。今の小さな子の中には、マッチ棒が着火道具だと知らない子もいるのではないかしら」
「……それは私への質問?」
「いいえ。答を知っているのなら教えてほしいけれども」
「じゃ、知らない。私が言いたいのは、マッチ棒をチップ代わりにすればいいってこと。そうね、互いに三十本を持ってスタートする」
「マッチ棒を全て失ったら負け? それではあんまり面白くないわね」
「他にある? 回数を決めるくらいしかないわよ」
「いいえ。折角だから、今回ならではのルールにしましょう。六枚の特殊札それぞれが少なくとも一度は使われた、つまり効果が発動された段階にてゲームは終わり。その回の勝負が済んだ時点で、マッチ棒をより多く持っていた者の勝ち。もちろん、この条件が成立する前にマッチ棒全てを失ったら、その時点で負け。どうかしらね」
「――いい。ユニークだわ。それでやってみましょう」
嬉々とした表情で、野杁は賛同した。
その他の細々した点としては、オールインにはオールインで応じる必要はない、参加費は省くことが決められた。
迎えた第一戦。
静流に配られたのは、のっけからなかなかよい手札になっていた。
ハートの3 クラブの3 スペードの4 ダイヤの2 ダイヤの3
(3のスリーカードができている。悪くない。問題があるとすれば、数字が低いこと。野杁さんの設定した条件6.のカードが、今の手札のどれかという可能性はそれなりに高いかも。でも初戦ですから、思い切った試行錯誤ができる)
三ツ矢の忠告に、野杁が先に言った。
「じゃ、ジョーカーはカードの強弱の対象から除外する。これでいいわね。何のカードの代用をするのか分からないんだから」
「かまわないわ。とにかく始めてみましょうよ。こんな些細な賭けに、時間を使いたくないし、おかしいとなったら最初からやり直せばいいわ」
「ちょっと。些細な賭けですって? 言うなれば、あなたはあなたの立場を賭け代にするっていうのに」
「さほど執着していませんから。仮に敗れても、リベンジの機会は与えてくださるんでしょう? 賭け好きの野杁さんのことだから」
「そ、それは、まあ、認めなくもないと思うけど」
「あと、決めなきゃいけないのは、駆け引きのためのチップをどうするのか、何を持って決着とするのか、そしてあなたが負けた場合の賭け代ね」
「……賭け代、何が見合うと思うのか、言ってみなさいよ」
「そうねぇ。さっき言ったように、賭け好きのあなたのことだから、賭けができなくなるとお辛いのでは」
「そんなことはない。私は神田部静流と賭けをするのが好きなだけだ。そして打ち負かすのはもっと好き」
「あら。では決まり。もし負けたら、私とのギャンブル禁止ね」
「……」
むぐぐぐと、呻き声と歯軋りが入り混じったような音がしたような。
「やむを得ない。釣り合いの取れた賭け代となると、それぐらい張らなければいけない、うん」
自らを納得させるかのように呟き、承諾した。
「よかった、これで面白くなったわ。さあ、チップは? 何でもいいわよね」
「――退屈していたのかしら、テーブルにマッチ棒が出ているけれども」
「ああ、あれはトーナメントが始まるまではほんと、退屈だったから、マッチ棒パズルを一人でやっていたのよ。今の小さな子の中には、マッチ棒が着火道具だと知らない子もいるのではないかしら」
「……それは私への質問?」
「いいえ。答を知っているのなら教えてほしいけれども」
「じゃ、知らない。私が言いたいのは、マッチ棒をチップ代わりにすればいいってこと。そうね、互いに三十本を持ってスタートする」
「マッチ棒を全て失ったら負け? それではあんまり面白くないわね」
「他にある? 回数を決めるくらいしかないわよ」
「いいえ。折角だから、今回ならではのルールにしましょう。六枚の特殊札それぞれが少なくとも一度は使われた、つまり効果が発動された段階にてゲームは終わり。その回の勝負が済んだ時点で、マッチ棒をより多く持っていた者の勝ち。もちろん、この条件が成立する前にマッチ棒全てを失ったら、その時点で負け。どうかしらね」
「――いい。ユニークだわ。それでやってみましょう」
嬉々とした表情で、野杁は賛同した。
その他の細々した点としては、オールインにはオールインで応じる必要はない、参加費は省くことが決められた。
迎えた第一戦。
静流に配られたのは、のっけからなかなかよい手札になっていた。
ハートの3 クラブの3 スペードの4 ダイヤの2 ダイヤの3
(3のスリーカードができている。悪くない。問題があるとすれば、数字が低いこと。野杁さんの設定した条件6.のカードが、今の手札のどれかという可能性はそれなりに高いかも。でも初戦ですから、思い切った試行錯誤ができる)
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