コイカケ

崎田毅駿

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コイカケ2の6

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 様子見でマッチ棒三本を賭けると、野杁も間髪入れずに応じた。
 静流はスリーカードを残し、二枚を交換。相手も二枚交換だった。
(あらあら)
 百戦錬磨を持って鳴る静流だが、このときはつい、声に漏らしそうになってしまった。

   ハートの3 クラブの3 ダイヤの3 スペードの3 ハートの8

(まさか最初にフォーカードができるなんて。しかもスペードの3は私の設定した特殊カードで、相手の持つ特殊カードを無効化できる。勝利は固い……と喜びたいところだけど、3のカードのいずれかが、相手の条件6.のカードだとしたら、スリーカードに落ちる恐れもある)
 考える時間を稼ぐために、静流は聞いた。
「重要なことを決め忘れていたわね。チェンジ後の二度目のベットは、特殊カードの確認をしてからなの? それともする前?」
「当然、確認前だと思っていたわ。その方が、スリルがあって面白くなくって?」
「そうね。じゃあ……降りるわ」
「え?」
 驚く野杁の前で、カードを裏向きに伏せる動作をしつつ、静流はわざと手を滑らせた。
「あら、いけない。降りたときは手札を見せる必要ないのに」
 3のフォーカードが完成していたことを見せつけ、反応を窺う。
「……相変わらず、理解に苦しむ真似をしてくれる」
 言って、視線をぷいと逸らす野杁。彼女の方は、手札をしっかり裏向きのまま場に置いた。その動作の流れで、マッチ棒三本を取っていく。
(降りて正解だったかも。特殊カードの確認後云々と聞いたとき、野杁さんの目が一度手札に行った。あれは恐らく自らの設定した特殊札が入っている証。それもジョーカーになる方の。彼女も三枚残しだったので、そこにジョーカーになる札が入ったとしたら、フラッシュ以上の手になる確率は高い。
 それでも私の手札には相手の特殊カード一枚を無効化できるスペードの3があったから、勝負に出てもよかったんだけど、万が一、野杁さんの手札にジョーカーになる特殊札が二枚入っていれば、どう転ぶか分からない。何しろ、野杁さんと来たら駆け引きは今ひとつでも、運が強い方だから)
 実際のところ、勝負に出ていたらどうなっていたかは分からない。ただ、静流にはもう一つの布石を打てたことで、満足した。
(わざと見えるようにした四枚の3をどう解釈するかしら。ハートの8を含めたあの中に、私の出した条件2.の札はないと考えるんじゃない?)


 二回戦。今度は野杁が先にカード交換する番だ。
 勝負に誘い出すためか、彼女はマッチ五本を出し、三枚を交換した。
 一方、静流の手は。

   ハートのK クラブのQ クラブの2 クラブの8 クラブの7

(悩ましいわね。通常のポーカーならクラブのフラッシュを狙っていいところだけれども、クラブの2が。自分で設定した条件のおかげで、これを残しておくと手持ちの一番強い札がダイヤの2になってしまう。キングとクラブの2を捨ててのフラッシュ狙いは無謀……。ここは手の内を二つ晒すことになるけれども、クラブの2を有効活用する戦略で)
 マッチ棒を五本出して応じた。チェンジするのは四枚。
「一枚だけ残すってことは、それ、特殊カードね」
 野杁が得意げに指摘した。静流は微苦笑を浮かべて切り返した。
「気付いたことをどうしても言いたくなるその性格、私もよくたしなめられます。お互いに気を付けましょうね」
「ぐ」
 言葉に詰まる野杁。だが、すぐに手札に集中したようだ。
(野杁さんは、私が残した一枚が、無効化の札であることを警戒しているはず。手の中に彼女自身がそれと分かっている特殊札があれば、もっと顔に出そうなものだけれど出なかった。さらに、第一戦で私がわざと見せつけた四枚の3とハートの8も、野杁さんは特殊カードではないと判断しており、今の手札にはない。私が指定した残りの二種、実際は一枚のカードであるクラブの2は私の手元にある。よって今回、野杁さんの手は普通のポーカーと変わらない)
 そこまでは分析・推測が可能だ。だからといって勝てる保証はないけれども。
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