コイカケ

崎田毅駿

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コイカケ2の7

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   クラブの2 ダイヤのA スペードのQ スペードの2 ダイヤの9

(一見、2のワンペア。その実、クラブの2の効果でダイヤのAはダイヤの2に変わる。2のスリーカードか……微妙だわ。あと、2の札は野杁さんも特殊カードに指定した可能性が高いと踏んでいるんだけど)
 相手の出方――どこまで吊り上げるかを注目する。
「五本、レイズするわ」
「コールします」
 即応した。三ツ矢の合図で手札のオープンへ。

   ダイヤのJ クラブのJ ハートの10 スペードの10 スペードのJ

 野杁の手は、Jと10のフルハウスだった。
 一見すると、2のワンペアとフルハウスとでは、野杁の圧勝。だがもちろん、三ツ矢ディーラーによる特殊カード判定を待たねばならない。最前の静流の推測も絶対確実とは言い切れない。
「特殊カードが一枚あります。静流さんの手にあるクラブの2は、静流さん自らが特殊カード1.及び3.に指定しています」
「一枚のカードに二つの特性を持たせたというの?」
 三ツ矢の語りの途中だったが、野杁が悲鳴のような声で割って入った。
「禁止されていないでしょう?」
「そ、それはそうだけど……ということは……」
 三ツ矢を恐る恐る見やる野杁。
「はい。野杁さんのJ三枚の内、いずれかがクラブの2になります。つまり野杁さんの手札はJと10のツーペアとなります。
 一方静流さんの手は、ダイヤのAがダイヤの2に転じますので、2のスリーカード。よってこの二回戦は、静流さんの勝ちとなります」
「よかった。取り戻せたわ」
「運がよかったわね」
「いえいえ。驚くべきは、野杁さんの運よ。二枚残し、多分ワンペアを残して一気にフルハウスまで引き上げるなんて」
 静流から誉められて、逆に悔しさが増したのか、野杁はごく小さな音量かつ早口で何か言った。
 それを聞き逃す静流ではない。
 野杁は「本当に運がよかったら、そっちの2が」と口走っていた。
 そこから展開できる推測に、静流は内心「なるほどね」と満足した。

 第三戦からしばらくは、一進一退の攻防が積み重なった。
 まず第三戦は、特殊カードが全く絡まないポーカー勝負となり、エースのワンペアで終わった静流を、野杁がツーペアで下し、五本を取り戻した。
 第四戦では、野杁の特殊カードが始めて明らかになった。条件4.で指定されたのはクラブの5で、これを利用してストレートを完成させた野杁だったが、彼女のかすかな興奮ぶりを感じ取った静流は手札がよくなかったこともあり、早めに降りた。結果、被害はマッチ棒三本で済んだ。
 第五戦、再び特殊カードなしの戦いとなり、静流が大胆なブラフを仕掛けて、野杁を下りさせることに成功。ただし、長引いた割に賭けた本数は少なく、六本。
 第六戦では、野杁にクラブの2が入り、さらに条件5.に該当するハートの6も入ったことで、易々とスリーカードを完成。ツーペアの静流は降りることで損害をマッチ五本に食い止めた。
 この結果、六度戦って、マッチ棒の本数は最初と同じ三十本のままという有様に。
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