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コイカケ2の16
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聞き咎めて、僕は反射的に問い返していた。
コストナーは「元詐欺師ですよ。怖がらないでください」と言って、笑い声を立てた。
「おかしいな」
僕の右隣で、羽柴が言った。
「確か、前科のある外国の方が、日本に入国するのは結構高いハードルがあると聞いた覚えがある。ミスターコストナーは、それをどうやってクリアしたのか。神田部家の威光が働いた? それとも詐欺をやったのは日本に帰化してからで、罪を償ったあとですか」
ずけずけと遠慮のない質問をぶつける。無論、僕も気になるので、止めはしない。
「この短時間でなかなかの分析力だね。ですが、少なくとももう一つの可能性を列挙し忘れています」
コストナーは表情は笑みのまま、低めた声で言った。羽柴が眉間にしわを寄せ、明らかにむっとしつつも問い返す。
「時間がもうないかもしれませんし、後学のためにご教示ください」
「その可能性とは、私は詐欺行為を働いたが、一度も警察に捕まることなく、容疑すら掛けられぬ内に足を洗った、という場合ね」
「なるほど。その仮説を思い付かなかった事実は、認めざるを得ない。でも、真実は違うんでしょう?」
「どうかな、それは。ノーコメントにしておきます。自分がトーナメントに参加すると決めたのは、静流さんの魅力に加えて、ギャンブルに自信のある様々なタイプの人と手合わせできると踏んだからでした」
「心理学と詐欺のテクニックを実践するために、ですか。フィールドワークですな」
板文さんが評すると、コストナーは「その通り」と手を差し出してきた。
握手を求めているのだと分かったが、板文さんは応じなかった。「このあと戦うかもしれないのに、握手する気分にはなれません」と至極当たり前のことを言った。
「それもそうですねー」
コストナーが間延びした返事をしたところで、三ツ矢さんの声がマイクを通して聞こえて来た。部屋の前方にある、ちょっとしたステージに、三ツ矢さんがマイクを握って立っていた。
「高いところから失礼をします。お待たせして申し訳ありません。当初の予定に変更があったのは、出場者の方々もお察しのことと思います」
「長い船旅だから、気にしてないですけどね」
板文さんが混ぜっ返すが、三ツ矢さんは彼に微笑をくれただけで、かまわずに続けた。
「皆さんの緒戦での戦いぶりから総合的に判断して、準決勝のギャンブル用に予定していたゲームはふさわしくない、明言すると、一部の出場者が著しく有利になる余地が生じたもので、急遽、別のゲームに差し替える決定が下った次第です」
その変更せざるを得ない原因を作ったのは、羽柴と僕かもしれない。そう思うと、三ツ矢さんに申し訳なく、すみませんと謝っておこう。三ツ矢さんとは特に顔見知りで、親しいし。
「時間も押していることですし、準決勝でのギャンブルの説明に入りますが、まず先に、基本的なルール、原理原則を再確認させていただきます。すなわち、神田部家が提供するギャンブルに参加することで、皆さんの肉体を物理的に傷付けたり、精神的に著しいダメージを負わせたりすることはないものと保証します。
また、勝敗はギャンブルの結果によってのみ決し、暴力や脅迫、ギャンブル外の利益授受などの関与は認めないものとします。ただい、いわゆるイカサマに関しては、行うギャンブルの度に規定します。
確かめるまでもないと思いますが、ご理解いただけたでしょうか」
僕ら四人は、それぞれに首肯した。
「それでは、改めて準決勝のギャンブルについて、説明を始めます。質問は後ほど受付まうので、まずはよくお聞きください。
準決勝のギャンブル、その名称は『入札ゲーム』」
コストナーは「元詐欺師ですよ。怖がらないでください」と言って、笑い声を立てた。
「おかしいな」
僕の右隣で、羽柴が言った。
「確か、前科のある外国の方が、日本に入国するのは結構高いハードルがあると聞いた覚えがある。ミスターコストナーは、それをどうやってクリアしたのか。神田部家の威光が働いた? それとも詐欺をやったのは日本に帰化してからで、罪を償ったあとですか」
ずけずけと遠慮のない質問をぶつける。無論、僕も気になるので、止めはしない。
「この短時間でなかなかの分析力だね。ですが、少なくとももう一つの可能性を列挙し忘れています」
コストナーは表情は笑みのまま、低めた声で言った。羽柴が眉間にしわを寄せ、明らかにむっとしつつも問い返す。
「時間がもうないかもしれませんし、後学のためにご教示ください」
「その可能性とは、私は詐欺行為を働いたが、一度も警察に捕まることなく、容疑すら掛けられぬ内に足を洗った、という場合ね」
「なるほど。その仮説を思い付かなかった事実は、認めざるを得ない。でも、真実は違うんでしょう?」
「どうかな、それは。ノーコメントにしておきます。自分がトーナメントに参加すると決めたのは、静流さんの魅力に加えて、ギャンブルに自信のある様々なタイプの人と手合わせできると踏んだからでした」
「心理学と詐欺のテクニックを実践するために、ですか。フィールドワークですな」
板文さんが評すると、コストナーは「その通り」と手を差し出してきた。
握手を求めているのだと分かったが、板文さんは応じなかった。「このあと戦うかもしれないのに、握手する気分にはなれません」と至極当たり前のことを言った。
「それもそうですねー」
コストナーが間延びした返事をしたところで、三ツ矢さんの声がマイクを通して聞こえて来た。部屋の前方にある、ちょっとしたステージに、三ツ矢さんがマイクを握って立っていた。
「高いところから失礼をします。お待たせして申し訳ありません。当初の予定に変更があったのは、出場者の方々もお察しのことと思います」
「長い船旅だから、気にしてないですけどね」
板文さんが混ぜっ返すが、三ツ矢さんは彼に微笑をくれただけで、かまわずに続けた。
「皆さんの緒戦での戦いぶりから総合的に判断して、準決勝のギャンブル用に予定していたゲームはふさわしくない、明言すると、一部の出場者が著しく有利になる余地が生じたもので、急遽、別のゲームに差し替える決定が下った次第です」
その変更せざるを得ない原因を作ったのは、羽柴と僕かもしれない。そう思うと、三ツ矢さんに申し訳なく、すみませんと謝っておこう。三ツ矢さんとは特に顔見知りで、親しいし。
「時間も押していることですし、準決勝でのギャンブルの説明に入りますが、まず先に、基本的なルール、原理原則を再確認させていただきます。すなわち、神田部家が提供するギャンブルに参加することで、皆さんの肉体を物理的に傷付けたり、精神的に著しいダメージを負わせたりすることはないものと保証します。
また、勝敗はギャンブルの結果によってのみ決し、暴力や脅迫、ギャンブル外の利益授受などの関与は認めないものとします。ただい、いわゆるイカサマに関しては、行うギャンブルの度に規定します。
確かめるまでもないと思いますが、ご理解いただけたでしょうか」
僕ら四人は、それぞれに首肯した。
「それでは、改めて準決勝のギャンブルについて、説明を始めます。質問は後ほど受付まうので、まずはよくお聞きください。
準決勝のギャンブル、その名称は『入札ゲーム』」
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