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6.二択の積み重ね
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そうして時間を目一杯使った検討の末、ある種目に決めた桐生達は、無事に問題として適当だと認められて、ほっとした。
<なるほどなるほど。いいところをついていると思うね。ただし、先ほどの人名と違って、数がかなり限られた中から選んだ一つだから、一撃で当てられる可能性も充分にあるかもね>
司会者テーリン吹田のおしゃべりがそのまま他チームへのヒントになりやしないか、多少はらはらしながら聞いた。
(これならまあセーフかな)
桐生は胸をなで下ろす気分で、それでも緊張を保ちつつ、最初の質問を待った。
出題チームからは、質問するのが誰なのか分かる仕組みになっている。分かっても駆け引きのしようがないので、勝敗に影響はない。馳、高田、石倉、螢川と同じチームの二人が連続にならず、ジグザグになっているのはよい傾向だと言えるかもしれない。不安があるとしたら、この顔ぶれの中ではより知識量が多いであろう男二人が後半の順番になった点か。
1.その種目は夏季オリンピックにありますか?
やはり、夏と冬の両方があることは想定済みか。桐生はボタンを押して返答した。
1.その種目は夏季オリンピックにありますか?-イエス
* *
1.その種目は夏季オリンピックにありますか?-イエス
表示された文字に、次の質問者である高田鈴子は思案げにうなずいた。
(大きな分類から絞っていく。常道ですね。では私もその流れに沿うとしましょう。夏季オリンピックの競技種目で大きな分類といえば、陸上か体操か水泳、格闘技や球技……この辺りになるのかしら。あるいは、個人競技か団体競技か。日本人が金メダルを獲得したことがあるか否かでも分けられる)
ここでルールの補足説明をしておくと、出題チームが正確な答を知らないような質問が出た場合は、司会者に対してサポートを求めることができる。主催者側が速やかに調べて正しい返答をしてくれるというわけ。
もちろん、出題チームが思い込みで正しい解答をしたつもりでも間違えている場合はあり得る。これを見越して、ゲームのシステム上、出題チームがイエス・ノーをボタンで返答してから三十秒ほどのタイムラグが設けられている。主催者側はこの短時間でチェックを入れるのだ。未だかつて事例はないが、出題チームが返答を間違えると、二度目でそのゲームは負けとされる。だから自信のない場合はサポート頼みの連発になる。
2.その種目は個人競技ですか?
高田はこの質問を選択した。
* *
2.その種目は個人競技ですか?-イエス
三番目の質問者、石倉隆司は返答を見て軽く唸った。
(ノーだったらありがたかったんだけどな。個人競技だと武道や格闘技の類が丸々残って、まだまだ絞れない)
石倉は最初にカテゴリーテーマを聞いた時点で、ありそうな意外な種目は何があったかを考えていた。
(柔道団体は今度の東京からだし、マラソン団体は世界陸上にはあるけど、オリンピックにはなかったかな。となると卓球団体辺りが盲点かも)
などと検討していたのだけれども、個人競技と言われて当てが外れた格好である。
まだ質問できる回数はあるんだし、もうしばらくはセオリー通りで行くと決めた。しばらく沈思黙考した果てに、よい質問を思い付いたとほくそ笑んだ。
3.その種目は次の東京五輪でも実施される予定ですか?
つづく
<なるほどなるほど。いいところをついていると思うね。ただし、先ほどの人名と違って、数がかなり限られた中から選んだ一つだから、一撃で当てられる可能性も充分にあるかもね>
司会者テーリン吹田のおしゃべりがそのまま他チームへのヒントになりやしないか、多少はらはらしながら聞いた。
(これならまあセーフかな)
桐生は胸をなで下ろす気分で、それでも緊張を保ちつつ、最初の質問を待った。
出題チームからは、質問するのが誰なのか分かる仕組みになっている。分かっても駆け引きのしようがないので、勝敗に影響はない。馳、高田、石倉、螢川と同じチームの二人が連続にならず、ジグザグになっているのはよい傾向だと言えるかもしれない。不安があるとしたら、この顔ぶれの中ではより知識量が多いであろう男二人が後半の順番になった点か。
1.その種目は夏季オリンピックにありますか?
やはり、夏と冬の両方があることは想定済みか。桐生はボタンを押して返答した。
1.その種目は夏季オリンピックにありますか?-イエス
* *
1.その種目は夏季オリンピックにありますか?-イエス
表示された文字に、次の質問者である高田鈴子は思案げにうなずいた。
(大きな分類から絞っていく。常道ですね。では私もその流れに沿うとしましょう。夏季オリンピックの競技種目で大きな分類といえば、陸上か体操か水泳、格闘技や球技……この辺りになるのかしら。あるいは、個人競技か団体競技か。日本人が金メダルを獲得したことがあるか否かでも分けられる)
ここでルールの補足説明をしておくと、出題チームが正確な答を知らないような質問が出た場合は、司会者に対してサポートを求めることができる。主催者側が速やかに調べて正しい返答をしてくれるというわけ。
もちろん、出題チームが思い込みで正しい解答をしたつもりでも間違えている場合はあり得る。これを見越して、ゲームのシステム上、出題チームがイエス・ノーをボタンで返答してから三十秒ほどのタイムラグが設けられている。主催者側はこの短時間でチェックを入れるのだ。未だかつて事例はないが、出題チームが返答を間違えると、二度目でそのゲームは負けとされる。だから自信のない場合はサポート頼みの連発になる。
2.その種目は個人競技ですか?
高田はこの質問を選択した。
* *
2.その種目は個人競技ですか?-イエス
三番目の質問者、石倉隆司は返答を見て軽く唸った。
(ノーだったらありがたかったんだけどな。個人競技だと武道や格闘技の類が丸々残って、まだまだ絞れない)
石倉は最初にカテゴリーテーマを聞いた時点で、ありそうな意外な種目は何があったかを考えていた。
(柔道団体は今度の東京からだし、マラソン団体は世界陸上にはあるけど、オリンピックにはなかったかな。となると卓球団体辺りが盲点かも)
などと検討していたのだけれども、個人競技と言われて当てが外れた格好である。
まだ質問できる回数はあるんだし、もうしばらくはセオリー通りで行くと決めた。しばらく沈思黙考した果てに、よい質問を思い付いたとほくそ笑んだ。
3.その種目は次の東京五輪でも実施される予定ですか?
つづく
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