8 / 65
第1章 とっても悪い魔王様
魔王様は支度をする
しおりを挟む
大理石の廊下を歩くのは1人の少年。
黒の燕尾服に包まれた彼は、広く長い廊下を1人歩く。
焦っているように見えないよう、それでいて目的の場所へ足早に向かうのはなかなか高度な技術のいることだとルークはこの一年間で学んだ。
特に歩くだけでないなら尚更。カラカラと軽食やティーポットの乗ったワゴンを押しながら、それでいて音をなるべくたてないように歩くとなるとルークにとっては上級魔族を討伐した時よりも難易度が高い。
「おい、見ろよ…」
「あぁ、あいつまだいんのかよ」
「仕方ねぇだろ…人間のくせに魔王様の側近に任命されてんだから…」
「全く、魔王様も何考えてんのかね。あんなやつさっさと殺しちまえばいいのに…」
「なんなら俺らでやっちまうか…?」
「馬鹿言え、魔王様だからあいつを洗脳できたんだよ。俺らなんか秒であの剣で真っ二つにされるぞ」
ノアの側近になるにあたって、まずは自ら手を出さないことが約束された。ただし売られた喧嘩は買っていいと直々にOKが出ており、女神の加護が消えただの剣となった元聖剣は、今はルークの腰に護身用として下がっている。
ルークも戦闘狂では無いため、この約束を守ることは容易かった。何事もなければの話だが。
「でもあの噂、本当なのかな」
「え、なんのことだよ」
「あいつが今も生きてるからさ、勇者を倒せないくらい魔王様が実は弱いって話…ッ!!」
コソコソと噂話をする2人の悪魔の間を何かが高速で通り抜け壁に突き刺さる。
思わず口をつぐむ2人に、ルークは穏やかに微笑みかけた。
「申し訳ございません…手が滑ってしまって…。急いでおりますので、失礼いたします」
(いっそ手を出して来るなら正当防衛を謳って切り刻んでやるのに…。僕のことを悪く言うだけならまだいい。けれどノア様のことを悪く言うなら…)
壁に刺さった銀製のスプーンを引き抜くと、ルークは未だに放心状態の2人に会釈をして、再び歩き出す。
目指すは己の主の元へ。
・・・・・・・・・・
「失礼いたします。魔王様、本日はこれから幹部様方との定例会議が……」
たどり着いたのはノアの部屋の前、一言断ってから入室をするが、その中はすでにもぬけの殻で、誰かがいた形跡すらない。
本来であればここの主の不在でどこにいったのかと慌てるところなのかもしれないが、ルークには居場所の検討はついている。
誰もいない部屋の何もない壁に向かい、壁をゆっくりとなぞる。すると不思議な紋様が浮かび、そこには先ほどまでなかったはずの簡素な扉が現れた。そのまま扉を潜り抜け真っ暗な道をひたすら前に歩くと、これまた木の扉が現れる。
それを開ければ、違う部屋に辿り着く。そこはあの日、ルークがノアに己の名をもらった場所だった。
その中心で何かわからない古代の書物や、怪しい液体の入った瓶の散乱したテーブルに突っ伏して死んだように眠るのは何を隠そうこの城の主である。
(はぁ…またこの人はこんなところで寝て…。病気にならないからって自分のことを疎かにしすぎじゃないか…?)
近づいても起きる気配のないノアの元へ歩み寄ると、ルークはその肩を軽く揺らした。
「ノア様、本日は幹部様方との定例会議がございます。また前のように遅れますとあなたの威厳が損なわれますよ」
「…ふがっ!あ…なんだ、ルークか…んーあと5分…」
「はいはいまた寝ないでください。そろそろ用意をしませんと…また後で慌てることになりますよ」
「なんか適当に理由つけて休んだらいいだろ……別にどうせそんな報告することもないって…」
「一国一城の主がなんて体たらくですか。半分寝てても構わないのでせめてお支度だけしてください。はい、ばんざーい」
「ンー……むにゃむにゃ…」
どう見ても成人した見た目でありながら、まだ年端もいかない少年に手伝ってもらわないと着替えすらもできないが、これでもとっても強い魔王様なのである。威厳が無いとかは言わない。
「はい、次は御髪を整えますね。その間に朝食にいたしましょう。本日はスコーンにラグニール産のベリーのジャムをお付けしております。お飲み物はラトシスのジュースとベルガの紅茶がございますがどちらになさいますか?」
「あー…紅茶にする…。砂糖多めで…」
「かしこまりました」
ルークが側近となってわかったことはたくさんある。
ストレスが溜まると城を抜け出して、秘密の部屋であるここで研究に没頭しがちなこと。金銀財宝の価値に興味は無いが、自分の身なりにも興味がなく、研究途中のボロボロの姿で床やテーブルで丸くなっていることも多い。甘いものが好きで、紅茶には必ず角砂糖を5つ。
未だに眠気が抜けないのか、半分目を閉じた状態でもそもそとスコーンを食べる姿は幼子のようにも見える。
長い髪に櫛を通される間もされるがままなところを考えれば、前世は警戒心の欠けたウサギとかだったのかもしれない。
公での不遜な態度は演技だとは教えてもらったが、敵対していたはずの自分に対してまでこんなにも身を預けてくれるのだと思うと、ルークには言いようのない感情が湧き上がってくる。しかしそれが一体なんなのかはまだわからなかった。
「はい、できましたよ」
「おーありがとな。しかしいつ見ても器用なもんだなぁ」
「家にいた頃は妹にねだられて髪を結ぶことはよくありましたから、これくらいであればいつでも」
「正直髪を長いまま放置してるといつも邪魔だったけど、こうやってお前に綺麗に結んでもらえるなら別にそのままでもいいかもな」
「ノア様の御髪は綺麗ですからそのままでいいと思いますよ」
「とりあえず支度もできたし行くか。いざ幹部会議へ!なんてな」
黒の燕尾服に包まれた彼は、広く長い廊下を1人歩く。
焦っているように見えないよう、それでいて目的の場所へ足早に向かうのはなかなか高度な技術のいることだとルークはこの一年間で学んだ。
特に歩くだけでないなら尚更。カラカラと軽食やティーポットの乗ったワゴンを押しながら、それでいて音をなるべくたてないように歩くとなるとルークにとっては上級魔族を討伐した時よりも難易度が高い。
「おい、見ろよ…」
「あぁ、あいつまだいんのかよ」
「仕方ねぇだろ…人間のくせに魔王様の側近に任命されてんだから…」
「全く、魔王様も何考えてんのかね。あんなやつさっさと殺しちまえばいいのに…」
「なんなら俺らでやっちまうか…?」
「馬鹿言え、魔王様だからあいつを洗脳できたんだよ。俺らなんか秒であの剣で真っ二つにされるぞ」
ノアの側近になるにあたって、まずは自ら手を出さないことが約束された。ただし売られた喧嘩は買っていいと直々にOKが出ており、女神の加護が消えただの剣となった元聖剣は、今はルークの腰に護身用として下がっている。
ルークも戦闘狂では無いため、この約束を守ることは容易かった。何事もなければの話だが。
「でもあの噂、本当なのかな」
「え、なんのことだよ」
「あいつが今も生きてるからさ、勇者を倒せないくらい魔王様が実は弱いって話…ッ!!」
コソコソと噂話をする2人の悪魔の間を何かが高速で通り抜け壁に突き刺さる。
思わず口をつぐむ2人に、ルークは穏やかに微笑みかけた。
「申し訳ございません…手が滑ってしまって…。急いでおりますので、失礼いたします」
(いっそ手を出して来るなら正当防衛を謳って切り刻んでやるのに…。僕のことを悪く言うだけならまだいい。けれどノア様のことを悪く言うなら…)
壁に刺さった銀製のスプーンを引き抜くと、ルークは未だに放心状態の2人に会釈をして、再び歩き出す。
目指すは己の主の元へ。
・・・・・・・・・・
「失礼いたします。魔王様、本日はこれから幹部様方との定例会議が……」
たどり着いたのはノアの部屋の前、一言断ってから入室をするが、その中はすでにもぬけの殻で、誰かがいた形跡すらない。
本来であればここの主の不在でどこにいったのかと慌てるところなのかもしれないが、ルークには居場所の検討はついている。
誰もいない部屋の何もない壁に向かい、壁をゆっくりとなぞる。すると不思議な紋様が浮かび、そこには先ほどまでなかったはずの簡素な扉が現れた。そのまま扉を潜り抜け真っ暗な道をひたすら前に歩くと、これまた木の扉が現れる。
それを開ければ、違う部屋に辿り着く。そこはあの日、ルークがノアに己の名をもらった場所だった。
その中心で何かわからない古代の書物や、怪しい液体の入った瓶の散乱したテーブルに突っ伏して死んだように眠るのは何を隠そうこの城の主である。
(はぁ…またこの人はこんなところで寝て…。病気にならないからって自分のことを疎かにしすぎじゃないか…?)
近づいても起きる気配のないノアの元へ歩み寄ると、ルークはその肩を軽く揺らした。
「ノア様、本日は幹部様方との定例会議がございます。また前のように遅れますとあなたの威厳が損なわれますよ」
「…ふがっ!あ…なんだ、ルークか…んーあと5分…」
「はいはいまた寝ないでください。そろそろ用意をしませんと…また後で慌てることになりますよ」
「なんか適当に理由つけて休んだらいいだろ……別にどうせそんな報告することもないって…」
「一国一城の主がなんて体たらくですか。半分寝てても構わないのでせめてお支度だけしてください。はい、ばんざーい」
「ンー……むにゃむにゃ…」
どう見ても成人した見た目でありながら、まだ年端もいかない少年に手伝ってもらわないと着替えすらもできないが、これでもとっても強い魔王様なのである。威厳が無いとかは言わない。
「はい、次は御髪を整えますね。その間に朝食にいたしましょう。本日はスコーンにラグニール産のベリーのジャムをお付けしております。お飲み物はラトシスのジュースとベルガの紅茶がございますがどちらになさいますか?」
「あー…紅茶にする…。砂糖多めで…」
「かしこまりました」
ルークが側近となってわかったことはたくさんある。
ストレスが溜まると城を抜け出して、秘密の部屋であるここで研究に没頭しがちなこと。金銀財宝の価値に興味は無いが、自分の身なりにも興味がなく、研究途中のボロボロの姿で床やテーブルで丸くなっていることも多い。甘いものが好きで、紅茶には必ず角砂糖を5つ。
未だに眠気が抜けないのか、半分目を閉じた状態でもそもそとスコーンを食べる姿は幼子のようにも見える。
長い髪に櫛を通される間もされるがままなところを考えれば、前世は警戒心の欠けたウサギとかだったのかもしれない。
公での不遜な態度は演技だとは教えてもらったが、敵対していたはずの自分に対してまでこんなにも身を預けてくれるのだと思うと、ルークには言いようのない感情が湧き上がってくる。しかしそれが一体なんなのかはまだわからなかった。
「はい、できましたよ」
「おーありがとな。しかしいつ見ても器用なもんだなぁ」
「家にいた頃は妹にねだられて髪を結ぶことはよくありましたから、これくらいであればいつでも」
「正直髪を長いまま放置してるといつも邪魔だったけど、こうやってお前に綺麗に結んでもらえるなら別にそのままでもいいかもな」
「ノア様の御髪は綺麗ですからそのままでいいと思いますよ」
「とりあえず支度もできたし行くか。いざ幹部会議へ!なんてな」
42
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される
水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。
行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。
「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた!
聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。
「君は俺の宝だ」
冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。
これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
【完結】婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。
フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」
可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。
だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。
◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。
◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる