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第3章 魔王様と元勇者は諸悪の根源に喧嘩を売る
魔王様たちは大規模戦に巻き込まれる
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「くそっ…この…っ!」
「後ろがお留守ダヨ?」
「はっ!くらわねぇっての!」
ガキンッ!
剣が合わさるたびに周囲に火花が散る。魔術はリリシュやドロシーが無効化し、ルークとガルムとフェイロンで近接を担当する。初めてとは思えない連携で致命傷は与えられないものの、勇者を確実に追い詰めていた。
「ちっ…クソが!この手はダサいから使いたくなかったが仕方ねぇな…。勇者が魔王に負けるとか有り得ねぇんだよな!」
勇者は懐から何かを取り出すと空に向かって掲げ、叫んだ。
「全員来い!」
持っていた紙切れは灰になり、その瞬間勇者を中心にいくつもの魔術の印が床に描かれた。
その中心から出てくるのは武装した人間たち。皆手に杖や剣を携えて、完全武装といった風だった。
「念のため武装した奴らを一箇所に固めておいたんだよ!後は女神ちゃんからもらった大規模な転移の魔術を使えばあら不思議!一気に形成逆転ってわけだな!」
「さっきまで偉そうに仲間はいらないとか吠えてたくせにダセェぞお前!」
「う、うるせぇ!お前らだって集団で襲ってきただろうが!大体勇者と魔王の対決にモブとかお呼びじゃねぇんだよ!」
「皆呼んでいいの?じゃあドロシーも呼んじゃうね!みんなー!おはようの時間だよー!」
ドロシーが持っていた人型のぬいぐるみを掲げると、途端に地響きのような呻き声が聞こえ始め、床からは人間の手が伸びてくる。さらに建物の壁をすり抜けて透明のゴーストたちが集まり、床から出てきたゾンビたちと共に人間たちを襲い始める。
「うわっきっしょ!今度はゾンビとかお化けかよ!ここはお化け屋敷じゃねぇっての!」
勇者の聖剣が光り、一帯のゾンビやゴーストたちは一掃されたかに見えたが、次から次へとどこから来るのか、その数に終わりは見えない。
「お化けじゃないもん!皆ドロシーのお友達なんだからね!夜しか会えないけど皆優しいんだよ!」
「知るか!んなこと!死人好きとかきめぇんだよ!」
「うぅ…うわぁーん!お兄ちゃんなんて大っ嫌い!」
ドロシーが泣きだすと同時にゾンビやゴーストは怒り狂ったように人間に襲いかかる。転移してきた人間たちはゾンビやゴーストの大群の対処を余儀なくされていた。
「まぁまぁ…幼気な女の子を泣かせるなんて…男としてどうかと思いますわよぉん?私でもお断り、ですわぁん」
泣いてしまったドロシーをあやしながら、リリシュが可哀想なものを見る目で勇者を見る。
「そんなロリのこととか知るかよ!おら!お前ら行け!オレは魔王の首を取る!」
「ルーク!人間どもは俺とフェイロンのじーさんで食い止めるから魔王様のとこ行ってこい!」
「ふぉっふぉっふぉ、魔王殿のことはお任せしましたぞルーク殿」
「はい…!」
ルークは踵を返しノアの元へ走り寄る。瞬間、戦いの渦中にいた勇者が何かの魔術でも使ったのか集団をすり抜けてこちらへ向かってくる。そのままノアに向けられた聖剣を弾き飛ばした。
そのまま互いに剣を正確に弾き飛ばしていたが、体格で勝るルークが勇者の剣を押さえ込む形となり、鍔迫り合いの形へと持ち込まれる。
「てめぇ…!元勇者じゃねぇか!てっきり魔王が戻ってきてお払い箱になったんだと思ってたぜ!」
「残念でしたね、僕にはまだ魔王様をお守りする役目が残っておりますので」
「お前人間のくせに魔王に加担するとか恥ずかしくねぇのかよ!どうせ無様に魔王に負けやがった負け犬のくせによ!本当の勇者であるオレとはちげぇんだよ!」
「ええ、そうですね。僕はあくまでも魔王様の慈悲により生かされているだけの身です。ですが守るべきもの定まっていない、あなたのような軽薄な人間に負けるつもりはございません」
ルークが剣に体重を乗せれば、勇者の体勢は徐々に崩れていく。その顔は苦しそうに歪んでいた。
「あなたにとって勇者という肩書きは、その地位や力は、己の欲を満たすためのものでしょう?欲しいものを手に入れ、賞賛を受け、美しい女性を侍らせるためのもの。守りたいもののない剣など、紙切れに等しい」
勇者は咄嗟に後ろに転がることで、ルークの追撃から逃れる。汗まみれになった顔を隠そうともせずその場に這いつくばる姿は無様と言ってしまって差し支えはなかった。
「あなたでは僕に勝てない。本来であればこのまま苦しみを与えた上で首を落としてしまいたいくらいですが…魔王様はあなたを元の世界へと返してくださるそうです。その慈悲を泣いて喜び受け入れるがいい」
「後ろがお留守ダヨ?」
「はっ!くらわねぇっての!」
ガキンッ!
剣が合わさるたびに周囲に火花が散る。魔術はリリシュやドロシーが無効化し、ルークとガルムとフェイロンで近接を担当する。初めてとは思えない連携で致命傷は与えられないものの、勇者を確実に追い詰めていた。
「ちっ…クソが!この手はダサいから使いたくなかったが仕方ねぇな…。勇者が魔王に負けるとか有り得ねぇんだよな!」
勇者は懐から何かを取り出すと空に向かって掲げ、叫んだ。
「全員来い!」
持っていた紙切れは灰になり、その瞬間勇者を中心にいくつもの魔術の印が床に描かれた。
その中心から出てくるのは武装した人間たち。皆手に杖や剣を携えて、完全武装といった風だった。
「念のため武装した奴らを一箇所に固めておいたんだよ!後は女神ちゃんからもらった大規模な転移の魔術を使えばあら不思議!一気に形成逆転ってわけだな!」
「さっきまで偉そうに仲間はいらないとか吠えてたくせにダセェぞお前!」
「う、うるせぇ!お前らだって集団で襲ってきただろうが!大体勇者と魔王の対決にモブとかお呼びじゃねぇんだよ!」
「皆呼んでいいの?じゃあドロシーも呼んじゃうね!みんなー!おはようの時間だよー!」
ドロシーが持っていた人型のぬいぐるみを掲げると、途端に地響きのような呻き声が聞こえ始め、床からは人間の手が伸びてくる。さらに建物の壁をすり抜けて透明のゴーストたちが集まり、床から出てきたゾンビたちと共に人間たちを襲い始める。
「うわっきっしょ!今度はゾンビとかお化けかよ!ここはお化け屋敷じゃねぇっての!」
勇者の聖剣が光り、一帯のゾンビやゴーストたちは一掃されたかに見えたが、次から次へとどこから来るのか、その数に終わりは見えない。
「お化けじゃないもん!皆ドロシーのお友達なんだからね!夜しか会えないけど皆優しいんだよ!」
「知るか!んなこと!死人好きとかきめぇんだよ!」
「うぅ…うわぁーん!お兄ちゃんなんて大っ嫌い!」
ドロシーが泣きだすと同時にゾンビやゴーストは怒り狂ったように人間に襲いかかる。転移してきた人間たちはゾンビやゴーストの大群の対処を余儀なくされていた。
「まぁまぁ…幼気な女の子を泣かせるなんて…男としてどうかと思いますわよぉん?私でもお断り、ですわぁん」
泣いてしまったドロシーをあやしながら、リリシュが可哀想なものを見る目で勇者を見る。
「そんなロリのこととか知るかよ!おら!お前ら行け!オレは魔王の首を取る!」
「ルーク!人間どもは俺とフェイロンのじーさんで食い止めるから魔王様のとこ行ってこい!」
「ふぉっふぉっふぉ、魔王殿のことはお任せしましたぞルーク殿」
「はい…!」
ルークは踵を返しノアの元へ走り寄る。瞬間、戦いの渦中にいた勇者が何かの魔術でも使ったのか集団をすり抜けてこちらへ向かってくる。そのままノアに向けられた聖剣を弾き飛ばした。
そのまま互いに剣を正確に弾き飛ばしていたが、体格で勝るルークが勇者の剣を押さえ込む形となり、鍔迫り合いの形へと持ち込まれる。
「てめぇ…!元勇者じゃねぇか!てっきり魔王が戻ってきてお払い箱になったんだと思ってたぜ!」
「残念でしたね、僕にはまだ魔王様をお守りする役目が残っておりますので」
「お前人間のくせに魔王に加担するとか恥ずかしくねぇのかよ!どうせ無様に魔王に負けやがった負け犬のくせによ!本当の勇者であるオレとはちげぇんだよ!」
「ええ、そうですね。僕はあくまでも魔王様の慈悲により生かされているだけの身です。ですが守るべきもの定まっていない、あなたのような軽薄な人間に負けるつもりはございません」
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勇者は咄嗟に後ろに転がることで、ルークの追撃から逃れる。汗まみれになった顔を隠そうともせずその場に這いつくばる姿は無様と言ってしまって差し支えはなかった。
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